熱帯系蚕品種の輪月を供試して, 休眠性に対する温度条件 (20℃, 23℃, 25℃および28℃) の影響を調査した。その結果, 温度条件の休眠性に対する効果は, 4齢幼虫期を境に逆転していることが明らかになった。すなわち, 胚子期および稚蚕期では, 低温が休眠率を低下させ, 高温が高めたのに対し, 壮蚕期以降では, それぞれの温度条件が逆の作用を示した。そして, 胚子期の温度条件が最も強い影響力を示した。これらの知見から, 輪月の温度感受性は, 2化性品種のものとかなり類似していると考えられた。ただし, 2化性品種の中間温度催青に相当する温度範囲が, 輪月では, 高温方向にシフトしている点で, 両者は異なってると推察された。また, 23℃・12L 12Dと28℃・15L 9Dの2条件を設定して, 日長条件と温度条件の総合的変化の実験も行った。その結果は, 概ね日長条件と温度条件それぞれの影響について得られた知見から予想, あるいは解釈できるものであった。
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