日本蚕糸学雑誌
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55 巻, 5 号
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  • 野蚕糸の染色性に関する研究, IV
    藤井 明
    1986 年 55 巻 5 号 p. 361-366
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    異なる4種類の精練 (炭酸ソーダ精練, クエン酸精練, 硫酸精練, 塩酸処理を含むセッケン・ソーダ精練) を行った柞蚕絹紡糸, ヒマ蚕絹紡糸, 家蚕絹紡糸を酸性染料の Orange Gにより染色し, 染着量, および精練前後ならびに染色試料の表面色を測定した。
    ヒマ蚕絹, 家蚕絹に対しては, 炭酸ソーダ精練が他の酸精練よりも試料の明度を大きくし, かつ着色の度合を少なくし最も無彩色に近くしている。柞蚕絹は精練により柞蚕絹特有の黄褐色の度合を増加させ, また塩酸処理を含むセッケン・ソーダ精練は若干明度も増加させる。酸精練した試料は大幅に染着量が増し, とくにクエン酸精練した柞蚕絹の場合に顕著である。また炭酸ソーダ精練後染色したヒマ蚕絹, 家蚕絹は, 未精練糸を染色した試料よりも染着量が増加したにもかかわらず, 明度が大きくなる。塩酸処理を含むセッケン・ソーダ精練後染色した柞蚕絹は, 染色した柞蚕絹試料の中で最も明度が大きくなった。
  • 西岡 孝彦, 三浦 幹彦
    1986 年 55 巻 5 号 p. 367-370
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    解じょ糸長分布のモデルを決めるため, 指数分布と正規分布, ガンマ分布と正規分布, ガンマ分布, 指数分布と正規分布の3種類の混合分布モデルについて母数の推定を行い, 適合性の検討を行った。その結果, ガンマ分布, 指数分布と正規分布から成るモデルが最も良い適合性を示すことがわかった。また, この混合分布モデルが他のモデルに比べて最も小さなAIC値をとることから解じょ糸長分布のモデルとして妥当であると考える。
  • 矢野 眞弘, 森本 宏
    1986 年 55 巻 5 号 p. 371-375
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    揚返薬剤およびビルダーとして使用されているリン酸ナトリウム塩で処理した生糸に紫外から可視の光線を照射して黄色係数と最大黄色波長を求め, 黄色係数の波長依存性を検討し揚返薬剤の生糸黄変抑制効果を考察した。
    非イオン性の活性剤, 中性剤, 脂肪のアルコールエステル, 脂肪の硫酸塩を成分とする揚返薬剤Aによって処理した生糸およびビルダー剤として応用したリン酸ナトリウム塩で処理した生糸は紫外域で未処理生糸の値よりも小さい黄色係数値が得られた。
    また, 揚返薬剤とリン酸ナトリウム塩の処理生糸の最大黄色波長は285~310nmの範囲にあり, 未処理生糸の最大黄色波長である320nmよりも短波長側へ移動した。これらの揚返薬剤およびリン酸ナトリウム塩は紫外線吸収性に影響する。特に, リン酸ナトリウム塩で処理した生糸は302~400nmの広い範囲で黄変が抑制される。
  • 野蚕糸の染色性に関する研究, VI
    藤井 明
    1986 年 55 巻 5 号 p. 376-383
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    アルミニウム, 銅, クロムおよび錫を媒染剤として, 色系統の異なる3種類の植物染料 (ログウッド, スオウおよびシブキA) による柞蚕絹, ヒマ蚕絹の染色を行い, 染色試料の表面色を測定し家蚕絹と比較して考察を行った。ログウッドによる染色試料の色は, 絹糸の種類, 精練の有無によりさまざまである。とくに未精練糸をアルミ媒染, 錫媒染した染色試料は, 野蚕絹と家蚕絹とで, 色相に大きな差が見られた。スオウよる染色試料の色相は, 同じ媒染剤を使用した3試料間には大きな差が見られないが, 野蚕絹, とくに柞蚕に絹は家蚕絹とくらべて赤の度合の低下が大きい。また, クロム媒染糸は他の媒染糸よりも紫味の色相となり, 野蚕絹の場合に顕著であった。シブキAにより染色された野蚕絹は家蚕絹より一般に彩度が低く, また染色試料は明度に大きな差が見られる場合が多く, 明度の差が試料の色に大きく影響することがわかった。
