日本蚕糸学雑誌
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46 巻, 5 号
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  • 本間 慎, 望月 一幸
    1977 年 46 巻 5 号 p. 379-383
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    前年シマジンで土壌処理して栽培したクワ苗を本年シマジン無処理土壌に移植し, クワの生長に及ぼす前年のシマジン処理の影響について調べた。
    1. 前年シマジンで土壌処理したクワの本年移植前の古条および根の還元糖, 非還元糖ならびにでんぷん含量はシマジン処理濃度が高いほど減少していた。
    2. クワの伸長生長は, 10-3Mシマジン/kg乾土処理ではきわめて緩慢であり, とくに移植後40日目以降の生長が抑制された。10-4Mシマジン/kg乾土処理では, 移植後40日目の伸長生長は対照の72%水準を示し, その後徐々に回復していく傾向を示した。
    3. 移植後70日目におけるクワの葉と根における炭水化物含量は, 10-4Mシマジン/kg乾土処理では対照に近い水準にまで回復したが, 10-3Mシマジン処理では対照より低い水準であった。とくに非還元糖が他に比して顕著に低下した。
  • IV. Streptococcus faecalis の起病性に及ぼす人工飼料組成の影響
    永江 敏規
    1977 年 46 巻 5 号 p. 384-390
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    飼料組成の異なる種々の人工飼料で S. faecalis を添食し, 飼育結果によって人工飼料育蚕における S. faecalis の起病性に及ぼす飼料組成の影響について検討した。得られた結果は次の通りである。
    1. 桑葉粉末添加量が0%, 10%, 55%および85%の基本飼料 (AD0, AD10, AD55およびAD85) で飼育した人工飼料育蚕に対して S. faecalis はいずれも強い起病性を示した。
    2. AD0およびAD85の基本飼料から無機塩, クエン酸, アスコルビン酸およびビタミンB群の微量成分を除いた人工飼料で飼育した蚕に対しては, その起病性は著しく低下した。
    3. 上記微量成分を除去した人工飼料にビタンB群もしくはアスコルビン酸を添加した時は, その起病性は再び増大した。
    4. 桑葉育蚕に対しては全く起病性を示さなかった。
  • 加藤 靖夫, 中山 伸
    1977 年 46 巻 5 号 p. 391-396
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕血液蛋白質はセファデックスG-150ゲル滬過により, 画分-I (素通り), 画分-II (分子量, 約240,000), 画分-III (分子量, 約60,000), および画分-IV (分子量, 約30,000) の4つの画分に分離し, これらをポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析したところ画分-Iは4本, 画分-IIは6本, 画分-IIIは5本, 画分-IVは2本の移動度の異なるバンドがそれぞれ検出された。
    さらに, 画分-IVについてDEAEセルロースカラムクロマトグラフィーにより再分画をおこなった結果, IV-A, IV-B, IV-C, IV-Dの4つの成分が得られ, そのうち, IV-A, IV-C, IV-Dの3成分は電気泳動的に単一成分であり, SDSゲル電気泳動法で分子量を推定したところいずれも29,000であった。
  • 佐藤 茂, 赤井 弘
    1977 年 46 巻 5 号 p. 397-403
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    鱗翅目昆虫においては, 幼虫期に翅芽に隣接して造血器官が存在する。この造血器官の機能を明確にするために, カイコの造血器官の発達を光顕および電子顕微鏡で追究した。
    1. 孵化直後においては, 25~30個の細胞からなる造血器官が存在しており, 1齢脱皮期にはすでにこの器官から若い血球を放出している。
    2. 5齢起蚕の造血器官には電子密度の異なる二種類の cysts が観察される。一つは電子密度の低い球形の細胞群であり, 成長して顆粒細胞になるものと考えられる。他の一つは電子密度の高い方形の細胞群であり, プラズマ細胞になるものと思われる。
    3. 蛹化時に造血器官は消失する。この時期に, 造血器官を被う被膜も崩壊し, 一度に全ての血球が放出される。この時の血球はすでは体液中の血球と同じ特徴を具えている。
