日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
52 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 高橋 幸吉
    1983 年 52 巻 6 号 p. 461-468
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 町井 博明, 矢野 義人
    1983 年 52 巻 6 号 p. 469-471
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    南西諸島など亜熱帯地域に適する優良な桑品種の選定に資するため, 9月から翌年2月まで, シマグワとシマグワ系自然交雑系統のM28, M32およびM38の枝を30℃の定温器中でさし木し, 15日後の冬芽の発芽状態により休眠の有無を調査した。その結果, シマグワは調査期間中常に発芽率が高く, 非休眠性と判断された。また, M28, M32およびM38もシマグワには及ぼないが同様に常に高い発芽率を示し, 休眠状態は認められなかった。すなわち, M28, M32およびM38の3系統は自発的休眠期 (rest period) を有せず, 温度条件さえ良好であればいつでも発芽しうる態勢にあることが分かった。亜熱帯地域では, 冬芽の休眠は桑栽培の支障になると考えられる。したがって, 冬芽の休眠という観点から判断すると, これら3系統は南西諸島方面に適応する桑品種を選定する上で有望な系統として期待される。
  • 久野 勝治
    1983 年 52 巻 6 号 p. 472-478
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    重金属処理が桑実生の乾量生長と根の分裂組織の発達におよぼす影響について研究した。銅およびカドミウムは高濃度になるほど桑実生の乾物生長, とりわけ根の生長を強く阻害した。銅処理は表皮, 外皮, 皮層および中心柱の各組織の細胞分裂に対して強い阻害効果を示した。一方, カドミウムは表皮, 皮層細胞の分裂をわずかに阻害するほか, 中心柱細胞の分裂を強く阻害した。いずれの重金属も高濃度で原生師管の分化を著しく阻害していた。また, 処理期間が長くなると各組織の発育不均衡, 組織形成の乱れ, 側根の異常発生などによる奇形化が進行していた。
  • 鷲田 純彦
    1983 年 52 巻 6 号 p. 479-483
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    明暗の刺激によって家蚕幼虫の就眠や脱皮が制御されることは既に報告したが, この場合における幼若ホルモンの影響を明らかにするため, 幼若ホルモン活性物質, メトプレン (JHA) を4齢の各時期に投与し, 就眠遅延効果を調査した。結果は4齢起蚕から48時間後に明から暗へ切替えた場合, 切替12時間前, 直前及び6時間後までの投与は効果が顕著であるのに反し, 切替12時間後ではほとんど効果が認められず, 暗刺激によっていったん就眠過程に入った後のJHA投与は無効となることを知った。しかし暗への切替時期とJHAの投与時期を異にする各種の組合せについて調査した結果では, 暗切替が早い場合は12時間後でも有効であり, 遅い場合は直前でも無効となる結果が示され, 暗刺激との前後関係よりむしろ発育時期との関係がより明瞭であるとの知見が得られた。なおこれらの諸現象については, 内分泌機構の面から若干の考察を加えた。
  • 久野 勝治
    1983 年 52 巻 6 号 p. 484-490
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    栽植密度の異なる3区すなわちS区 (833本/10a), D1区 (3,996本/10a) およびD2区 (6,666本/10a) における夏切後の各時期すなわちI期 (5月25日~7月10日), II期 (7月10日~8月5日), III期 (8月5日~9月5日), およびIV期 (9月5日~10月5日) について桑葉と枝条の生育状況ならびに無機元素含有量の推移を調べた。密植区では株当り葉数, 葉乾量, 葉面積が疎植区の1/3以下であり, また, 総条長, 条乾量は疎植区の1/2以下であった。桑葉の乾量増加量はIII期に最大となるが, 枝条は後期ほど値が大きかった。各無機元素の地上部器官への集積量もIII期で最大値を示し, 桑葉にはII, III期に窒素, リンおよびカリウムの大量集積がみとめられた。密植区では無機元素の地上部器官への集積量は疎植区の4/7~1/3および1/3~1/8であった。とくにIII, IV期に窒素, II, III期にリンの桑葉への集積が妨げられていた。
