日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
58 巻, 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 松本 陽一, 土屋 幾雄, 久間 秀彦
    1989 年 58 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    複合糸としたコアスパン糸は, コア層とスキン層からなる2層構造糸である。和紡精紡機を利用して絹の複合糸を作成するために, 原料繊維 (コアスパン糸における絹スキン層となる) を入れる綿筒に改良を加えて, コアフィラメント糸, コア張力およびおもり位置の影響について検討した。その結果, 複合糸作成においてはコアフィラメント糸, コア張力およびおもり位置に注意が必要であることがわかった。さらに, 同条件下で作成されるとき複合糸は和紡糸よりも細い糸にできるということも注目されることである。
  • 松本 陽一, 土屋 幾雄, 久間 秀彦
    1989 年 58 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹紡複合糸における糸構造が, 糸の引張強伸度およびそれから作成した織物の圧縮特性にいかなる影響を及ぼすかを検討した。
    その結果, ツインスパン糸, コアスパン糸, 双糸およびそれらの織物の機械的性質は繊維の組合せにより変化するが, たとえ組合せる繊維の種類と含有率が一定であっても, 糸の構造, すなわち加撚における方向と回数により影響されることがわかった。さらに, 綿/絹の複合糸織物は独特の風合をもつこともわかった。
  • 塚田 益裕, 塩崎 英樹
    1989 年 58 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    繊維構造を持たない絹フィブロイン膜の構造に及ぼすエポキシド化合物 (エチレングリコールジグリシジルエーテル) の影響を検討した。加工反応が進むと試料の熱分解温度は, 僅かであるが高温側へと移行した。熱重量測定の結果から, 加工により試料の耐熱性が向上することが確められた。赤外吸収スペクトルを測定したところ, 加工反応が進むとβ型分子形態に帰属する吸収強度が増加した。これらの結果から判断するとエチレングリコールジグリシジルエーテルは試料分子と反応して分子間の凝集性を向上させる働きを有するものと考察できる。
  • 中嶋 哲生, 清水 慶昭, 四方 正義, 木村 光雄
    1989 年 58 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ロート油溶液に浸漬された絹の酸性染料による染色性について研究した。試料は5%o.w.f. のロート油溶液に35℃で4時間浸漬し, 10%o.w.f. 炭酸ナトリウムで2時間精練したものを用いた。40, 50, 60℃における等温吸着平衡, 並びに等温初期染色速度を測定した。その結果, ロート油溶液に浸漬された絹は, 飽和値, 吸着熱および初期染色速度において, 無処理の絹よりも小さな値を示した。従って, 生糸時に吸着されたロート油は, 精練後も残存し, 同じアニオン性を示す酸性染料の絹繊維への吸着, 拡散を阻害しているものと考えられる。
    以上のような結果は, ロート油の吸着の度合いにむらがあると, 染めむらの発生する可能性があることを示唆している。
  • 道明 美保子, 清水 慶昭, 木村 光雄
    1989 年 58 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    スルファトエチルスルホン型の4種の反応分散染料を合成した。これらの染料は基本構造は同じであるが, アミノ基に付いている置換基が異なっている。これらの染料の絹に対する染着挙動 (吸尽と固着) を調べた。最も疎水性の染料C (2個のメチル基をもつ) の染色速度が最も速く, そして最も親水性の染料D (2個のヒドロキシエチル基をもつ) のそれは最も遅かった。染料Cは疎水性が強く, 従って水に対する溶解度が低いので, この染料の絹に対する吸尽と固着は染料濃度が約1.2×10-4mol/lで殆ど一定となった (染色条件: 1%染色, pH6, 90℃, 1hr)。染料AとBはアルキル基 (染料Aの場合はメチル基, 染料Bの場合はエチル基) によって直接性が増加し, ヒドロキシエチル基によって水に対する溶解度が適度に増加するため, 絹に対して良好な親和性を示した。
