日本蚕糸学雑誌
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49 巻, 3 号
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  • 渡辺 喜二郎, 堀江 保宏
    1980 年 49 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    5齢期について飼料中の各種必須アミノ酸量を段階的に変え, 成長, 体液成分量および尿酸排泄量に及ぼす影響を検討した。得られた結果を要約すればつぎのとおりである。
    1) 10種類の必須アミノ酸およびプロリンについて, 飼料中の水準を変えて体重, 絹糸腺重の成長および絹糸腺の占める比率を検討した。必須アミノ酸の最少至適量はアミノ酸の種類により異ったが, 一般に体重に対する最少至適量より, 絹糸腺重および絹糸腺の比率に対する最少至適量の方が多い傾向がみられた。
    2) プロリンの水準を増しても, 体重, 絹糸腺重には著しい影響はみられなかった。
    3) 必須アミノ酸およびプロリンの水準を変え, 体液蛋白質量および遊離アミノ酸量を検討した。必須アミノ酸の増加につれ体液蛋白質量およびその比率は上昇したが, 遊離アミノ酸は次第に減少した。
    4) 同様に必須アミノ酸の欠如で急増した尿酸量は, 飼料の当該アミノ酸の増加につれて減少し平常値に復した。
    5) 絹糸腺重, 体液成分量および尿酸排泄量に対する必須アミノ酸量の影響から, 必須アミノ酸の最少至適量について検討した。
  • 平林 潔, 中村 宗知, 塚田 益裕
    1980 年 49 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ポリ-L-アラニン (PLA) のジクロル酢酸溶液からの等温結晶化により, PLAの結晶を得た。その形態的な検討を行なった結果つぎのようなことが明らかとなった。
    PLAの球晶における分子配列は, 球晶の半径方向に対し直角に整列していた。PLA溶液からPLA球晶を生成する最適条件は, 濃度0.1%において40~65℃であった。濃度のちがいにより観察される球晶の形態は著しく変化した。0.01%の希薄溶液から得られた球晶は, 単結晶の形に類似した dendrite 状であった。濃度が高い場合は分子間力による相互作用が強くなるため, 結晶核はわずか生長するのみであった。生成したPALの球晶の表面には, 同心円の弓状の特異的な突起がみられた。これは球晶の二次的結晶化によって, 求心的内部応力が生じ整合のわるい分子配列をした部分の突き出したために生じたものと推定した。
  • 平林 潔, 荒井 三雄, 重松 正矩
    1980 年 49 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    塩縮させた生糸の物理的性質を調べた結果, つぎのようなことが明らかとなった。
    1. 収縮率の増加に伴ない強度・ヤング率は低下し, 伸度は上昇する。
    2. 複屈折は直線的に減少する。
    3. 収縮が進むと, フィプロインの分解ピークは325℃から, 無配向型βになると現われる307℃に移行する。
    4. 収縮率が増すと寸法変化も大きくなり, 伸長し始める温度も低温側に移る。
    5. 動的弾性率も収縮率の増大に伴ない小さくなり, 温度変化に伴って弾性率を急激に減少させる温度も低温側に移行する。すなわち, 収縮率が大きくなると, フィブロイン分子鎖は動き易くなることを示している。
  • I 照射の時期または部位と発生との関係
    小林 芳弘
    1980 年 49 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ卵のUV透過性の測定と, 産下直後から胚盤葉初期までの各時期に, 卵の種々の方向からUV部分照射を行い, つぎの結果を得た。
    卵殻部分のUV透過率は1.8%であり, 卵殻, 卵黄膜, 周辺原形質複合体では0.6%であった。卵黄は6.3μの厚さのとき49.5%, 16.9μのとき37.2%であった。
    卵のUV照射による発生異常卵の出現率は, 発生の時期によって異なり, 成熟分裂期では比較的高いが, 分割期に入ると急激に低下し, 分割核の卵表への接近とともに再び高くなり, 胚盤葉初期に最高に達した。UV照射による発生異常卵は, 分割異常と胚異常に大別され, 前者は成熟分裂期に照射した場合だけに生じた。この種の異常は, 前極方向からの部分照射の結果から, 成熟分裂期の核に対するUV障害によるものと推定された。
