日本蚕糸学雑誌
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49 巻, 1 号
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  • III. かさ高生糸とその織物の物性について
    石川 博, 奈倉 正宜, 木塚 勝彦
    1980 年 49 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究は生糸の抱合性を悪くするという製糸条件のもとでかさ高生糸を試作し, さらにこの生糸を用いて絹織物を試織し, 素材生糸のかさ高性が織物となったとき, どのように生かされているかを検討した。
    その結果, 柔軟でしわ回復性に富むかさ高い織物がえられ, 素材生糸のかさ高性は織物を構成するフィブロイン繊維相互の空隙の形成に大いに役立ち, セリシンの溶出はそれを助長しているものと推定した。
  • 清水 久仁光, 田中 教夫, 松野 道雄
    1980 年 49 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1齢幼虫のまま眠に就かず致死する遺伝的不眠蚕 (nm) の連関分析を行った。その結果, nmは第11連関群に所属することが判明した。そこでK, mp両遺伝子を基準に選び3点実験を行い, nm遺伝子の座位を第11連関群1.9と決定した。併せてnm遺伝子を安全かつ効率よく保存するためにKを標識遺伝子として組合せる方法を検討した。
  • IX. 1:2型金属錯塩染料に対する染色性
    加古 武, 片山 明, 黒木 宣彦
    1980 年 49 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹およびスチレングラフト絹繊維に対するC. I. Acid Violet 78 (1:2型金属錯塩染料) の染色性を, 染色平衡および染色速度の立場から検討した。その結果はつぎのようである。
    1) 絹およびスチレングラフト絹繊維における染料の染色等温曲線は, 一定pHではラングミュア型に近い曲線で表わされ, それらの染着量はpHの増加とともに減少した。
    2) 絹およびスチレングラフト絹繊維の染着機構は, 染料のアニオンと繊維中のプロトン化されたアミノ基との間に造塩結合が存在するものと考えられる。
    3) 絹とスチレングラフト絹繊維の飽和染着量は, pH3.42ではその差はみられないが, pH5.3, pH7.26ではグラフトするほど増加する傾向がみられた。これは, 染料アニオンと繊維中のカルボキシルアニオンとの間に電気的反撥が生じること, また染料の疎水部とグラフトポリスチレンのポリマー鎖の間に相互作用がおこることによるものと考えられる。
    4) スチレングラフト絹繊維の染料に対する染色速度は絹のそれよりも小さい。これはグラフトすると繊維の膨潤度が減少することおよび負のジーター電位が増加することによるものと考えられる。
  • II. 水溶性高分子と繊維加工用樹脂の添加効果
    石坂 弘子, 柿木 英夫
    1980 年 49 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    品質不良繭の解じょ率を向上させる研究を進める基礎として, 蛋白質と相互作用を有すると考えられる水溶性高分子とホルマリンおよび尿素系繊維加工用樹脂を熱水に添加し, セリシンの熱水溶解性への影響について実験を進めたところ, つぎのような結果を得た。
    1. ポリアクリルアミドは煮沸時間が長くなるに従いセリシン溶解の抑制効果は大きくなる。常温ではわずかに溶解を促進する。
    2. ホルマリンはセリシン溶解度を抑制するが糸質が粗硬になり, 着色する。
    3. ジメチロールエチレン尿素は0.1%濃度でセリシン溶解度を抑制する。また尿素ホルマリン樹脂, ウロン樹脂, グリオキザール樹脂の場合も同様にセリシンの溶解を抑制する。このことから煮繭に応用して長時間加熱しても繭の煮崩れも起こすことがないと推測できる。
  • 柳 平司, 平林 潔, 荒井 三雄
    1980 年 49 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    PMLG繊維のγ線照射による物理的性質の変化について調べた結果, 照射線量の増加に伴ない強伸度分子量とも著しく減少し, それらの間にはいずれも指数関数的関係が成り立つ。つぎに微細構造に及ぼすγ線の影響を調べた結果, 結晶領域にはほとんど変化は認められないが, 非晶領域における分子鎖の切断により微結晶間の凝集状態が低下するため, 熱的性質が劣化することをDSCにより確かめた。
  • 1. 有機溶媒による絹糸の収縮挙動
    平林 潔, 大木 良一, 重松 正矩, 荒井 三雄
    1980 年 49 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹糸を種々の有機溶媒で処理しながら収縮応力を測定し, 微細構造との関係についてつぎのことを明らかにした。
    1. 絹糸に対し大きな収縮応力を発生させる溶媒は水溶性で, その溶解度パラメーターは絹の溶解度パラメーターに近いものである。
    2. スズ増量させた絹糸の収縮応力の測定およびX線回折法による面間距離の測定から, 絹の収縮力に関与するのは結晶領域ではなく非晶領域である。
  • 宮台 俊明, 山下 興亜
    1980 年 49 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    14C-ロイシンのたんぱく質画分へのとりこみ量を指標として家蚕卵巣の培養系の検討を行った。
    1. 卵黄形成期にある卵巣をWYATTの培養液中でインキュベーションし, 14C-ロイシンのたんぱく質画分へのとりこみのKm値およびVmaxを求めたところ, 各々0.7mMおよび100nmoles/時間/卵巣であった。
    2. 10mM以上のMg2+イオンを含む培養液では, 卵巣のたんぱく質合成活性の増加がみられた。しかしK+イオン (0~70mM), Na+イオン (5~75mM), ビテロジェニンーリポたんぱく質 (10, 30mg/ml) はその濃度のいかんにかかわらず影響を及ぼさなかった。また数種の糖類を添加した場合においても合成活性の変化は認められなかった。
    3. 発育時期の異なる卵巣のたんぱく質合成活性を培養系において比較し, 発育に伴う活性の変動を調べたところ, 蛹体内での合成活性の変動とよく一致していた。