  • 荒川 昭弘, 清水 進
    1986 年 55 巻 5 号 p. 384-387
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ラテックス凝集反応によって蚕ウイルス病の診断を行う際に, ラテックス粒子に感作するIgG量, ラテックス粒子の大きさおよび密度の違いが凝集反応に及ぼす影響について検討した。IgGの感作量を増やすことによって感度が増し, 凝集塊も大きくなったが, IgGが過剰となったときには逆に阻害反応が認められた。反応するウイルスによって粒子の最適粒径は異なっており, 軟化病ウイルス (IFV) と濃核病ウイルス (DNV) では0.65μmあるいは1.00μm, 細胞質多角体病ウイルス (CPV) では0.45μmであった。粒子密度は反応の速度と凝集塊の大きさに影響し, 粒径1.00μmでは8.5×109/mlが最適であった。感作IgG量, 粒径および密度を変えることによって, 凝集塊の大きさ, 検出感度および反応速度をある程度任意に調節できることが明らかとなり, IFV, DNVおよびCPV診断用ラテックス液の品質をほぼ均一にすることが可能となった。
  • 赤井 弘, 木内 信, 木村 敬助
    1986 年 55 巻 5 号 p. 388-396
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    抗幼若ホルモン活性物質 (AJH) の投与によってもたらされる影響, とくに, 3眠化に伴う繭の大きさ, 繭糸繊度, 繭糸の微細構造の特性, ならびに繭糸繊度の制御, などについて研究を行った。繭の大きさは, 対照区 (4眠蚕), AJH 1齢投与区, 2齢投与区, 3齢投与区, ならびに4齢投与区 (AJH投与区はすべて3眠蚕) の順に小さくなる。繭糸繊度は, 対照区の3.09デニールに対してAJH 3齢投与区で1.9デニール, 5齢投与区で1.21デニールであった。ラウジネスの原因と考えられる繭糸のセリシン中の分離フィブロインは, 対照区に比較してAJH投与区は明らかに減少した。JHおよびAJHの投与により, 同一品種においてその繭糸繊度は4眠蚕の対照区の100に対し指数で131から27までの幅で大きく制御できることが実証された。
  • 赤井 弘
    1986 年 55 巻 5 号 p. 397-409
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    4齢期における脳の神経分泌物のアラタ体への貯留と放出に関する超微形態的特徴について述べた。アラタ体には3種の暗調顆粒と明調顆粒を含む神経分泌軸索が観察され, 神経分泌物の放出を示す像は眠期中の後期に観察された。眠間期にはアラタ体細胞の分泌活動は低調であるが, 眠期間においては細胞内小器官は活動的となる。また, 脱皮直後にはラメラ状膜構造が多数細胞間隙に放出される。これらの超微形態の変化から神経分泌物とJHの放出について考察した。
  • 黄色 俊一, 佐藤 行洋, 顧 家棟
    1986 年 55 巻 5 号 p. 410-414
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    アラタ体摘出早熟3眠蚕から小卵の交雑種を, 無処理4眠蚕から普通の大きさの卵の交雑種を作り, 卵の大きさと艀化後の幼虫の成長・発育, 繭重および3眠蚕の分離などの量的形質との関係を検討した。普通の大きさの卵 (相対的大卵) から孵化した幼虫と比べると, 小卵から孵化した幼虫は蟻蚕, 1眠中および2眠中の幼虫体重は軽かったが, 4眠中の幼虫体重は重くなり, 繭重や繭層重も重かった。また小卵区では大卵区より3眠蚕の分離割合は低かった。これらの結果は, 子孫の量的形質の発現が遺伝子型や環境要因のほかに, 前代に決定される卵の大きさに規制されることを示した。
  • 松野 瑞彦, 仁科 祥次郎
    1986 年 55 巻 5 号 p. 415-420
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワ胴枯病菌 Diaporthe nomurai HARA 柄胞子の発芽条件について次の結果が得られた。
    本病菌柄胞子の発芽は殺菌脱塩水中ではきわめて悪く, ジャガイモ煎汁グルコース培地, クワ枝煎汁液中で良好であったが, リリー・バーネット培地中ではその中間であった。発芽時の明暗条件には影響されず, いずれも90%以上の発芽率を示した。
