日本蚕糸学雑誌
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63 巻, 6 号
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  • 加古 武, 小紫 和彦, 片山 明
    1994 年 63 巻 6 号 p. 437-442
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    グリオキザール系樹脂剤 (1, 3-ジメトキシメチロール-4, 5-ジヒドロキシグリオキザールモノウレイン) を用いて樹脂加工した富士絹の風合いについて, 官能特性と力学的特性を検討した。官能検査においては, しなやかさ, はり, こし, しゃり, きしみ, ふくらみの各特性ともに, 樹脂付着率0.72%絹織物は無加工絹織物および付着率1.45%絹織物との間の区別が困難であったが, 付着率が大きな場合には異なる値が得られた。布の力学測定では, 樹脂加工すると, せん断特性のG, 2HG, 2HG5, 曲げ特性のB, 2HB, 圧縮特性のRC, 表面特性のMMD, SMDが増大したが, 引張り特性のWT, RT, 圧縮特性のLC, WC, 表面特性のMIDはいずれも減少した。これらの値から算出した風合い値 (H. V.) は, 付着率が増加するにつれて, はり, しゃりが増大し, しなやかさ, きしみ, ふくらみが減少した。ただし, 樹脂付着率19%では, LC, WC, しゃり, きしみを除いて力学的特性および H. V. は著しく増減した。官能検査による風合い値と計測して求あた力学的特性に基づく風合い値は, きしみを除いて一致した。
  • 河口 豊, 伴野 豊, 古賀 克己, 土井 良宏, 藤井 博
    1994 年 63 巻 6 号 p. 443-448
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ大卵突然変異体, Ge の雌蛹に20-hydroxyecdysone を投与したところ, 限られた卵位の卵のみの卵形と卵重が大きくかつ重くなり, 対照の Ge 卵よりもさらに大きい大型卵が形成された。卵殻表面に観察される包卵被膜細胞面の形が刻印された網目状区画“polygon”の形態, 面積および数について, ホルモン投与により誘発された大型 Ge 卵と対照 Ge 卵との間で形態的な差異は認あられなかったが, 誘発された大型 Ge 卵に観察される polygon の面積は対照に比べ有意に大きくかつ小瘤 (knob) の数も多く存在した。卵表面に polygon が均等に分布すると仮定して求めた polygon の総数は, 両者の間には有意な差異は認められなかった。これらの結果から, 20-hydroxyecdysone は Ge 卵の卵殻形成期における包卵被膜細胞の肥大生長を促し, Ge 卵よりもさらに大型の卵を誘発したものと推察した。
  • 加古 武, 小紫 和彦, 片山 明
    1994 年 63 巻 6 号 p. 449-456
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    グリオキザール系樹脂を用いて富士絹に加工し, その後ウェットクリーニング (押し洗い)・脱水・乾燥を30回繰返した場合の絹織物の物理的性質および風合いの力学的特性の変化を検討した。樹脂加工によって, 剛軟度, 屈曲摩耗強度, 耐光性 (白度) が増加し, 耐熱性 (白度), 引張伸度 (樹脂付着率19%) が減少した。防しわ率は樹脂付着率1.4%の絹織物までは減少, 付着率5.7%絹織物で無加工織物より増加し, 付着率9%の絹織物で最大となったが, 付着率19%の絹織物では著しく減少した。ウェットクリーニング・脱水・乾燥を30回繰返すと, 樹脂付着率が若干減少し, 無加工絹織物, 樹脂加工絹織物のいずれも厚さ, 吸水性, 剛軟度が増加し, 引張強度, 屈曲摩耗強度, 防しわ率, 耐光性が低下した。樹脂付着率が増し, ウェットクリーニング・脱水・乾燥を繰返すと, 織物の風合いの力学的特性のうち引張特性のLT, せん断特性, 圧縮特性のRC, 厚さTが増加し, 引張特性のRT, 圧縮特性のWC, 重量Wが減少した。また風合い値のこし, はりが増加し, ふくらみ, しなやかさ, きしみが減少した。
  • 但馬 文昭, 井上 正也, 石黒 善夫
    1994 年 63 巻 6 号 p. 457-463
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    生糸の節の自動識別装置を開発するための基礎研究として, レーザー光により2方向から計測した節形状波形について5つの特徴量 (幅, 高さ, 面積, 相互相関, スロープの長さ) を定義し, これらの特徴量を抽出した。さらに, 得られた結果について節の5つの種類毎に統計量および特徴平面における分布を調べた。その結果, 小ずる節は相互相関により他の節と識別が可能なこと, 中つなぎ・大わ・さけ, 小節, 小ずるの3群の識別が十分に可能であること, 中つなぎ, 大わ・さけについては半分程度の識別が可能であること等の知見を得た。
  • 塚田 益裕, 加藤 弘, 横沢 三夫, 浦島 開, GIULIANO FREDDI
    1994 年 63 巻 6 号 p. 464-474
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコールジ (メタ) アクリレート (PEDGMA), スチレン (St) ならびにSt/PEDGMAの混合モノマーでグラフト加工した絹織物の力学的特性を検討した。グラフト加工した絹織物の曲げヒステリシス曲線の傾きは未処理区よりも僅か増大した。曲げ剛性 (B) とヒステリシスの幅 (2HB) は, グラフトモノマーの種類が異なっても加工率が増すと増加する傾向を示した。せん断剛さ (G), せん断ヒステリシス (2HG5) は, 未処理区, PEDGMA, St, St/PEDGMA区の順に増大したが, 2HG値の変化は見られなかった。グラフト加工布の曲げ特性, せん断特性変化と, 布構造との関係をモデル図により考察した。乾燥状態でのしわ回復率は, サンプル間で差異が見られなかったが, 湿潤状態ではPEDGMA, あるいはSt/PEDGMAグラフト加工絹織物に良い効果が現れた。グラフト加工絹織物の洗濯, 汗, 摩擦等の堅牢度はSt/PEDGMAグラフト加工により1級向上することが明らかとなった。