  • 家蚕に対する殺線虫剤の薬害に関する研究 第1報
    今井 暹, 渡辺 健衛, 吉井 幸子
    1989 年 58 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    千葉県内陸の畑作地帯の養蚕農家で原因不明の病蚕が発生した。1) 病蚕は発育不良で軟化症状を示し, 1週間程度仮死状態が続いた後, 斃死するものが多かった。いずれの病蚕も感染症の症状とは異なる薬物中毒の症状を呈していた。2) 病蚕の発生した蚕室周辺に畑が多く, その大部分が殺線虫剤を使用していた。殺線虫剤の土壌注入時期と蚕病の発生状況の関連性から, 病蚕は殺線虫剤のハロゲン化合物による中毒蚕であることが推定された。3) 実験的にハロゲンガスに接触させた蚕は, 農家に発生した病蚕と類似の症状を示した。4) 養蚕農家で発生した病蚕を組織化学的に調べたところ, 表皮や真皮細胞など外胚葉性の組織にハロゲン化合物の沈着がみられた。以上のことから, 千葉県畑作地帯の養蚕農家で発生した病蚕は, 殺線虫剤のハロゲンガスの接触による慢性的中毒によって生じたものと推定された。
  • 塚田 益裕, 小松 計一, 塩崎 英樹
    1989 年 58 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    亜硫酸水素ナトリウム/硫酸ナトリウム混合溶液による精練でセリシンを比較的均一に残し, グルタルアルデヒドに亜硫酸水素ナトリウムを加えて絹糸の着色を防ぎつつ残留セリシンを定着する方法を新たに開発した。こうした方法で調製した歩練定着絹糸の物理的特性を調べた。精練は始めの5分間で急激に進行して全セリシンの約75%が溶解するが, その後は緩やかとなり30分間の精練でも全セリシンの約10%が残ることを知った。残留セリシンが少ないほど絹糸の着色が少なく, 白色度が大きな値となった。また, 精練の進行と共に絹糸の初期引張抵抗度は低下し, 絹糸が軟らかく, 伸び易くなることが明かとなった。
  • 梶浦 善太, 山下 興亜
    1989 年 58 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    幼若ホルモン類縁体であるメトプレンを交雑種及び裸蛹系統の4齢幼虫に局所施与して, 永続幼虫を誘導した。永続幼虫の成長は中部絹糸腺の過剰成長によって特徴づけられた。4齢幼虫へのメトプレン投与は4齢幼虫の成長には殆んど影響しなかったが, 5齢期後半で中部絹糸腺の著しい成長を促した。5齢20日齢の幼虫の中部絹糸腺は4.7gにまで成長しており, 体重の44.1%を占め, 無処理幼虫の中部絹糸腺重の約4倍であった。しかし永続幼虫の絹糸腺以外の組織重は1.5-2.0倍に増加していたにすぎなかった。4齢で絹糸腺を除去した幼虫へのメトプレン投与も永続幼虫を誘導したが, 体重増加は絹糸腺除去によって少なくなった。裸蛹系統のNd-s及びNd-k幼虫もメトプレン投与により永続幼虫となり体重は2倍に増加した。これらの結果からメトプレンによって誘導された永続幼虫が蛹化できないのは, 単に絹糸腺の過剰成長によるものではないことが明らかになった。
  • 横井 直人
    1989 年 58 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    無被害の桑株にキボシカミキリを強制産卵させた場合, その産卵株を伐採した場合, または産卵株を移植した場合のそれぞれにおける羽化率の差異について調査した。その結果, 羽化率は無被害株に強制産卵させた場合に1%以下と極めて低かったが, それを伐採あるいは移植した場合には約11倍も高率になった。一方, 桑株の状態によって羽化率が異なる要因を知るために強制産卵させた株と, それを伐採した株について株内幼虫の動態を調べたところ, いずれも大部分の死亡は桑皮層部内で卵期から若齢幼虫期間に認められた。また, その死亡率は強制産卵させた健全桑株で数倍高く, この差が羽化率に反映したと推察された。この初期ステージでの死亡原因は, 桑株内での未孵化卵の高率な発生であり, 健全桑株ほど顕著であった。
  • 小林 淳, 竹田 敏, 柳川 弘明
