家蚕卵の休眠期間が嫌気的状態下で延長されるかについて検討するため, 産卵83日後の休眠卵を, 酸素量が0, 5, 10および20%の条件下で封入し, 5℃と1℃に保護した。その結果, 封入しない卵のソルビトール量は5℃下では減少し, 休眠覚醒がおこるのに反し, 封入した卵ではソルビトール量は125μmoles/g eggs のレベルで維持され, ふ化する卵はみられなかった。そこで, これらの卵がふ化能力をもっているか否かについて検討するため, 封入125日 (産卵205日後) に開封し, 5℃下で保護を続けたところ, 酸素量の多い条件下に封入された卵ほどソルビトールの減少量が大きく, このことは, ふ下歩合にも反映された。
また, 1℃保護卵を同じ, 方法で処理したところ, ソルビトール量の減少およびふ化歩合は5℃に比べ大きかった。
以上のことから, 家輩卵の休眠期間は酸素量の調節によって, 人為的に延長できることが示唆された。
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