  • 呂 群, 飯塚 英策
    1994 年 63 巻 6 号 p. 475-480
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    日本在来品種群に分類される39蚕品種の繭糸について, その物理的性質を雌雄間で比較した。雌雄何れの試料集団についても, 繭層部位にかかわらず繭糸の動的弾性率および強度は繭糸繊度に対して, 十分有意な負の, また伸度は繭糸繊度に対して十分有意な正の線型相関を示した。精練繭糸の結晶化度および複屈折率も絹糸繊度に対して負の線型相関を有し, 細い繊維ほど結晶性, 配向性が高く, これが繭糸の物理的性質に反映しているものと考えられる。これらの結果は他の2種めそれぞれの繭糸, すなわち中国交雑蚕品種「錦綾」および日本限性蚕品種「黄白」について得られたものと一致する。繭糸の配向結晶性は雄の繭糸の方が高い傾向を示すにもかかわらず, その動的弾性率は雌の繭糸の方が高く, その差は十分有意であった。この結果から繭糸の繊維構造の中の無定形領域における分子鎖の緊張度に雌雄差があるものと推察される。
  • 魯 興萌, 橋本 義文, 松本 継男, 前川 靜枝
    1994 年 63 巻 6 号 p. 481-487
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    健康蚕の腸内から99株の Enterococcus 属細菌を分離し, pH9.6 (BHI) で増殖しない7株を除いた92株の分類学的検討を行った。分離菌はD群 Enterococci の鑑別性状と昆虫に対する病原性を基にして8群に分けられた。非溶血性で旺盛なプロテイナーゼ産生能を有し, E. faecalis 抗血清と凝集すると共に E. faecalis タイプ1抗血清と特異凝集する菌株が主要な分別群を占めた。黄色色素を産生する E. casseliflavusE. durans, さらに未同定株も分離された。α溶血およびβ溶血の性状を示す株も得られ, とくに本研究で得たβ溶血株は, 昆虫由来株としては最初の記載である。
  • 香川 敏昭, 篠塚 秀利, 三木 六男
    1994 年 63 巻 6 号 p. 488-493
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    マイクロ波による家蚕繭の繭乾燥について検討するため, 周波数2,450±30MHz, 出力0.75~1.5kW, 送風温度50~100℃により生繭に照射を行い, 乾燥時間および繭の繰糸成績について現行の気熱乾燥法と比較検討した。その結果, 目的乾燥歩合とした約42%に達する時間は45分~1時間20分と著しく短縮した。繭乾燥速度は単一出力では生繭重量の87%前後に至るまで急上昇した後緩やかに下降したが, 照射処理の途中で出力を高あると乾燥速度は再び上昇した後下降した。高出力照射区は体液滲出に起因する内部汚染の選除繭が増加した。マイクロ波照射区は煮繭時間が短く, 解じょ率が高くなったが, 繭糸量と生糸量歩合は低下した。また, 糸故障, 小節および大中節への顕著な影響は認あられなかった。
  • 桑樹の耐アルミニウム性に関する研究 (第3報)
    矢彦沢 清允, 山本 満寿夫, 齋藤 英毅, 藤松 仁, 押金 健吾
    1994 年 63 巻 6 号 p. 494-498
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    アルミニウム (Al) 集積に対するクワの特性を検討し, 次の知見を得た。(1) クワは Al の集積植物には属さない。(2) クワの Al 含有率は, 地上部では葉身が, 地下部では栓皮 (コルク層) が極めて高いことを認めた。(3) クワの樹体内に集積した Al は, 地上部では葉身の落葉, また, 地下部では栓皮のコルク化および剥離などにより除去される。以上の知見から, 多年性植物であるクワは Al の体外排除機能をもつことが示唆された。
  • 杉浦 彰俊, 三浦 幹彦, 森川 英明
    1994 年 63 巻 6 号 p. 499-507
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    著者らは, 蚕の営繭行動の特性を研究するために, すでに二台のビデオカメラを利用した三次元データの測定法を確立した。しかし, 得られたデータを解析して蚕の営繭時の特性を数値的に表現しただけでは, その結果と蚕の具体的な動きとを関係させて解釈するにはかなり困難を伴う場合が多かった。そこで, 本研究では, こうした困難を解決するため, 営繭中の蚕体の動きを三次元コンピュータグラフィックスとして表示し, その動きを種々の方向から観察できると同時に, 営繭行動データの解析が可能であるシステムの開発を行った。その結果, 3DASBSと名付けたシステムを作ることができた。このシステムはコンピュータのCRT上で蚕の体の動きの再現, 吐糸方向の統計解析, 方向分布密度の等高線表示などが実行できる機能を備えている。このシステムの有効性を示すため, 実際の営繭行動データに適用し, その解析例を示した。
  • 清水 慶昭, 木村 光雄
    1994 年 63 巻 6 号 p. 508-510
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 河原 豊, 古田 博一
    1994 年 63 巻 6 号 p. 511-513
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • NGUYEN TIEN THINH, 片桐 幸逸
    1994 年 63 巻 6 号 p. 514-516
    発行日: 1994/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 63 巻 6 号 p. e1
    発行日: 1994年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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