日本蚕糸学雑誌
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48 巻, 6 号
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  • 尾暮 正義
    1979 年 48 巻 6 号 p. 433-438
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    第1報の材料を用い, 澱粉ゲル電気泳動法によりパーオキシダーゼおよびインドール酢酸オキシダーゼのアイソザイムパターンと, 枝条伸長性等の形質を調査し, 多胚種子形成の要因を考察した。
    1. 多胚種子実生のアイソザイムパターンは両親の中間の型を示した。
    2. 1個の多胚種子から生長した1組の実生間でアイソザイムパターンの差異が認められるものが調査個体22の中11個あった。
    3. 多胚種子実生の枝条長は対照の実生よりかなり劣り, 多胚種子から生長した1組の実生の間では発芽時の同大型はその後の生長も大きな差がなく, 大小型は差が大きく出る傾向があった。しかし, 発芽時の同大型, 大小型と枝条長に一定の関係が認められない場合もあった。
    4. 多胚種子実生から発芽した1組の実生の間で比較すると, 大部分は葉および芽の形態, 樹色などに差は認められなかったが, 1組の多胚種子実生間に葉の形において差異が認められた。
    5. 以上の結果, 多胚種子から発芽した1組の実生の間に遣伝的な差異があったと考えられるので, 多胚種子の多くは受精胚分割によって発生したものでなく, 1胚のうに2個以上の卵細胞を形成し, それが各々受精したか, 1個の卵細胞とそれ以外の胚のう構成細胞が受精して形成したものと推察される。
  • 須藤 允, 宗 従男, 岡島 輝雄
    1979 年 48 巻 6 号 p. 439-443
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑の葉位による葉質の相違が, 蚕の成長ならびに繭質に及ぼす影響を明らかにする一連の試驗を続行中である。今回初秋蚕期の春切桑を対象とし, 飼育はプラスチック製容器 (容量1500ml) に5齢蚕を一頭ずつ入れ, 給桑ごとに同一葉位の葉1枚を1日2回給与した。給与桑は普通桑園から平均条長に近い条桑を慣行の中間伐採法で給桑の直前に収穫した。また, 葉位は最大光葉を基として下方に55葉位までを使用した。その結果の概要は次のとおりである。
    1. 葉位と5齢4日目以降の蚕体重との間には負, 5齢中の全蚕糞乾物量との間には正のそれぞれ有意の相関が認められたが, 5齢中の全乾物食下量との間には有意の相関は示されなかった。また, 蚕の熟期は葉位が下位になるほど遅れる傾向がみられた。
    2. 繭重あるいは繭層重と葉位との間にはいずれも有意の負の相関が認められ, 繭形も葉位が下位になるに従って小さくなる傾向を示した。
    3. 以上の結果, 葉位に基づく葉質の差は蚕の成長, 繭質に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
  • 古田 要二
    1979 年 48 巻 6 号 p. 444-448
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    SFV, 伊那株およびIFVの病原性と抗原性に及ぼす理化学的処理の影響について実験を行った。
    1. 熱処理がウイルスの抗原性と病原性に及ぼす影響は, 伊那株≦SFV<IFVの順であり, 65℃処理における不活化対数でも同様の傾向が示された。
    2. 層ホルマリン処理がウイルスの抗原性と病原性に及ぼす影響は, 伊那株≦SFV<IFVの順であり, 0.5%ホルマリン処理における不活化対数でも同様の傾向が示された。
    3. エーテルおよび各種洗剤によるウイルスの不活化実驗では, SFV, 伊那株およびIFVのいずれのウイルスもエーテル処理による影響はみられなかったが, コンタミノン, ハイター, ハイアライおよびライポンFの5%溶液処理で幾分不活化効果が認められた。
  • IV 絹糸の水中転移温度
    北村 愛夫, 柴本 秋男
    1979 年 48 巻 6 号 p. 449-454
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹の水中における転移温度を明らかにしようとして, 練糸を供試し, ポリマーを水中に浸漬した場合の二段収着の理論を考慮し, ζ-電位の水和過程の温度依存ならびに水中での収着量の経時変化の温度依存から求められる活性化エネルギーの変化の両面から追究し, つぎの結果を得た。
    1. 水和と拡散の異なる機構をもつ二段収着理論を反映し, ζ-電位の電位低下定数は約35℃に極小値をもつ二本の速度定数に相当する勾配をもつ直線があらわれ, 35℃近辺に転移温度が存在すると考えられる。
    2. 水中での収着量の経時変化の温度依存から求められる活性化エネルギーに相当する勾配でも, 温度に対し勾配の向きの異なる2本の直線が35℃近辺で交差し, ζ-電位の電位低下の実験と一致する結果を得た。