  • II. 罹病クワ組織内におけるマイコプラズマ様微生物の季節的消長
    川北 弘
    1977 年 46 巻 5 号 p. 404-410
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワ萎縮の病徴発現の特異性を罹病組織内の病原の存在様相から究明する目的で, 冬期と夏期に採取した罹病桑の枝条と根の組織内における病原の存在様相を電子顕微鏡で観察し, 下記の結果をえた。
    1. 枝条内の病原は落葉後漸次減少し, ポット植えの八丈桑では2月以後, ほ場栽植の一ノ瀬では1月以後からそれぞれ全く検出されなくなった。しかし, 根においては, 八丈桑では冬期中でも常に検出され, 一ノ瀬では1月以後減少はしたが, 全く消失することはなかった。根における病原の残存数は春の発病時期および発病程度と関係があるものと考えられた。
    2. 夏期における罹病桑株の観察では, 葉, 新梢, 根のいずれにも病原は検出されたが, 新梢先端部や幼根部にもっとも多く, 葉柄, 葉脈や木化した新梢基部あるいは木化根には少なかった。
  • 西村 利三郎
    1977 年 46 巻 5 号 p. 411-415
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    冷蔵日数25日の短期冷蔵浸酸種の実用孵化歩合を高めるための実験を行ない, 次のような結果が得られた。
    短期冷蔵浸酸卵を, 出庫直後, 直ちに35℃~40℃に120分~180分間接触させ, 塩酸濃度22%, 液温48℃で7分程度浸酸すると, 高い実用孵化歩合が得られた。またこの場合, 産卵後24℃に保護して40~50時間後に冷蔵するのが, もっとも効果的であった。
  • 倉田 俊一, 坂口 文吾
    1977 年 46 巻 5 号 p. 416-420
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. カイコ休眠胚の休眠状態の変化に伴い, 胚細胞のrRNA遺伝子の活性が変化するか否かについて検討した。
    2. rRNA遺伝子の作用発現の場である核小体が, 休眠中小さく, 休眠を破られた時点では非常に大きく, その後発生が進むにつれ少しずつ小さくなってゆくことが位相差顕微鏡観察で認められた。
    3. rRNA遺伝子の活性を, 3H-Uridine のとり込み及び電気泳動法を用いて調べた結果, 核小体の大きさはrRNA遺伝子の活性に対応して変化した。すなわちrRNAの合成活性の値は休眠中は低く, 休眠の破れた時点では非常に高く, 休眠が破れた後発生が進むと前二者の中間であった。このことは, 休眠胚では休眠状態の変化に伴いrRNA遺伝子の活性が調節されていることを示唆するものである。
  • IV. 原料繭特性-接緒の生起-生糸品質
    三浦 幹彦
    1977 年 46 巻 5 号 p. 421-426
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    原料繭特性が繰糸中の接緒現象とどのように関連しているか考察した。その結果, これまで複雑な現象として解明されていなかった定繊度繰糸における接緒の生起と原料繭の特性との関連を全て明らかにすることができた。
    また, この結果を利用して接緒要求情報を生糸品質管理の指標の一つとした自動管理のあり方について考察し, 接緒要求間隔の平均値とともに短い間隔の発生割合にも注目する必要があることを指摘した。
  • I. クロレラに対する蟻蚕の摂食行動
    小片 真弓, 山田 弘生, 深田 哲夫, 代田 稔
    1977 年 46 巻 5 号 p. 427-432
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 有機物を炭素源として大量培養したクロレラを蚕の人工飼料の成分として用いる可能性を検討するために先ず蟻蚕の摂食行動に対する影響をしらべた。
    2. 寒天ゲル10mlに桑葉粉末1.2gを含ませた飼料を基本とし, この桑葉粉末の一部をクロレラでおきかえたものに蟻蚕を掃立て24時間後の排糞数を求めた。対照区としてクロレラのかわりに同重量のセルロース粉末を含むものを用いた。
    3. クロレラを含む飼料に対する排糞数はセルロース粉末を含んだものよりも常に少なく, クロレラには蟻蚕の摂食に対する阻害因子の存在することが推定された。
    4. クロレラ中の摂食阻害因子はクロレラをメタノール抽出することによって一部とりのぞけること及びクロレラの蛋白質区分を用いれば阻害効果が少ないことが判った。
    5. 実用蚕品種の間にクロレラ中の摂食阻害因子に対する感受性の差のあることが判った。
