中部糸腺各部位の液状絹中のセリシンが蚕の発育に伴って変化する様子を, 酸性アクリルアミドゲル電気泳動によって解析した。セリシンの電気泳動像は, 蚕の発育段階と中部糸腺の部位によって大きく異なっていた。セリシン成分のうち, S
1は5齢2日以降に中部糸腺の中区, 4日以降に前区で見られた。Sは5齢2日から4日まで中区で, 5齢4日以降は前区で認められた。S
8は5齢3日以前に中区, 5日まで前区で認められた。S
3は5齢3日から7日まで中区, 吐糸2日には前区に存在した。S
4は5齢4日以降の後区, 7日以降の中区および吐糸2日の前区で認められた。S
5は5齢6日まで中区, 吐糸1日まで前区で見られた。以上の結果から, 各々のセリシン成分が, 異なる時期に異なる部位で分泌され, 次第に絹糸腺の前方へ送られてゆくことが推定される。
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