    1989 年 58 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑葉粉末を含まない準合成飼料で飼育した家蚕3齢幼虫の就眠・脱皮のタイミングに対する光パルス照射及び飼料中のタンパク質量とβ-シトステロール量の影響を検討した。同時に, 血液中のタンパク質量とエクジステロイド量の変動及び体重の変化も検討した。全暗条件下では, 3齢餉食後68~72時間目に血液中のエクジステロイド量と体重が, その約8時間後に就眠個体数と血液中のタンパク質量が, さらに, その20~24時間後に脱皮個体数がそれぞれピークに達した。一方, 3齢餉食後12, 36及び60時間目に与えた光パルスにより, 就眠・脱皮のピーク時期がそれぞれ4時間程度早まり, 3齢餉食後24及び48時間目の光パルスにより4時間程度遅れた。一方, 飼料中のタンパク質量とβ-シトステロール量の添加量を減らすと, 3齢経過が遅延したが, エクジステロイド分泌から脱皮に至るまでの生理的過程の進行には, ほとんど影響が認められなかった。
  • 陳 建華, 柳沼 利信, 山下 興亜
    1989 年 58 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコの卵休眠開始の機構を休眠及び胚子発育期におけるアデノシン3′, 5′-環状一リン酸 (cAMP) とグアノシン3′, 5′-環状一リン酸 (cGMP) 量の変動の面から検討した。産下直後の卵にはcAMPとcGMPがそれぞれ0.4と2.2nmol/g卵含まれていた。両環状ヌクレオチド量は胚子発育期を通じて互いに逆の変動パターンを示した。すなわち, cAMPは幼虫孵化に向かって増加し, cGMPは減少した。一方, cAMPは休眠期を通じて変動しなかったが, cGMPは休眠期間中に次第に減少した。浸酸処理は休眠開始時に見られたcGMPの減少を一時的に阻止したが, その後の胚子発育期の変動には影響しなかったことから, cGMPが休眠開始に関連していると考えられた。食道下神経節摘出蛾より得た非休眠卵のcGMP量は浸酸処理によって休眠を回避した非休眠卵のcGMP量より2倍高かった。しかし, 胚発生の40時間目までの消長は両非休眠卵で変らなかった。このcGMP量の相違は代謝状態の異なった非休眠卵が存在すことを示唆した。
  • 田中 一行, 小林 勝
    1989 年 58 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    熟蚕から羽化に至るまでの囲心細胞の形態学的変化について追求した。その結果, 5齢盛食期に細胞質部を満たしたタンパク性顆粒は, 吐糸開始とともに一旦激減し, その後増加して化蛹5日後に最高に達し, 以後再び減少して成虫期には全く消失した。このことから, タンパク性顆粒の消長と成虫の器官形成との間に密接な関係があることが示唆された。また, 細胞内への物質取込みの機構である被覆小胞と細管構造の形状は, 幼虫期りものと若干相違していたが, これらによるタンパク性顆粒形成の機構は, 幼虫期の場合とほぼ同様であると考えられた。
  • 1989 年 58 巻 1 号 p. 72
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコの種々の組織における蛹化への決定の異なるタイミング
  • 赤井 弘, BERNARD MAUCHAMP
    1989 年 58 巻 1 号 p. 73-74
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 家蚕に対する殺線虫剤の薬害に関する研究第II報
    今井 暹, 小林 正彦
    1989 年 58 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 浅井 紀夫, 林 良之, 岡川 逸郎
    1989 年 58 巻 1 号 p. 77-78
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 八尋 正樹, 田代 一美
    1989 年 58 巻 1 号 p. 79-80
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 平林 潔, 荒井 三雄, 朱 良均
    1989 年 58 巻 1 号 p. 81-82
    発行日: 1989/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
feedback
Top