    また, 発芽最適温度は27℃付近にあり, 相対湿度 (RH) 93%で19%, RH98%でも53%であり, RH100%で良好な発芽率となった。
    さらに, クワ切枝皮目に本病菌柄胞子を接種し, 皮目での発芽を調査すると, 発芽は10~35℃の温度範囲で発芽可能で, 20℃および25℃で良好な発芽を示した。RH32.5~86%で発芽率はきわめて低く, RH93%以上で53~71%であった。
  • 関 宏夫
    1986 年 55 巻 5 号 p. 421-427
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    山梨株ウイルスによる濃核病の発生について農家での発生実態, 二次感染様相および野外昆虫との関連について検討した。
    その結果, 本病の山梨県での発生は少なく, その発生地域も比較的限定されており他地域への拡散は少ないものと推察された。一方, 本病の病勢は慢性的で二次感染が起りにくく, 4齢期以降の感染では齢中で発症することが少ないことから, 二次感染による病原汚染は少ないものと考えられた。
    野外昆虫における本ウイルスの交差感染は供試した6種昆虫 (クワコ, クワノメイがなど) のうちクワコのみに感染が認められたが, 本虫は桑園での生息数がきわめて少ないことから本病発生との関係は薄いものと推察された。
    以上のことから本病の発生は, 農家の飼育環境内に残存している病原に起因し, カイコを通して周年サイクルを形成し保持されている可能性があるものと推察した。
  • 山田 政枝, 井口 民夫
    1986 年 55 巻 5 号 p. 428-433
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕において従来全く知られていなかった尿酸から尿素の生成経路について, 放射性尿酸を用いて検討した. その結果, 注射した放射性尿酸の一部は蚕体内で分解され, 14CO2として呼出されることを認めた。さらに他の物質への転換について検討したところ, その一部は尿素に転換されることを認めた。とくに食餌期の幼虫ではその転換量は多く, 蛹期では少ないことも認められた。アラントイン, アラントイン酸および尿素混合の画分の放射能は人工飼料育の方が桑葉育より常に高かった。これは桑葉育では生成される尿素がさらに14CO2として放出されるためと考えた。一方, 残存する尿酸の放射能は食餌期では人工飼料育の方が明らかに高かつたが, 吐糸中の幼虫や蛹では大差はなかった。これらの結果から, 蚕体内で尿酸から生成される尿素量は両飼料育の間には大きな差異はなく, 人工飼料育でみられる尿素蓄積の原因はこの代謝系で惹起されるのではないことが確認できた。
  • 1986 年 55 巻 5 号 p. 434
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ卵巣のエクジステロイドの蛹期中における蓄積様式
    カイコの頭部神経系におけるドーパミン産生細胞の免疫組織学的証明―食道下神経球の神経分泌細胞におけるドーパミンとα-エンドルフィン様物質の共存―
  • 桑の内生生長物質に関する研究 II
    柳沢 幸男, 塩入 秀成, 伊藤 幸一
    1986 年 55 巻 5 号 p. 435-436
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 熱帯における蚕糸生産に関する研究 X
    四方 正義, 東 政明, 古沢 寿治
    1986 年 55 巻 5 号 p. 437-438
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 清水 進, 荒川 昭弘
    1986 年 55 巻 5 号 p. 439-440
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 甲斐 英則, 河合 孝, 織田 友幸
    1986 年 55 巻 5 号 p. 441-442
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 普後 一, 柿沼 憲, 中島 誠
    1986 年 55 巻 5 号 p. 443-444
    発行日: 1986/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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