クワの葉腋腋芽の培養法を確立するため, 3つの実験を行った。実験Iの移植体の枝部着存量と緑色腋芽の生長を調べた試験では, 10~15mmの枝部をもつ腋芽, 3~5mmの枝部をもつ腋芽および枝部から分離した腋芽の種類の材料を用い, 実験IIでは age の異なる分離腋芽を用いて培養を行った。さらに, 実験IIIでは, 培養の途中で培地を交換して, それぞれの時期における生長物質の要求性を調べた。これらの実験から, 次のことが明らかになった。
1. 緑色腋芽は10~15mmまたは3~5mmの枝部とともに培養すると茎葉を展開させることができ, 前者ではMS+NAA培地, 後者ではMS+NAA+BA培地で培養が可能であった。
2. 緑色腋芽のみの分離培養は, 一ノ瀬では困難であるが, 剣持ではある程度可能であった。
3. 頂点褐色芽, 完成芽など age の進んだ腋芽の分離培養は, 緑色芽にくらべて困難であった。
4. 腋芽からの茎葉展開には, オーキシンとサイトカイニンの両方が必要であるが, サイトカイニンの方が比較的後期まで要求された。しかし, 数枚の葉が展開すると, 基本培地のみでも生長が可能であった。
5. 枝をつけた腋芽の培養において, 少数の個体で花器の生長がみられた。
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