グリオキザール系樹脂剤 (1, 3-ジメトキシメチロール-4, 5-ジヒドロキシグリオキザールモノウレイン) を用いて樹脂加工した富士絹の風合いについて, 官能特性と力学的特性を検討した。官能検査においては, しなやかさ, はり, こし, しゃり, きしみ, ふくらみの各特性ともに, 樹脂付着率0.72%絹織物は無加工絹織物および付着率1.45%絹織物との間の区別が困難であったが, 付着率が大きな場合には異なる値が得られた。布の力学測定では, 樹脂加工すると, せん断特性のG, 2HG, 2HG5, 曲げ特性のB, 2HB, 圧縮特性のRC, 表面特性のMMD, SMDが増大したが, 引張り特性のWT, RT, 圧縮特性のLC, WC, 表面特性のMIDはいずれも減少した。これらの値から算出した風合い値 (H. V.) は, 付着率が増加するにつれて, はり, しゃりが増大し, しなやかさ, きしみ, ふくらみが減少した。ただし, 樹脂付着率19%では, LC, WC, しゃり, きしみを除いて力学的特性および H. V. は著しく増減した。官能検査による風合い値と計測して求あた力学的特性に基づく風合い値は, きしみを除いて一致した。
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