消費科学的見地から, 各種洗浄処理が富士絹の風合い特性に, どのように影響を及ぼすかを, KES-Fシステム (布の風合い計測装置システム) を用いて計測し, 2, 3の考察を行った。各種洗浄処理のうち, ドライ洗浄処理は, 布の寸法や風合いにほとんど変化を起こさないが, 水または洗浄剤の水溶液を用いるウェット洗浄処理の場合, 富士絹は大きく収縮し, 特に, たて方向の収縮が大きく, 布の風合い特性の“こし”,“はり”が増大し,“しなやかさ”が減少する。また, ウェット洗浄処理においては, 洗浄剤の種類によって力学的特性値に差がみられ, 特に, 布の剪断特性に明らかな影響が認められた。しかもウェット洗浄処理による布の収縮差を除くために, 前処理した試料についても, 同様の傾向がみられたことから, 洗浄剤の種類によって, 風合いへの影響が異なることが認められた。
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