    3. 転移温度を中心とする温度に対しての活性生化エネルギーに相当する勾配の向きは, 疎水性ポリマー/染料系と異なり, 親水性ポリマー/水系では低温ほど収着が促されるという温度に対し負の勾配をもつ直線が得られた。
  • 嶋崎 昭典, 羽賀 秀二郎, 竹内 幸子, 有賀 功治
    1979 年 48 巻 6 号 p. 455-460
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    K本の繭糸が独立に繰糸されている定粒繰糸過程を考える。生糸糸長が同じ繭糸束から構成されていれば, ここではそれを同質生糸糸長と呼ぶことにする。そのとき, 構成繭糸の本数が7本以上にこなれば同質生糸糸長y
    g(y)=K/μe-K/μy
    なる指数分布で与えられることが知られた。ここにμは解じょ糸長分布の平均値である。また, 生糸上に一定区間Lをとる。そして, L内で落緒と落緒の間の長さによって定まる同質生糸糸長を考えた。理論的, 実験的考察からこのときの同質生糸糸長yの確率密度は
    fn(y)=n/L(1-y/L)n-1
    で示されることが知られた。ここにnL内の落緒数であり, n≧2である。
  • 柳川 弘明
    1979 年 48 巻 6 号 p. 461-468
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料に添加するグルコース量の相違が家蚕幼虫におけるトレハロースの合成, 分解, 利用ならびに代謝回転速度に及ぼす影響について検討し, 次の結果を得た。
    1. 幼虫における14C-U-グルコースからの14CO2呼出は飼料グルコース添加量の増加に従って著しく促進された。しかし14C-U-トレハロースからの14CO2呼出は14C-U-グルコースに比較して著しく少なく, 呼出割合の変動も小であった。
    2. 血液トレハロースの半減期は飼料グルコースの添加量を0%から10%まで増加させるに従って約3時間から10時間までとほぼ直線的に遅延したが, それ以上のグルコース添加飼料区では再び短くなった。
    3. 血液トレハロースは遊離アミノ酸および脂質の合成に利用されることが判明した。
    4. トレハロースの合成能はグルコース無添加飼料区では促進され, グルコース添加量の増加に伴って低下した。
    5. 以上の諸結果から, 幼虫血液のトレハロース恒常性維持における代謝回転速度の変動について考察し, トレハロースの生理的役割についても論議した。
  • 土田 耕三, 吉武 成美
    1979 年 48 巻 6 号 p. 469-472
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料育蚕の休眠性におよぼす幼虫期の光, 温度および栄養条件などの影響について検討した。低温暗催青を行った場合は, 幼虫期の飼育環境に関係なく常に非休眠性蛾が出現した。高温明催青し25℃で飼育した場合は, 幼虫期の日長条件によって休眠性は変化し, 24Dでは桑葉育の場合と同様にすべて休眠性蛾となったが, 24Lでは非休眠性蛾が混在し, 休眠率は飼料組成によって異なった値を示した。さらに日長を20L4Dにすると一層非休眠性蛾の出現が増加した。また幼虫期を20L4Dの日長条件で飼育した場合25℃よりも30℃において, 非休眠性蛾が一層増加し人工飼料の種類に関係なく大部分が非休眠性蛾となった。また, 同一環境条件においた集団内での休眠性は, 経過日数の絶対値に関係なく羽化の早いものが非休眠性蛾となり, 晩いものは休眠性蛾となる傾向が認められた。
  • 清水 滉, 岩崎 純子, 坂口 育三
    1979 年 48 巻 6 号 p. 473-476
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹糸にニッケル (II), 銅 (II) および亜鉛 (II) を吸着させ, それら金属イオンの吸着量と絹糸の光劣化の関係を調べ, 以下の結果が得られた。
    ニッケル (II) および銅 (II) は絹糸の光劣化を抑制する効果があり, その抑制効果はこれら金属イオンの吸着量が増すにつれて大きくなる。一方, 亜鉛 (II) は光劣化を促進し, しかも吸着量が増すにつれてその程度が大きくなることが認められた。
  • IV 繰糸速度別生糸の機械的性質に及ぼす水分の影響
    北村 愛夫, 柴本 秋男, 仁藤 敬一
    1979 年 48 巻 6 号 p. 477-483
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    生糸の機械的性質の湿度依存性に極大点があらわれる現象について, 繰糸速度別生糸を供試し, 水分子の拡敷挙動の湿度依存性, 水分子の吸着状態を明確にする HENDERSON の理論およびクラスター理論, 応力緩和時間の分布関数に近似する定数kの湿度依存性から追究し, つぎのことを明らかにした。
    1. HENDERSON の理論の適用により機械的性質の湿度依存に極大点のあらわれる領域は吸着水IIの領域であることがわかった。
    2. 応力緩和時間の分布関数に近似する定数kの湿度依存性の挙動から, 相対湿度の上昇にともなって分子鎖間に水分子による架橋が生じ, この架橋により生ずる内部粘性 (η2) のため彎曲点があらわれるものと考えられた。
