生育途上における摘葉程度がその後の桑の生長に及ぼす影響を明らかにするために, ポット植桑苗を用い, 全葉面積の0/4, 1/4, 2/4, 3/4および4/4に相当する葉を下方から摘葉するC区 (それぞれC-1, C-2, C-3, C-4, C-5区という) と, これに加えて10日ごとに反復摘葉するT区 (それぞれT-1, T-2, T-3, T-4, T-5区という) を設け, 全生育期間を通じた乾物生産量を調べた。得られた結果の大要は次の通りである。
1. 桑枝条の伸長生長に対する摘葉の影響は全葉面積の3/4程度まで摘葉量を増やしても無摘葉との間にほとんど差異は認められなかった。
2. 生育期間を通じた全乾物生産量はC区では3/4程度まで摘葉程度が増加してもあまり減少しないが, T区では摘葉程度の増加に伴なって減少した。C-5区やT-5区のような強度の摘葉処理では全乾物生産量の減少は顕著であった。
3. C区とT区とを比較すると2/4以下の軽い摘葉であれば反復摘葉したT区の方が全生育期間を通じた乾物生産量は多かった。そしてこの傾向は葉の生産量において一層顕著であった。
4. 葉への乾物分配率は摘葉程度が大きくなるにつれて増大し, また反復摘葉によっても同じ傾向が認められた。
5. 純同化率 (NAR) は摘葉程度の増大や反復摘葉によって高くなった。
6. 枝条および株の組織粉末比重は摘葉程度が大きい場合に低くなる傾向を示した。
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