桑の栽植密度と生育との関係を生態学的視点から明らかにするため, ほ場での実験を行った。すなわち, 10a当り500, 1,000, 3,000, 6,000, 10,000および15,000株の6区を設定した。桑品種は剣持を用い, その古条を5月中旬に畦間・株間を等間隔として方形にさし木して造成した。植付1年目および2年目の調査結果から, つぎのような知見を得た。
1. 造成1年目には疎植区ほど側枝の発生が多く, 10a当り500株区では同化器官の乾物重で60%以上が側枝によるものであった。また, 側枝は疎植区で早い時期に, 主枝の下方から順次上方に発生し密植になるにつれて主枝の上部に発生する傾向がみられた。
2. 造成2年目には, 1株からの発条数が栽植密度によって異なり, 密植になるほど少なかった。また, 生育が進むにつれて密植区ほど枝条数の減少がみられ, 10a当り10,000株区, 15,000株区では2本未満となった。単位面積当りの枝条数は密植になるほど多かったが, 10月4日には10,000株区と15,000株区ではm
2当り約18本となった。
3. 桑樹による被度は密植にした区ほど早く大きくなり, 造成1年目の9月5日には, 10a当り1,000株以下の区で50%未満であるのに対し, 6,000株以上の区ではほぼ100%を示した。2年目では, 10,000株区, 15,000株区では発芽後約40日で90%以上となり, 70日後には3,000株以上の区では100%であった。
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