繭糸質を異にする生糸の水溶性高分子によるサイジング効果を主として耐摩擦性について調べた。繊度, セリシン量を異にする4種の生糸を, ポリビニルアルコール (PVA), 酢酸ビニル・無水マレイン酸共重合物ナトリウム塩 (VAc×MA), ポリアクリル酸部分メチルエステル (PAM) の3種の水溶性高分子で, 温度, 濃度別に処理し, 静摩擦係数, 摩擦前後の表面特性の変化を測定した。
繭糸質を異にする生糸の表面は, サイジングによって粗になるが, その度合いは, 標準糸≫少セリシン系糸≫細繊度系糸>太繊度系糸の順に大きい。しかし, 水溶性高分子別の差異はほとんど認められない。摩擦に対するサイジング効果は, 水溶性高分子別には, PAMよりもPVAあるいはVAc×MAサイジングの方が有効であること, また生糸別には, 細繊度系糸・標準糸に比し, 太繊度系糸・少セリシン系糸の方が, より効果的であること, がわかった。
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