  • 姚 信悦, 嶋崎 昭典
    1983 年 52 巻 6 号 p. 491-497
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    生繭・乾繭の繭層水分率が供試材料, 放置温度, 湿度により変化する状態を知るために, それらを3水準に変化させた要因実験を行った。その結果, 繭層水分率には湿度因子が最も強く作用するが, 初期段階には温・湿度間に強い交互作用の現われること, しかし, これは時間の経過と共に減少し約2時間後には認められなくなること等が知られた。なお繭層水分率は3時間でほぼ平衡水分率に近づくことが知られた。このときの繭層水分率は材料荷口により, 乾繭・生繭により, また温度により変化するが, その程度は極めて小さいことが知られた。
  • 大橋 昌子, 津末 玄夫, 吉武 成美, 坂手 栄, 木口 憲爾
    1983 年 52 巻 6 号 p. 498-504
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕幼虫の体色はクチクラにあるメラニン性の色素と, 真皮細胞中の色素に大別される。本報に於ては真皮細胞中に含まれ, 幼虫の地色を決定する色素について研究した結果を示した。30種以上の家蚕の品種, 又は突然変異種の皮膚から色素を抽出し, 高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した結果, キサントマチンがすべての系統の幼虫に分布し, 地色を決定する重要な要素であることが明らかになった。この色素とセピアルマジンで幼虫の地色は発現し, 多くの品種における外観上の地色とこの2つの色素の定量値は, よく一致する。また突然変異種カスリには大量のキサントマチンが含まれる事も明らかにした。
  • 桑の世代短縮に関する研究, III
    岡部 融
    1983 年 52 巻 6 号 p. 505-510
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    4月に播種した交雑実生を土耕及び砂耕によって養成し, これら実生の枝条を8月下旬に結縛処理, あるいは環状はく皮処理を行った。また, 処理実生の生長, 枝内炭水化物及びC/N値の変化, さらには翌年3月の開花状況などを調査した。その結果, 結縛・はく皮等の処理によって特に生長抑制は現れなかったが, 葉の黄化が観察され, 環状はく反による実生枝内の炭水化物含有率及びC/N値は明らかに無処理より高い値を示し, 環状はく皮及び結縛処理実生の50%が開花個体となった。このことは環状はく皮及び結縛処理によって, 同化養分の転流が阻害され, 実生枝内に同化養分が多く蓄積され, その結果開花が促進されたものと推定した。
  • 桑の世代短縮に関する研究 IV
    岡部 融
    1983 年 52 巻 6 号 p. 511-516
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    2~3種の交雑種子を3月10日から45日間隔の3時期, あるいは4月20日からの20日間隔の3時期にそれぞれ播種し, これら実生の生長, 花穂等を調べ, さらに開花・結実に要する最低生育期間, ならびに実生枝長を調査した。その結果, 5月上旬以前に播種した実生には25~100%の範囲で開花・結実個体が生じたが, 6月上旬以降播種の実生には開花個体は生じなかった。また, 播種当年実生が水耕栽培あるいは, 砂耕・結縛処理によって開花・結実するためには, およそ4カ月の生育期間と主枝長80cm以上が必要条件と推定された。
  • 河口 豊, 藤井 博, 土井 良宏
    1983 年 52 巻 6 号 p. 517-523