    3. 高相対湿度領域 (吸着水IIIの領域) でクラスターが形成され, 分子鎖の水素結合による相互作用が顕著に緩和されて強力は低下し, 水分子の拡散は最も容易となり, 定数kは再び上昇する。
  • 加藤 靖夫, 中山 伸, 武内 民男
    1979 年 48 巻 6 号 p. 484-490
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕幼虫血液蛋白質は, セファデックスG-150を用いるゲル滬過により4画分に分離される。低分子画分の一つとして溶出されるF-III蛋白の粗分画を, セファデックスG-150による再ゲル滬過をし, 続いてDEAE-セルローズおよびTEAE-セルローズを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離精製をした。それによって得られた個々の蛋白画分についてアミノ酸組成と各画分の分子量を調べた。
    DEAE-セルローズカラムクロマトグラフィーにより得られた3つの画分 (III-A, III-B, III-C) のアミノ酸分析の結果は, いずれもアスパラギン酸, グルタミン酸の酸性アミノ酸を多く含有し, 前報で述べたF-IV蛋白からDEAE-セルローズカラムクロマトグラフィーにより分離された画分のアミノ酸組成と類似していた。さらにTEAE-セルローズカラムクロマトグラフィーを行なったところ, F-III蛋白は8画分 (III-A1~III-C3) に分離された。これらの画分をポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した結果, 各画分から2~7本の蛋白バンドが検出され, いずれも電気泳動的に単一でなかった。このことから, F-III蛋白の8画分にはそれぞれ分子量が23,000~26,000の間の主成分と, 分子量が47,000~74,000の間の小成分とが存在することが認められた。
  • (1) 雌雄モザイクにおける触角の形態変化
    長島 栄一, 前島 潤子, 武井 隆三, 金勝 廉介, 中垣 雅雄
    1979 年 48 巻 6 号 p. 491-496
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕の遺伝的雌雄モザイク (mo) を供試し, それらに形成された触角について観察を行った。その結果, 触角の大きさ, 色調および雌蛾に対する被誘引の関係などから, 雌雄の中間型を示す触角の形成される事実のあることを認めた。さらに, この中間型の形成について考察を行い, 雌雄モザイクは, 間性的な性質をもつことを推論した。
  • 三浦 幹彦, 嶋崎 昭典
    1979 年 48 巻 6 号 p. 497-504
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    測定糸長hを単位として一粒の繭の繊度変化を示す式を「測定糸長hの繭糸繊度曲線」と呼ぶことにした。(繊度測定値)=(品種平均)+(個体に固有な変量)+(誤差) の確率モデルを仮定し, 繭糸繊度曲線の持つ集団特性を的確に把握した。測定糸長33.75mの繭糸繊度に4次式をあてはめ, 3品種に対して平均繭糸繊度曲線, 繭糸繊度曲線の共分散行列と相関行列とを推定した。その結果, 繊度測定値の位置別分散の変化をこのモデルでうまく説明できるのが知られた。また繭糸繊度曲線の位置間に相関があるとするのが妥当と思われた。
  • IV 曲げかたさと曲げ回復性の評価
    横沢 三夫
    1979 年 48 巻 6 号 p. 505-510
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹織物の腰に関係する力学的特性を評価するため, 曲げかたさと曲げ回復性について検討した。
    先練織物の曲げかたさBlFは, 交錯による影響が大きい。この交錯効果の推定は曲げ摩擦偶力C0Fから行うことが可能である。曲げかたさと摩擦偶力を両軸とするC0-Blプロットは, 後練織物では直線的となり, C0/Bl=K0の値がほぼ一定となるが, 先練織物の場合は広範な分布を示して, C0/Blの値はK0と一致した分布をとるようになる。衣料用絹織物の曲げかたさは, ほぼ0.005~0.5g・cm2/cmの範囲に入っている。
    一方, 先練織物のC0/Blの値がブロードな分布をとるために, そのC0-Blプロットは腰の強弱と曲げ回復性のよしあしの評価に使うことができる。これを使えば, 簡単な方法で織物設計や加工処理効果の判定が可能となる。摩擦偶力C0や残留曲率K0がしわ回復角と明かな傾向をもっているために, 曲げ回復性は繊維, 糸の接触状況に大きく左右されることが判る。
  • 西出 照雄
    1979 年 48 巻 6 号 p. 511-516
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    繰糸中に生起する接緒と落緒の情報を収集する目的から, 接緒・落緒情報の抽出方法について検討した。
    1. 接緒・落緒情報は, アナログ情報処理手法を用いて繰糸中に連続する電気信号として得られる生糸繊度信号より抽出する。
