日本蚕糸学雑誌
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61 巻, 6 号
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  • 山田 政枝, 何克 栄, 稲松 勝子
    1992 年 61 巻 6 号 p. 469-479
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    筑波台地に有機質含量の異なる火山灰土2地点の試験圃場における土壌管理と桑葉アミノ酸との関係を検討した。両桑園に複合肥料 (窒素:りん酸:カリ=10:4:4) を10アール当り300kgを春秋に半量ずつ施した。また, 冬期に10アール当り, 稲わら750kg, 石灰窒素23kgを溝を堀って施した有機区, 有機区と同方法で同時期に溝堀をした無機区, 溝堀を行なわない無溝区の3区を設けた。試験区を二分し, しんいちのせと改良鼠返の2品種を栽植した。栽植約10年後, 春秋に条の先端葉から成熟葉まで採取し, 凍結乾燥し, 粉末化した桑葉について高速液体クロマトグラフィーでタンパク質構成アミノ酸を定量した。一方, 遊離アミノ酸は高速液体クロマトグラフィー, 蛍光法で定量した。前者の値は3次元配置法で処理し, 後者は Wilcoxon の検定を行った。
    タンパク質構成アミノ酸は3種の他は全ての試験区において, 有意差は認あられなかった。一方, 遊離アミノ酸はしんいちのせ区は全て有意差は認められなかったが, 改良鼠返区は1%または5%の危険率で有意差が認あられるものが多かった。
    これらの土壌管理下で栽培される桑葉はタンパク質に限っては壮蚕飼料として優劣は少ないと考える。
  • 北村 愛夫, 陳 開利, 柴本 秋男
    1992 年 61 巻 6 号 p. 480-485
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    有機溶媒と水との混合系中での絹の伸長・収縮挙動について, 水と有機溶媒のいずれが優先的に吸着されるのかの優先吸着という観点から研究した。その結果, 伸長・収縮挙動の時間依存性でメタノール, T. M. U および Dioxane に二段伸長が見られることがわかり, またこの二段伸長を示す濃度と体積膨張度の極大を示す濃度が一致することがわかった。
    この二段伸長について, 有機溶媒と水の, いずれが優先的に吸着されるのかを, 選択吸着 (選択溶媒和) 速度から研究し, 二段伸長を示す溶媒では, 水が優先的にまず吸着され, 引続いて溶媒が絹の網状構造組織に浸入し, これによって, 二段伸長が発現することを明らかにした。
  • 清水 重人, 大浦 正伸
    1992 年 61 巻 6 号 p. 486-491
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    製糸工程における生産情報収集処理システムの一環として, CCDリニアセンサーをもちいた新しい繊度計測法について検討を行った。このセンサーの基本的な性能についてナイロン釣り糸を用いて基礎試験を行ったところ, 高精度な計測結果が得られた。また, 走行中の生糸の糸幅を測定し, 同時に生糸繊度を連続的に計測した結果, 糸幅値と実測繊度値の間には高い相関関係が認められ, 生糸繊度の非接触によるオンライン計測の可能性を得た。
  • クワ古条側芽 (枝) の摘芽 (梢) と新梢生長
    鈴木 健夫
    1992 年 61 巻 6 号 p. 492-498
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    前年春切無収穫の低幹仕立クワ (品種,‘しんいちのせ’) の1年枝条 (古条) における側芽・側枝生長の優先 (勢) 関係―梢端優勢生長―を調べるため, 春発芽 (えん□) 期の側芽の摘芽処理と伸長開始直後の新梢 (側枝) の剪除 (摘梢) 処理をおこなった。両処理とも, 1株中1本の古条を対象として, 上位から2/5までの部位の側芽 (側枝) 除去, 1芽 (枝) おきの反復側芽 (側枝) 除去, 5芽 (枝) め毎に1芽 (枝) を残す4芽 (枝) ずつの反復側芽 (側枝) 除去などの実験区を設けたが, 実験区の上位枝の優勢生長は無処理古条 (対照区) のそれより早く現われ, また実験区の側枝の伸長生長も対照区のそれより優った。これらの結果から, 古条の春発芽の‘裾上がり’が高いと梢端優勢生長が早く現われるが, これは‘斉一型’(同一古条内における上位から基部近くまでの側芽のほぼ斉一的な春発芽・伸長) の場合に比べて, 側芽・側枝間の競合 (相互阻害) の弱まることが一因であると考えられた。