    6. 桑葉粉末50%+クロレラ50%の人工飼料に対する蟻蚕の摂食は在来の大豆配合飼料の場合にくらべておとらないことがわかった。これはクロレラを人工飼料の蛋白源として使用する可能性を示している。
  • 小森 三郎
    1977 年 46 巻 5 号 p. 433-439
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    2眠蚕系統, 優性3眠蚕, 劣性3眠蚕および5眠蚕を供試して, JH投与による眠性変化の状況を観察し, それらの系統におけるアラタ体活性を検討した。
    1. 2眠蚕系統から分離した3眠蚕の終齢におけるアラタ体活性は非常に強い状態にあると考えられる。また2眠蚕の発現は, この強いアラタ体活性に起因するのではないかと思われる。また2眠蚕系統より分離した3眠蚕の3齢期にJHを投与すると早熟2眠蚕が出現する。
    2. 優性3眠蚕の終齢におけるアラタ体活性は, 伴性成熟遺伝子の Lme をもつ系統と同程度に弱い。
    3. 劣性3眠蚕の4齢期におけるアラタ体活性は極度に弱い状態にあると思われる。
    4. 劣性3眠蚕の4齢期にJHを投与し, 完全な幼虫形態をもつ過剰齢幼虫を作出することができた。この過剰脱皮蚕はその後の飼育によって正常に化蛹化蛾した。
    5. 5眠蚕の終齢におけるアラタ体活性は比較的強いが, 伴性成熟遺伝子の Lm 系統や2眠蚕のそれより弱いと思われる。
  • 木原 始, 土井 良宏, 筑紫 春生
    1977 年 46 巻 5 号 p. 440-442
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    成虫翅がほとんど伸展しない劣性自然突然変異, しわ翅 (wri) の連関分析を行った。検索の結果, wri は第14連関群に所属することが明確であるので, さらに Nd-s, U 両遺伝子を基準に選び3点実験を行った。従来, 第14連関群では Nd-s が基点とされてきたが, wri の座位は Nd-s 座の左方へ19.2, すなわち, -19.2となることが判明日したので, 第14染色体地図の基点, 0.0は wri に改められるべきことになる。これに伴い既知の遺伝子の座位も Nd-s:19.2, odk:32.5, Nl:35.2, U:40.5, oa:42.2, Di:43.2 にそれぞれ変更されなければならない。
  • 大山 勝夫, 返田 助光, 佐藤 光政, 岡 成美
    1977 年 46 巻 5 号 p. 443-450
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    生育途上における摘葉程度がその後の桑の生長に及ぼす影響を明らかにするために, ポット植桑苗を用い, 全葉面積の0/4, 1/4, 2/4, 3/4および4/4に相当する葉を下方から摘葉するC区 (それぞれC-1, C-2, C-3, C-4, C-5区という) と, これに加えて10日ごとに反復摘葉するT区 (それぞれT-1, T-2, T-3, T-4, T-5区という) を設け, 全生育期間を通じた乾物生産量を調べた。得られた結果の大要は次の通りである。
    1. 桑枝条の伸長生長に対する摘葉の影響は全葉面積の3/4程度まで摘葉量を増やしても無摘葉との間にほとんど差異は認められなかった。
    2. 生育期間を通じた全乾物生産量はC区では3/4程度まで摘葉程度が増加してもあまり減少しないが, T区では摘葉程度の増加に伴なって減少した。C-5区やT-5区のような強度の摘葉処理では全乾物生産量の減少は顕著であった。
    3. C区とT区とを比較すると2/4以下の軽い摘葉であれば反復摘葉したT区の方が全生育期間を通じた乾物生産量は多かった。そしてこの傾向は葉の生産量において一層顕著であった。
    4. 葉への乾物分配率は摘葉程度が大きくなるにつれて増大し, また反復摘葉によっても同じ傾向が認められた。
    5. 純同化率 (NAR) は摘葉程度の増大や反復摘葉によって高くなった。
    6. 枝条および株の組織粉末比重は摘葉程度が大きい場合に低くなる傾向を示した。
  • 塩崎 英樹, 中村 邦雄
    1977 年 46 巻 5 号 p. 451-452
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 井上 元
    1977 年 46 巻 5 号 p. 453-454
    発行日: 1977/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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