中腸組織, 胃腔膜および消化液プロテアーゼの関係について, カラムによる溶出パターン, 酵素活性および免疫学的方法によって比較検討した。
セファローズ6Bカラムによって分離すると, 中腸と胃腔膜の結合型プロテアーゼのピークの位置が一致した。遊離型プロテアーゼについても, 中腸, 胃腔膜および消化液プロテアーゼの溶出位置に関連性がみられた。また, 中腸の結合型プロテアーゼをルブロールWXによって可溶化すると, 消化液プロテアーゼの第2のピーク (6B2) に相当する酵素に転換することがわかった。
さらに, 胃腔膜プロテアーゼの重量当りの活性は中腸のものより少し低い程度であるが, 比活性でみると高く, むしろ消化液のプロテアーゼ活性に近かった。また, 上記3つの起源のプロテアーゼは, 免疫学的には区別できないことが明らかになった。
得られた結果から, 中腸組織のプロテアーゼが胃腔膜で保留あるいは濃縮され, 消化液のプロテアーゼとして放出されるものと推論した。また, 中腸から消化液プロテアーゼへ, あるいは消化液プロテアーゼ3型の相互転換についても論じた。
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