    2. 接緒及び落緒回数とそれらを繭糸の細太別に分類する方法は, 設定した各比較電圧と接緒・落緒情報の信号電圧との電圧比較及びデコーダによる論理判断により行なう。
    3. 本手法に基づいて試作した実験用接緒・落緒計測装置は入力信号の雑音除去と平滑化を行なう低域滬波部, 電圧比較部, 論理部, 出力部及び電源部等から構成されている。基本的な実験結果から, 本手法は生糸繊度信号から接緒及び落緒の情報を抽出し, さらに接緒, 落緒繭糸の細太を分別して計数表示できる可能性がある。
    4. 本手法を実用面において効果的に用いるためには, 接緒・落緒情報の検索間隔, 入力信号の遮断周波数, フィルタの種類, 比較電圧のレベル等が計測精度に与える影響について詳細に検討することが必要である。
    なお, 本報の一部は日本蚕糸学会第49回学術講演会において発表した。
  • VIII 反応染料に対する染色性
    加古 武, 片山 明, 黒木 宣彦
    1979 年 48 巻 6 号 p. 517-520
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    付加反応タイプのアニオン系スルファトエチルスルホン型反応染料であるC. I. Reactive Blue 19を用い, 絹およびスチレングラフト絹繊維に対する染色性を調べ, グラフトすることによって絹繊維の反応性がどのように変化するかについて検討し, 次の結果を得た。
    1) 絹およびスチレングラフト絹繊維の最大固着染料量はpH8前後で得られる。
    2) スチレングラフト絹繊維の固着染料量は精練絹のそれよりわずかに増大する。
    3) 反応染料との反応に関与しうる絹およびスチレングラフト絹繊維中のアミノ基は全アミノ基含量の約70%である。
  • 松波 達也
    1979 年 48 巻 6 号 p. 521-525
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    生育中の枝条を伐採した際に, 残葉がその後の再生長に対して果たす役割については不明な点も多い。そこで, 年に2度の伐採を繰り返した枝条の摘葉を行って, 全摘葉区, 古条残葉区, 新梢残葉区および新梢・古条残葉区の4区を設定し, 各区の再生長ならびに貯蔵物質量などから残葉の効果を検討した。その結果の大要は次の通りである。
    1. 残葉の有無によって再生新梢の生長の状態が異り, 伐採後40日間の生長曲線は全摘葉区で双曲線残葉各区でS字型のカーブを示した。
    2. 全乾物重は新梢・古条残葉区が最も多く, 次いで新梢残葉区, 全摘葉区, 古条残葉の順であった。
    3. 乾物当りの炭水化物含量はでんぷん量が糖含量を大幅に上まわっており, また, 残葉各区では器官が新梢→根へと下部に移行するにともなって, 糖に対するでんぷんの割合が増加した。
    4. 器官当りのでんぷん量は各区とも株, 根, 古条, 新梢の順で高かったが, 特に株において著しく高い含量を示した。しかし, 全摘葉区の場合に限り低い値となり, 残葉各区の15~20%であった。
    5. 残葉は伸長生長を初期において促進したが, 後期になると生長の減少, 停滞傾向を示した。
  • 中曾根 正一
    1979 年 48 巻 6 号 p. 526-532
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕の胚発生に伴う脂質成分の量的変動とエネルギー源としての脂肪酸の役割を検討し, 次の結果を得た。
    1. 蚕卵脂質の総量は胚発生に伴って徐々に減少したが, これは主としてトリグリセリドの減少によるものであった。
    2. 蚕卵燐脂質量の胚発生に伴う変化は認められなかった。しかし, 脂質に占める燐脂質の割合が高まった。
    3. 蚕卵の脂肪酸含量は胚発生に伴って徐々に減少したが, その脂肪酸組成の変化は極めて少なかった。
    4. 卵形成期の蛹に〔1-14C〕パルミチン酸を注射すると, パルミチン酸からの14Cは主として蚕卵のトリグリセリドに取り込まれた。この14Cパルミチン酸で標識した卵において, 胚発生に伴い蚕卵中のトリグリセリドの14Cが減少し, 一方では蚕卵より14CO2が呼出された。
    5. 胚発生において蚕卵より呼出される二酸化炭素の約2/3は脂肪酸の消耗に由来することが明らかとなり, エネルギー源としての脂肪酸の役割はグリコーゲンよりも大きいこを指摘した。
  • 1979 年 48 巻 6 号 p. 533
    発行日: 1979/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    エクアドルにおけるアフリカアブラヤシの Marchitez Sorpresiva 病に関連するべん毛虫の電子顕微鏡像
    Bacillus thuringiensis var. kurstaki, var. finitimus, var. sottoならびにB. popilliaeにおける染色体外DNA
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