1年生桑枝条の種々の部位から採取した材料について, 気温を変化させながら枝条の呼吸速度を測定し, 呼吸速度を表示するベースと部位別呼吸速度, および, 気温と呼吸速度の関係について検討を加えた。その結果を要約すればつぎのとおりである。
1. 枝条の呼吸速度を乾物重や容積をベースに表示すると枝条部位による差が大きく, 基部に近いほど呼吸速度が小さくなる。これに反し, 枝条表面積をベースに呼吸速度を表示すると, 枝条部位による差が消去され, 異なる部位から採取したサンプルについてもその呼吸速度がよく一致し, 気温と呼吸速度の関係は単一の実験式によって示すことができる。
2. 1年生桑枝条の呼吸速度Ra(mgCO
2/100cm
2/hr.) と気温 (T, ℃) の間には
Ra=0.4705e
0.0718T……I
で示される関係がみとめられた。実験式Iから得られるΩ
10の値は2.05であった。なお, この呼吸速度は, 長期間冷蔵した枝条での測定結果であり, そのまま, 自然状態での冬期間の呼吸速度とみることはできない。
3. 各サンプルごとに, 気温20.0±1.1℃での呼吸量を100として求めた各気温での相対呼吸速度 (Rr) と気温 (T, ℃) の間には,
Rr=19.9898e
0.0733T実験式II
で示される関係がみとめられた。この実験式IIを利用すれば, 枝条の呼吸速度の気温に関する補正係数を求めることができる。
4. 桑枝条の呼吸速度の気温に関する補正係数は, 実験式IIのTに, t
1, t
2を代入して得られるRrの値, Rr(t
1) とRr(t
2) の比として与えられる。したがって, 気温t
1での呼吸速度Rt
1が得られれば, 他の任意の気温t
2での呼吸速度Rt
2は次式によって求めることができる。
Rt
2=Rt
1・Rr(t
2)/Rr(t
1)
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