日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
53 巻, 6 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 佐藤 光政
    1984 年 53 巻 6 号 p. 467-471
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    発芽前に桑の側芽の全部または一部を除去して1枝条あたりの新梢数を変え, その後の新梢の生長と枝条中の可溶性糖およびでんぷん含有率の変化を調べた。発芽開始後36日目までは新梢の数が多いほどその乾物重も多く, また新鮮枝条容積あたりで表わした可溶性糖とでんぷん含有率の減少程度も大きかった。しかしながら, 発芽開始後36日目以後には, 新梢数が8本以上の場合の新梢乾物重および新梢数が2~16本の場合の枝条中の可溶性糖とでんぷん含有率には大差がなくなった。これらの結果から, 春の発芽の際に1枝条あたり8本以上の新梢の生長を確保する必要があると推察された。
  • 関 宏夫
    1984 年 53 巻 6 号 p. 472-475
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    濃核病ウイルス (山梨株) に対する蚕の感染抵抗性の遺伝様式を明らかにするため, 抵抗性品種として日124号, 感受性品種として支124号およびその交雑組合せ各種を用いて検討した。
    その結果, IC50 (-log) 値においては, F1およびF2が支124号と比較し若干低い傾向を示したが, 支124号の戻し交雑ではほぼ同程度の値を示した。しかし, 日124号の戻し交雑では, 2オーダー小さい値となり, 極めて高い抗抵性を示した。
    一方, ウイルス濃度―感染率プロビットの関係においては, 実験値を基に作図した曲線が, 抵抗性の遺伝子を1対り劣性の主遺伝子と仮定して作図した理論曲線ときわめてよく一致した。
    以上のことから, 山梨株に対する抵抗性の遺伝子は, 1対の劣性の主遺伝子が関厚しているものと推定した。
  • 水溶性高分子ヒドラジン化合物の土壌改良への利用に関する研究 I
    北野 実, 河野 清
    1984 年 53 巻 6 号 p. 476-482
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    水溶性高分子ヒドラジン化合物であるポリアクリル酸ヒドラジド (Hz・PA) の土壌凝結剤としての作用特性を, モンモリロナイトを用いて研究した。1) 粘土分散系のpHを強酸性 (pH 2.6) にしたとき, Hz・PA濃度が増すほど粒子の負のゼータ電位が低下した。このときのHz・PAの電荷は完全にカチオン性で, 凝集効果も最大であった。pH 3.1から4.0の範囲ではpHが上昇するほど粒子の負電位を中和する機能が極度に低下した。さらにpH 4.0以上ではHz・PAの電荷は完全に非イオン性に変わったが, これの凝集機能はpH 4.0以下のときと大差なかった。2) pH 3.0におけるHz・PA―粘土複合体のX線回折によると, Hz・PA吸着量が増すほど粘土の面間隔 (001) が段階的に拡大した。しかしながら, pH 4.0以上でもHz・PAが粘土の結晶層間に吸着された。この場合のHz・PAが吸着される機構は粘土のシリケート表面の酸素あるいは水酸基との水素結合によって吸着されるものと考えられた。
  • 水溶性高分子ヒドラジン化合物の土壌改良への利用に関する研究 II
    北野 実, 藤原 春雄, 河野 清
    1984 年 53 巻 6 号 p. 483-488
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    水溶性高分子ヒドラジン化合物であるポリアクリル酸ヒドラジド (Hz・PA) によるクワ栽培における土壌処理の効果を明らかにするため, クワの生育, 桑葉成分及び土壌の化学性, 耐水性団粒生成などに及ぼす影響を検討した。供試土壌 (<2mm) は岩倉土壌 (赤黄色土, 未耕地, 14Å Al-inter layer 鉱物に富む) から調製した。土壌の pH(H2O) を6.5に調整し, Hz・PA 0.02~0.2% (W/V) の水溶液で土壌処理すると, クワの生育が著しくすぐれた。このときのHz・PAの電荷は非イオン性で土壌に作用する。桑葉中のN, タンパク態N及びK2O含量はHz・PAの処理濃度が高くなるほど, その値を増した。土壌中の全Cと全NもHz・PAの処理濃度とともに増加したが, 本高分子の構成成分であるCとNが直接関係していると考えられる。また粒径>2mmの耐水性団粒はHz・PAの処理濃度の増大とともに著しく増加した。このようなHz・PAの各処理区の土壌条件は, N, P2O5及びK2Oのクワによる吸収を高めるのに効果的であった。
  • カイコガの羽化行動に関する研究 IV
    普後 一
    1984 年 53 巻 6 号 p. 489-495
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    成虫行動と羽化ホルモンとの関係を知るため, 人為羽化脱皮個体を用いて研究を行った。人為羽化脱皮雄蛾は羽化ゲートがくるまで雌フェロモンに対して反応しなかった。この雄蛾の行動は“擬似羽化行動”終了後急激に変化し, 種々の成虫行動がなされた。人為羽化脱皮雌蛾は正常雄蛾と交尾はできるが, 産卵ゲートがくるまで産卵はしなかった。羽化ホルモンは早期成虫行動を引きおこすことができた。羽化しているカイコガ体液中には羽化ホルモン活性が存在し,“擬似羽化行動”をしている人為羽化脱皮個体体液中にも羽化ホルモン活性が存在した。これらのことは羽化ホルモンの体液中の出現と成虫羽化行動とが関連していることを強く示唆した。これらの結果から, 成虫羽化行動は羽化ホルモンが体液中へ放出されることで誘起せられるものと結論した。また成虫神経系は羽化ホルモンにさらされた後のみ, 活発になるものと推察した。