  • 瀬木 秀保
    1992 年 61 巻 6 号 p. 499-504
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    自動繰糸機における回転ゲージ型繊度感知器には, それを構成するゲージ体として, 円形ゲージ体 (DSC) および矩形ゲージ体 (RCT, 変形矩形ゲージ体もあるが, ここでは矩形ゲージ体で代表させる) がある。
    本報告では, これらのゲージ型繊度感知器のゲージ体の形状とその繊度感知器運動機能 (FMSD, Functional Motion of Size Detecting) 上の特質ならびにそれらの設計に必要な基本的要件について解析した。
    その結果, ゲージ体DSCおよびRCTの形状を決定する基本的要件は, (1) ゲージ体の質量 (または重量) および形状決定要素 (直径R, 長辺a, 短辺bの長さ), (2) ゲージ体の慣性モーメント比 (RI), 質量比 (RM), 角加速度比 (RA), 回転モーメント比 (RT) であり, これらによってそれぞれのゲージ体のFMSD特性を規定することができるものと結論づけられた。
    回転ゲージ体の設計では, 所定の回転モーメント対して, 慣性モーメントが小であり, 角加速度が大きいゲージ体の質量および形状決定要素値を設定することが重要であり, RI, RM, RA, RTの組み合わせ値と形状決定要素値R, a, bとの関係式にもとづく値の設定が必要であると結論づけられた。
  • 白 倫, 羊 亜平
    1992 年 61 巻 6 号 p. 505-511
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    定繊生糸の繊度が接緒によって細限繊度以上の繊度へ復帰した時点の生糸繊度 (復帰点繊度) の分布について検討した。その結果, この繊度分布はランダム・ウォークの初通過位置の分布として決定できることが知られた。さらに一般的な原料繭特性と繰糸条件のもとで, この分布は正規分布で近似できることを示した。さらにこの分布特性は定繊繰糸における細限繊度の決定に重要な役割を演じることを明らかにした。
  • 町井 博明
    1992 年 61 巻 6 号 p. 512-519
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワ未熟葉からの器官形成を明らかにするため、,冬芽内の未熟葉を外植片として用い, BA及びNAAをそれぞれ0, 0.1, 1.0及び10.0mg/lずつ添加したMS及びB5培地 (各16組合せ) による培養を行った。培養期間は30日とし, 明条件下 (60~80μmol・m-2・s-1) 及び暗条件下, 27±1℃で行った。その結果, 不定芽はBA1.0mg/lあるいはBA1.0mg/lとNAA0.1mg/lを含むMS培地 (MS-L9, MS-L10区) のみで認められ, それ以外の区では認められなかった。カルスは, 明条件下でBA0.1mg/lとNAA10.0mg/lあるいはBA1.0mg/lとNAA10.0mg/lを含むMS培地 (MS-L9, MS-L10区) のみで認められ, それ以外の区では認められなかった。カルスは, 明条件下でBA0.1mg/lとNAA10.0mg/lを含むMS培地 (MS-L8, MS-L12区) とB5培地 (B5-L8, B5-L12区) で良好に形成されたが, 暗条件下では, MS培地よりB5培地でカルスの形成が旺盛であった。さらに, 暗条件下のB5培地 (B5-D4, B5-D7, B5-D8区) では, カルスからの発根が認められた。このように, 培地組成及び植物ホルモンの種類と濃度を変えることにより, クワの未熟葉から不定芽, カルス及び根を誘導できることが明らかとなった。
  • 横山 岳, 黄色 俊一
    1992 年 61 巻 6 号 p. 520-521
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 有賀 勲
    1992 年 61 巻 6 号 p. 522-523
    発行日: 1992/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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