    成熟分裂期に分裂核のある部域を黒マジック塗布によってUV照射から保護した卵, 分割期および胚盤葉初期の卵に, 卵の腹側または背側からUVを照射すると, 各時期とも腹側から照射した場合に, 胚異常卵が著しく高い割合で生じ, とくに, 分割核が周辺原形質に到達した胚盤葉初期には, 低線量のUV照射でも胚異常卵が高率に出現した。線量効果曲線の検討から, 胚盤葉初期の異常胚の出現は, 主として核のUV障害に起因するものと推定された。
    一方, 成熟分裂期分割期においては, 胚原基予定域の周辺原形質に対するUV障害が胚異常の原因になっているものと考察した。
  • 第2報 側枝の発生と枝条数の推移
    菊池 宏司
    1980 年 49 巻 3 号 p. 205-210
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑の栽植密度と生育との関係を生態学的視点から明らかにするため, ほ場での実験を行った。すなわち, 10a当り500, 1,000, 3,000, 6,000, 10,000および15,000株の6区を設定した。桑品種は剣持を用い, その古条を5月中旬に畦間・株間を等間隔として方形にさし木して造成した。植付1年目および2年目の調査結果から, つぎのような知見を得た。
    1. 造成1年目には疎植区ほど側枝の発生が多く, 10a当り500株区では同化器官の乾物重で60%以上が側枝によるものであった。また, 側枝は疎植区で早い時期に, 主枝の下方から順次上方に発生し密植になるにつれて主枝の上部に発生する傾向がみられた。
    2. 造成2年目には, 1株からの発条数が栽植密度によって異なり, 密植になるほど少なかった。また, 生育が進むにつれて密植区ほど枝条数の減少がみられ, 10a当り10,000株区, 15,000株区では2本未満となった。単位面積当りの枝条数は密植になるほど多かったが, 10月4日には10,000株区と15,000株区ではm2当り約18本となった。
    3. 桑樹による被度は密植にした区ほど早く大きくなり, 造成1年目の9月5日には, 10a当り1,000株以下の区で50%未満であるのに対し, 6,000株以上の区ではほぼ100%を示した。2年目では, 10,000株区, 15,000株区では発芽後約40日で90%以上となり, 70日後には3,000株以上の区では100%であった。
  • 田中 茂男, 清水 孝夫
    1980 年 49 巻 3 号 p. 211-217
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    稚蚕人工飼料育蚕における核多角体病の蚕座内感染を検討するため, ウイルス汚染の定形飼料片を蚕座の1部に置く給餌試験法を行って発病状態を調査した。すなわち3×2×0.3cm (A飼料片) または6×1×0.3cm (B飼料片) に調製した飼料片各5個を用いて, 3×12cmまたは6×12cmの蚕座を設定し, 飼料片の1片に核多角体浮遊液 (一部, 細胞質多角体浮遊液も比較のため用いた) を滴下してから, 各飼料片上に2齢起蚕50頭 (1部実験では30頭) を所定数ずつ配置する5試験区を設けた。そして恒温・恒暗条件下で飼育して, 発病率及び幼虫の移動性を検討した。その結果を要約するとつぎの通りである。
    1. A飼料片を用いた蚕座において, 核多角体浮遊液滴下飼料片との距離が最低8cmの位置にある飼料片上の幼虫でも, 実験開始3日後から病蚕が発生し, 高い発病率を示した。
    2. B飼料片を用いた蚕座において, 各飼料片上に配置した幼虫のそれぞれ経時的な移動分布及び核多角体病の発生状況を観察した結果, 幼虫が蚕座内を広い範囲で移動すると共に, 核多角体病の伝播性が高いことを認めた。またこの場合に, 28℃飼育より32℃飼育において発病率が高かった。
    3. A飼料片を使用した蚕座での細胞質多角体病と核多角体病の発生を, 実験打切り時点における一斉剖検での多角体形成個体も含めた感染率によって比較した結果では, 多角体浮遊液滴下の飼料片上に全供試幼虫を配置した試験区では差異は認められなかった。しかし供試幼虫の配置形式の異なる他の4試験区では, 核多角体病の感染率のほうが高かった。
  • 香川 敏昭
    1980 年 49 巻 3 号 p. 218-222
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    微粒子病原虫胞子に対するホルマリンの消毒効果を明らかにするため, ホルマリン濃度, 浸漬時間および処理温度と胞子死亡率との関係および消毒効果との関係について調査した。