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    2眠蚕における眠性型の変化 (2眠型, 3眠型, 3眠早熟型) と体液タンパク質成分の関連について4眠蚕と対比して調べた。2眠型の最終齢期の体液タンパク質組成は4眠蚕の3齢に類似しており, 4, 5齢期が省略された型であったが, 不完全ながら生殖生長期の徴候として壮蚕期の特徴をもつ泳動像が認められる。3眠型の最終齢期には雌雄共に体液タンパク質の種類や濃度が急速に増加し, 特に雌において幼虫型雌タンパク質の濃度増加が顕著で4眠蚕5齢期のそれに酷似しており, 4齢期の省略型である。一方, 3眠早熟型の場合, 体液タンパク質は2眠型のそれによく似ており, 4, 5齢期が省略された型であったが, 幼虫型雌タンパク質に関しては, 2眠型よりも高かった。この型は3眠蚕というよりはむしろ2眠型が超過脱皮した1変異型とみられる。
  • 有本 肇, 徐 回祥, 坂部 寛
    1983 年 52 巻 6 号 p. 524-528
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    繭乾燥において, 80°, 110°, 130°および145℃の最高乾燥温度を接触させた場合, 生糸の節ならびに色にどのような影響があるかを検討し, 次の諸点を明らかにした。(1), 繭の解じよと大中節及び小節の成績から見れば, 最高温度は110°~130℃の間が適当と思われる。(2), 145℃乾燥・外層区生糸にさけ節状の異常な節の発生が短糸長間に集中的に散見され, 乾燥温度の影響が注目される。(3), 同一の煮繭繰糸条件のもとでは, 145℃の高温乾燥区と同様, 80℃低温区も好ましくない。(4), 生糸の色への影響は, 最高温度が高くなると白色度は小さく, 黄色係数は大きくなり, 変色を進めることがわかるが, 視感色差指数Ncは, 乾燥温度により視感色差の違うことを一層精密に明らかにしている。
  • 藤井 博, 河口 豊
    1983 年 52 巻 6 号 p. 529-536
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ体液タンパク質濃度の5齢1日目から成虫にいたるまでの変化を調べた。全体液タンパク質濃度は幼虫発育が進むにつれて急速に増加し, 吐糸期に最大となり, 化蛹後は急速に減少していった。体液タンパク質成分の1つMP5濃度の発育経過にともなう変化は全体液タンパク質濃度の変化とよく似ていた。しかし全タンパク質に対するMP5濃度の割合は, 雌雄ともに5齢期では発育に従って徐々にかつ同じ割合で増加していったが, 化蛹後, 雌ではその割合が急速に低くなった, しかし雄ではほぼ一定の値が保たれた。MP5は脂肪組織及び未受精卵に存在し, それら以外の組織には存在しなかった。それ故に幼虫期にMP5は脂肪組織で産生され, 体液中に体移行し, 蛹期になると雌では体液より卵巣にとりこまれ, 卵に蓄積されるものと考えられる。
  • 内海 進
    1983 年 52 巻 6 号 p. 537-544
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    蚕の消化器管における抗細菌作用を解明するため, 消化液 (DJ) に存在する抗 Streptococcus 蛋白質 (ASP) の性状を検討するとともに, 飼料条件とDJのASP活性との関連を追究した。1). DJから硫安飽和分画, セファデックスG-75クロマトグラフィーおよびDEAE-セルロースカラムによる分画において, 前2者の組合せでは1つの活性画分が得られ, 硫安分画とDEAE-セルロースあるいは3者の組合せでは2つの活性画分が得られた。2) 硫安飽和0-60%画分をセファデックスG-75処理で得た活性画分を用いて, 飼料条件と活性の関係を検討した。有効指数として完全な静菌力を示すところのDJからの希釈倍数を求めた。その値は春桑葉育で159, 晩秋桑葉育で59, 人工飼料育 (5齢M0) で18, そして長期貯蔵桑育では微弱であった。以上から, ASPには少なくとも2種の形状を示するものが存在し, またDJ中のASP産生には桑葉葉質などの栄養条件が密接に関連していると考えられる。
  • 杉田 英夫, 堀江 保宏
    1983 年 52 巻 6 号 p. 545-546
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 川瀬 茂実, 伴戸 久徳, 蔡 幼民
    1983 年 52 巻 6 号 p. 547-548
    発行日: 1983/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
feedback
Top