  • II. 有機溶媒中における絹糸の機械的性質
    大木 良一, 平林 潔, 荒井 三雄, 重松 正矩
    1980 年 49 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹糸に収縮力を発生させる有機溶媒中で, その収縮力が一定になったとき絹糸の機械的性質を調べるとともに, 熱的考察を行ないつぎのようなことを明らかにした。
    1. 溶媒中での絹糸の強力, ヤング率は, 絹の溶解度パラメーターρF=12付近で最大となり, 伸度は最少値を示した。
    2. 溶媒の温度が高いほど絹の収縮応力は減少し, 緩和時間もはやくなった。
    3. 収縮応力が大きく, 緩和までの時間が速い溶媒で絹糸を処理すると, 機械的性質は若干劣化した。
    4. 溶媒の作用により生ずる収縮力と活性化エネルギーは比例関係にある。
  • II. 本属菌のアルデヒド脱水素酵素
    柳田 健郎
    1980 年 49 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Aspergillus 属菌のホルムアルデヒド耐性機作の検討過程において, 菌体中に含まれるアルデヒド脱水素酵素について検討し, 次の結果を得た。
    1. 菌体抽出液を酵素源として, 硫安およびアセトンで部分精製した酵素液中にアルデヒド脱水素酵素の存在を認めた。本酵素はNADを水素受容体とし, 反応液組成にGSHを添加すると著しく酵素活性が増加した。
    2. 本酵素の至適pHは8.1であった。
    3. 本酵素はホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド以外のアルデヒド類には作用は認められず, ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドに対しては特異的に作用した。また, アルコール類に対する作用はまったく認められなかった。
    4. 本酵素は熱に対して非常に不安定であった。
  • III. 本属菌のホルムアルデヒド抵抗性とアルデヒド脱水素酵素活性
    柳田 健郎
    1980 年 49 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Aspergillus 属菌のホルムアルデヒド抵抗性とアルデヒド脱水素酵素活性の関係について検討した。
    1. 本属菌菌体からの酵素活性は30℃, 7日間培養すると最高に達した。
    2. アルデヒド脱水素酵素活性は Aspergillus flavus-oryzae 系, Aspergillus tamarii 系および Aspergillus ochraceus 系の各菌種に認められた。
    3. ホルムアルデヒド接触がなかったと思われる Aspergillus oryzae系菌種 (No. 1366) にもアルデヒド脱水素酵素の存在が認められた。
    4. ホルムアルデヒド抵抗性が弱い菌株に比較して強い抵抗性を示す菌株ではアルデヒド脱水素酵素活性が高い傾向を示すことが認められた。
    5. Aspergillus 属菌をホルムアルデヒド添加培地で継代培養を行うと酵素活性が著しく増加した。
  • 今西 重雄
    1980 年 49 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑葉粉末23%を含む人工飼料を用い, 1, 2齢期における光の照度が蚕の発育におよぼす影響をみると, 蚕の発育はいずれの飼育温度 (25, 28および31℃) においても, 高照度 (400Lux) ほど劣り, その程度は日長時間が長くなるに従って強く現われ, 特に1齢蚕で顕著であった。給餌回数が少ない実験区では照度が高くなるに従って蚕の発育は著しく低下した。しかし, 飼育温度が高く, また日長時間が短い場合においてはその程度はあまり著しくはなかった。
    光の蚕の発育に及ぼす影響は蚕に対する直接の影響よりも, むしろ人工飼料に影響を与え, それを食下した蚕の発育を低下させるような間接的影響であることを明らかにした。
  • 卯野 忠子, 白田 昭, 鈴木 昭憲
    1980 年 49 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    乾燥萎縮病桑葉の50%メタノール抽出物のクロロホルム可溶部から比較的多量の methyl caffeate を単離し同定した。また正常桑葉のメタノール抽出物からも methyl caffeate が検出された。
    植物病原細菌5種を含む7種の細菌に対する methyl caffeate の抗菌力試験 (Table 1) を行ったが, これらのうち6種の細菌に対して抗菌活性がみられ, 特にX. oryzae では強い活性が認められた。
  • 倉田 俊一, 浜田 信之, 斎藤 彰, 足立 典子, 古賀 克己, 坂口 文吾
    1980 年 49 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ休眠卵からリボソームの抽出を試みた。得られたリボソーム標品はショ糖密度勾配遠心分離により, 80Sの沈降定数を示した。一般にリボソームは, タンパク質合成に関与しないとき, mRNAとtRNAが付着していないため, 高濃度の塩の存在下で60Sと40Sの亜粒子に解離する。休眠卵のリボソーム標品の大部分は高濃度塩に対し解離性であることが明らかとなった。すなわち, 休眠卵には不活性リボソームが貯蔵されていることが示唆された。冷蔵卵・冷浸卵では解離したリボソームの比率は低下した。このことはタンパク質合成系の活性化を示す。事実卵の酸不溶性画分への3H-ロイシンの取り込みは, 冷蔵・冷浸により上昇した。
  • 東城 功
    1980 年 49 巻 1 号 p. 73-74
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 石黒 善夫
    1980 年 49 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • III. セリシンのクリープ破壊
    荒井 三雄, 宮本 哲雄, 平林 潔
    1980 年 49 巻 1 号 p. 77-78
    発行日: 1980/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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