重金属で汚染された群馬県安中市の桑園土壌4点, 水田土壌3点の計7点を用いて, 桑をポット栽培し, 土壌中重金属濃度と桑の生長, 重金属吸収ならびに移行との関係について実験を行った。その結果を要約すると以下のようになる。
1. 土壌pHの低下にともなって, 溶出してくる交換態結合画分中の重金属濃度は高くなった。桑の生長に対しては交換態重金属濃度のほか, 土壌pHによる有毒元素の活性化も影響するようである。
2. 桑に吸収されたCd, ZnおよびPb量と, 土壌中のそれら重金属濃度, 特に交換態結合画分中の重金属濃度との間に高い相関関係が認められた。なお, ポット土壌中に存在する交換態結合画分中の重金属量に対する桑の重金属吸収量の割合は, 3元素ともほぼ同程度であった。
3. 吸収されたCdの87%, Znの65%, Pbの38%は根に留まり, 桑葉に移行したのはCd 5%, Zn 15%, Pb 31%であった。
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