  • カイコ消化液アミラーゼアイソザイムの生化遺伝学的研究 第1報
    原 和二郎, 藤井 博, 坂口 文吾
    1984 年 53 巻 6 号 p. 496-500
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ消化液アミラーゼ活性と遺伝子との関係を明らかにする目的で, 各種系統を用い Somogyi-Nelson 法による活性の測定並びに水平平板ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるアイソザイムの分析を行った。
    アミラーゼ活性強 (+型) の系統は弱 (ae) 型の系統の約600倍ないし2,000倍の強さを示し, この価は系統によって異なっていた。また+型系統中には ae 型個体の混在が認められたが, ae 型系統では+型個体の混在は認められなかった。電気泳動法でアイソザイムを分析した結果, +型では陰極側に4本 (4型) 或いは5本 (5型) 検出されたが, ae 型では全く検出されなかった (0型)。しかし陽極側へ移動したアミラーゼは+型と ae 型両系統に活性帯が認められた。九大家蚕遺伝子実験施設保存の361系統において, 陰極側アイソザイムを調べた結果, 4型, 5型, 0型の3種のみで, 他の型は検出されなかった。ある系統にはこれらの型の混在が認められた。
  • 山本 俊雄
    1984 年 53 巻 6 号 p. 501-505
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    蚕糸試験場で保存する多化性系統のピュアマイソールを熟蚕から化蛹までの間, 20℃の低温で保護したところ, 蛹の翅部に縞状の黒色斑紋が発現することを見いだした。遺伝子分析の結果, 常染色体上の単一劣性遺伝子により発現することが判明したので, この形質を縞翅蛹 (black-striped pupal wing, 記号 bpw) と命名した。bpw の発現に及ぼす温度の影響する時期 (感温期間) を調べたところ, 吐糸終了直後から化蛹するまでの期間であり, ピュアマイソール系 bpw の場合, 20℃で約2日間であった。つぎに保護温度の高低と bpw の発現との関係を調べた結果, bpw の発現を制御する温度の範囲は非常に狭く, bpw は20℃以下で完全に発現し, 23℃以上では発現が抑制された。また, 21~22℃においては縞翅蛹から正常蛹に至る種々の濃度の個体がほぼ連続的に発現した。以上のことから, bpw は温度感受性の著しく高い形質であると判断された。
  • 守山 弘, 榎本 末男, 加藤 昭輔, 岩波 節夫
    1984 年 53 巻 6 号 p. 506-512
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコの中腸各部位における内容物のpHを知るために消化管内容物を凍結した状態で分画して取出し. 溶解後pHを測定した。
    正常に飼料を食下しているカイコの消化管内容物は中腸前端と後端では中性を, 中部では強い塩基性を示した。しかしカイコを絶食させると中腸前部でも強い塩基性を示した。
    人工飼料の無機塩類混合物についてカチオンの濃度・組成を一定にし, アニオン組成を無機酸から有機酸へ一定の比率で置換えていった飼料でカイコを飼育した場合, 消化管内容物は有機酸の比率の高い飼料区のものほど強い塩基性を示した。
    これらの消化管内容物のアニオン量・カチオン量を滴定したところ, 有機酸アニオンの比率の高い飼料区のものほどアニオン量が少なく, カチオン量との差は大きかった。
    このことからカイコの消化管内容物が強い塩基性を示すのは有機酸アニオンが吸収・分解されるためであることが想定された。
  • 土井 良宏, 河口 豊, 中山 光育
    1984 年 53 巻 6 号 p. 513-518
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    連関未知の1染色体を代表するとされてきた紡錘形卵遺伝子 sp と第23連関群に所属する樽蚕 tub との関係を調査した結果, 両遺伝子の間に連関関係の存することを認めた。第23連関群は tub と裸蛹 Nd とからなるものであり, 従来 Ndsp とは独立であるとされてきた。そこで sp, Nd, tub の関係を再調査したところ, sptub との連関研究に用いられた系統の Nd 遺伝子とは連関関係にあったが, 仲野系裸蛹原系統の Nd 及び橋本裸蛹 NdH とは独立であることが判明した。さらに tub と裸蛹系3系統との交雑によっても, Nd とみなしてきたものに連関群を異にする2遺伝子があることを確認した。この結果に基づき tub と連関し第23群の基点とされたものを t 裸蛹と改め, 遺伝子記号を Nd-t とした。次いで3点実験を行い, sp 遺伝子の座位を第23連関群28.7と決定した。
  • 小山内 実, 相垣 敏郎
    1984 年 53 巻 6 号 p. 519-526
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕成虫アルギナーゼの酵素学的諸性質を明らかにすると共に, 活性に関する系統間差異の検索を行なった。本酵素は, pH9.5, 37℃に於いて最大活性を示し, 50℃熱処理及びMn2+, Co2+, Ni2+の添加による活性化, Cd2+, 又はオルニチンの添加による阻害を受ける。