    1. ホルマリン濃度が高く, 浸漬時間が長く, 処理温度が高くなるにともなって胞子死亡率は増大する傾向が認められ, さらに三者の各条件が組合わされることによって胞子死亡率は累加的に増大する傾向が認められた。
    2. 一定処理温度における消毒効果は, ホルマリン濃度と浸漬時間との相乗的な効果であって, その消毒有効限界値 (過酸化水素水による発芽0%) はホルマリン濃度と浸漬時間の積で表わすことができた。この積, 作用係数は処理温度が低下するにともなって増大し, 消毒に必要なホルマリン濃度は高く, また浸漬時間は長くなる傾向が認められた。
  • V. 含水フィブロイン膜の乾燥速度にともなう凝集構造と粘弾性の変化
    北村 愛夫, 柴本 秋男, 中村 宏
    1980 年 49 巻 3 号 p. 223-228
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 含水フィブロイン膜の含水率を変化させ, これに加える乾燥処理方法を同一として乾燥させた場合のフィブロイン膜について, あるいは含水率を同一にし, 乾燥処理方法を異にして乾燥させた場合のフィブロイン膜について, それぞれの膜のとる凝集構造と非晶領域における分子間水素結合エネルギーの分布であるラテラルオーダー曲線 (L. O. 曲線), あるいはそのねじり剛性率 (G′) の湿度依存における挙動との関連を追求し, 凝集構造の密なものほどG′は高く, また L. O. 曲線はG′によく反映するものであることがわかった。
    2. 内部摩擦Q-1 (tan δ) の湿度依存における分散の位置と, G′の極大または極小をとる相対蒸気圧の示す位置とはほぼ一致し, それぞれの処理によって凍結されている非晶領域の分子鎖の転移温度に関係あると考えられる。
  • 藤原 公
    1980 年 49 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ蛾から新らしい3種の Nosema spp. を分離し, それらの生物学的性状およびカイコ幼虫に対する病原性を調査し, つぎの結果を得た。
    Nosema sp. (M11): マルピギー管, 絹糸腺, 筋肉および脂肪体に寄生する。スポロントは2分裂し, 胞子は円筒形で3.9×1.7μm, 極糸は83μmである。分離は1970年茨城県であった。
    Nosema sp. (M12): マルピギー管, 絹糸腺, 筋肉および脂肪体に寄生し, 異常肥大する。スポロントは2分裂し, 胞子は円筒形で5.1×2.0μm, 極糸は118μmである。分離は1970年千葉県であった。
    Nosema sp. (M14): マルピギー管, 絹糸腺, 筋肉および脂肪体に寄生する。スポロントは2分裂し, 胞子は卵円形で4.2×2.4μm, 極糸は106μmである。分離は1971年新潟県であった。
    カイコ幼虫に対する Nosema sp. (M11) および (M14) の病原力は, Nosema sp. (M12) および N. bombycis のそれよりも弱かった。
  • 関口 治郎, 佐藤 光政
    1980 年 49 巻 3 号 p. 237-238
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 四方 正義, 廖 光正, サヌシ クスマプトウラ
    1980 年 49 巻 3 号 p. 239-240
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 杉山 浩, 佐藤 姚子
    1980 年 49 巻 3 号 p. 241-242
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 杉山 浩, 佐藤 姚子
    1980 年 49 巻 3 号 p. 243-244
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 岩成 義才
    1980 年 49 巻 3 号 p. 245-246
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 田中 茂男, 原 真佐夫, 石坂 尊雄
    1980 年 49 巻 3 号 p. 247-248
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 岩成 義才
    1980 年 49 巻 3 号 p. 249-250
    発行日: 1980/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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