塩縮・分繊・樹脂加工糸編地の力学的な特性をKES-FB計測システムを用いて測定し, さらに力学特性値より風合い評価値を計算した。塩縮・分繊・樹脂加工糸を使って試作した絹編地は, 手触りがソフトで, ふっくらとした軽いものであった。加工糸編地の目方は未加工糸編地と比べて, 原料糸量が少なかったにもかかわらず, 同じような地厚さの編地が得られた。絹編地に対する各種の力学特性値は, 塩縮・分繊・樹脂加工糸を用いることにより, LT, WT, B, 2HB, LC, WC, MMD, SMDが増加し, 反対にG, 2HG, 2HG3の特性値が減少した。これらは加工糸編地が, しなやかで弾力性, 圧縮反撥性に富み, ソフトで伸びやすいことを示している。さらに, アウター冬服用を基準にした場合, 加工糸絹編地のKOSHI, FUKURAMI, NUMERIの基本風合い (HV) は, 未加工糸編地と同じ程度であったけれども, 布の良否を判別する総合風合い (THV) は高い値を示した。
以上のように, 各種力学的性質およびHVやTHVなどの品質評価値から判断して, 塩縮・分繊・樹脂加工糸は品質のよいニット用絹糸としての可能性をもつことが確かめられた。
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