    供試された32系統の家蚕成虫アルギナーゼ活性は, 何れも顕著な性差を示し, 雄の活性は常に同系統の雌より高く, 平均約6倍であった。日131号雌の活性は, 諸系統雌中で最大であり, 雄中で最少の活性を示す無翅種fl雄より高いが, 同じ日131号雄の1/5に過ぎない。この雄は全系統中で最も高く, fl雄の10倍の活性を示した。家蚕系統雌雄間には, アルギナーゼ活性に関して正の相関関係が認められ, 本酵素活性を支配する遺伝的要因の一つは, 雌雄同様に作用するものであることが示唆された。また天蚕蛾科ヒマ蚕においては顕著な雌雄差は認められず, 本酵素活性の性差は家蚕特有であると考えられる。
  • 小野 直達
    1984 年 53 巻 6 号 p. 527-530
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1920~30年代において, 繭価格の高低が産繭量への影響する時期, すなわち時差 (生産の反応の遅れ; タイムラグ) については, 4年後に最も強くあらわれ, ついで2年後, 3年後であった. この理由としては, 養蚕農家が繭生産量の調整を当年のみでなく1~2年間様子をみて, 漸次桑園の増減に着手するためとされてきた。1955年以降における両者の対応の解明が本稿の目的である。調査対象期間は1955~1981年とし, 繭価格及び産繭量に統計的操作を施し, 種々の影響を排除したのち, 相関係数を基に算出を試みた。
    その結果, 繭価格の産繭量に対する影響は1年後に最も強くあらわれ, ついで2年後の順であった。この結果を戦前期と比較した場合, 戦後の価格対応がより早まったことが明らかとなった。
  • 土井 良宏, 木原 始, 益田 敏
    1984 年 53 巻 6 号 p. 531-533
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    卵殻に正常部と灰色部とが混じる劣性の自然突然変異, まだら灰色卵 mgr の連関分析を行った。連関検索の結果, mgr 遺伝子は第6連関群に属することが判明したので, さらに ECa, F 両遺伝子を基準に選び3点実験を行い, mgr の遺伝子座を第6連関群8.9と決定した。
  • 小野 直達
    1984 年 53 巻 6 号 p. 534-537
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑苗生産の特徴は毎年需給の変動が大きく, そのため桑苗価格の変動も年々大きいものとなっている. 更に生産技術上, 桑苗生産は2年間を要するものである.
    本稿の目的は桑苗価格と桑苗生産量の循環変動の時差の関係を明らかにすることである. 調査期間は1957年~1981年であり, 桑苗価格と桑苗生産量の両者に統計的操作を施し, 種々の影響を排除したのち, ピアソンの相関係数を基に, 算出を試みた.
    その結果, 桑苗価格に対する桑苗生産量の影響は3年後に最も強くあらわれ, ついで2年後, 4年後の順であった.
    要するに桑苗価格の高低に対する桑苗生産量の対応は数年 (2~4年) の遅れを有していることが明らかとなった.
  • 無菌蚕におけるウイルス病の感染抵抗性に関する研究 III
    松原 藤好, 呉 友良, 森 肇, 大頭 肇
    1984 年 53 巻 6 号 p. 538-542
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    無菌蚕に各種温度 (5, 10, 33, 35および37℃) 処理を施し, NPVを経口接種した場合に処理温度の高低および処理時間の長短 (3, 6, 12および24時間) がNPV感染抵抗力にどのような影響を与えるかについて調べて次のような結果を得た。
    1) 5齢起蚕を10および33℃で24時間処理した場合の感染抵抗力の低下は殆んどみられなかったが, 5, 7および37℃では24時間の処理で感染抵抗力は著しく低下した。
    2) 5℃の処理においては4齢起蚕では3時間処理で, 5齢起蚕では6時間処理で感染抵抗力が低下した。
    3) 37℃処理においては4齢起蚕では6時間処理においても感染抵抗力に変化は認められなかったが, 5齢起蚕では3時間処理で感染抵抗力の低下がみられた。
  • 四方 正義, 星野 正生, 新城 健, 古沢 寿治, イントラシット レスリー
    1984 年 53 巻 6 号 p. 543-544
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 赤井 弘, 木村 敬助, 木内 信, 渋川 明郎
    1984 年 53 巻 6 号 p. 545-546
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 前田 進
    1984 年 53 巻 6 号 p. 547-548
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 伴野 豊, 河口 豊, 徐 孟奎, 土井 良宏
    1984 年 53 巻 6 号 p. 549-550
    発行日: 1984/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 53 巻 6 号 p. 552a
    発行日: 1984年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 53 巻 6 号 p. 552b
    発行日: 1984年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
feedback
Top