生育中の枝条を伐採した際に, 残葉がその後の再生長に対して果たす役割については不明な点も多い。そこで, 年に2度の伐採を繰り返した枝条の摘葉を行って, 全摘葉区, 古条残葉区, 新梢残葉区および新梢・古条残葉区の4区を設定し, 各区の再生長ならびに貯蔵物質量などから残葉の効果を検討した。その結果の大要は次の通りである。
1. 残葉の有無によって再生新梢の生長の状態が異り, 伐採後40日間の生長曲線は全摘葉区で双曲線残葉各区でS字型のカーブを示した。
2. 全乾物重は新梢・古条残葉区が最も多く, 次いで新梢残葉区, 全摘葉区, 古条残葉の順であった。
3. 乾物当りの炭水化物含量はでんぷん量が糖含量を大幅に上まわっており, また, 残葉各区では器官が新梢→根へと下部に移行するにともなって, 糖に対するでんぷんの割合が増加した。
4. 器官当りのでんぷん量は各区とも株, 根, 古条, 新梢の順で高かったが, 特に株において著しく高い含量を示した。しかし, 全摘葉区の場合に限り低い値となり, 残葉各区の15~20%であった。
5. 残葉は伸長生長を初期において促進したが, 後期になると生長の減少, 停滞傾向を示した。
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