日本蚕糸学雑誌
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63 巻, 1 号
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  • 生理的役割をめぐって
    江口 正治
    1994 年 63 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 浅川 秀哉, 浜野 国勝
    1994 年 63 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫消化液アミラーゼ, Amy-dIV型とAmy-dV型のアイソザイムの性状について検討した。IV型, V型ともに複数の酵素からなり, CM-Sephadex C-50を用いたカラムクロマトグラフィーにおいてはそれらの酵素はいずれも同一の挙動を示した。しかしグリコペプチダーゼA及びノイラミニダーゼ処理を行なったところ, グリコペプチダーゼA処理区でIV型のアイソザイムの一部に等電点の変化がみられた。各種塩溶液による酵素活性の差異について測定したところ, IV型とV型酵素群では各種塩溶液による活性化の割合が著しく異なることがわかった。これらのアミラーゼ標品についてSDS-PAGEを用いて分子量の測定を行なったところいずれも53,500と推定された。アミラーゼ標品中の糖質の有無をPAS染色法で検討したところ, 糖鎖に特有なバンドが検出された。カイコ消化液アミラーゼは, 糖蛋白質である可能性が示唆された。
  • 陸 旋, 秋山 大二郎, 平林 潔
    1994 年 63 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究では, 塩化カルシウムで溶解再生したフィブロイン溶液から得たゲルから調製した絹フィブロイン粉末及び硫酸で加水分解した絹フィブロインの粉末を作り, 粘度, IRスペクトル, X線回折, 熱分析及びその成形物の強度測定を行った。その結果, ゲルからの粉末はβ化は進んでいるが, まだかなりのランダムコイル構造を含む無定形の微細なガラス状粉末であった。希硫酸で短時間加水分解して作った粉末は非結晶領域が破壊され, β型が優勢な微結晶から成る微細繊維状粉末であった。加水分解粉末の収率, 粘度は硫酸加水分解時間の増加と共に減少し, 分解温度は1.5時間処理まで上昇したのち低下した。また, 絹フィブロイン成形物の強度も同じような傾向を示した。これは絹フィブロイン粉末の結晶性、空隙及び粒子の形状が影響しているためと考察した。
  • 三浦 幹彦, 杉浦 彰俊, 森川 英明
    1994 年 63 巻 1 号 p. 28-38
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    蚕は吐糸口をV, S, 8字を描くように動かしながら繭を作り, その動きは作られる繭の品質と密接に関係することが指摘されそいる。また, 吐糸口の動きのモデル化は, 吐糸された繭糸の交点数やその位置と環節の発生との関係を調査するため重要と思われた。本研究では, 三次元測定された吐糸口の位置の時系列データを用いて, これまで明らかでなかった繭殻作成前の動きを調査するとともに, 吐糸された繭糸のからみあいを調べるため吐糸口の動きにスプライン曲線をあてはめる試みを行った。そのため, 最初に楕円体を用いて蚕の営繭行動の中心を定義する方法とデータの分散共分散行列の固有値を利用して吐糸位置データの射影平面を決定する方法を提案した。次に, 蚕から見た射影平面上での吐糸口の動きに最小二乗法により曲線をあてはめた。その結果, V, S, 8字や繭殻作成前に見られるその他の複雑な動きもスプライン関数により近似できることが明らかとなった。
  • 白 倫, 嶋崎 昭典
    1994 年 63 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    定繊繰糸法による生糸繊度の復帰繊度分布の密度関数とその分散の理論式を与えた。これにより繰糸中の落緒歩合, 給繭機間隔, 有効接緒効率などの諸要因の復帰繊度ならびに生糸平均繊度への影響度を明らかにすることができた。またこのことによって技術因子の管理を通して定繊生糸繊度特性をより的確に行う基礎を与えることができた。
  • 野木 照修
    1994 年 63 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    収穫法が異なる桑園における施肥窒素の吸収利用について検討するため, 標識窒素を用いた圃場試験を実施した。収穫法の違いは輪収春切と輪収夏切とした。その結果, 1) 春切桑の初秋蚕期収穫物中の施肥窒素由来の割合は, 夏肥より春肥が高く, 晩秋蚕期収穫物中では夏肥が高かった。2) 夏切桑の収穫物中に占める春肥由来の割合は春蚕期と晩秋蚕期でほぼ同様であった。また晩秋蚕期収穫物では春肥と夏肥は大差なく, 再発枝の伸長に春肥窒素もかなり利用されたと考えられた。3) 翌年収穫物への施肥窒素の取り込みは輪収春切桑に施用した窒素が輪収夏切の場合より多かった。4) 春肥窒素の利用率は春切と夏切が同等で, 夏肥窒素の利用率は夏切が明らかに低かった。また, 春切では春肥より夏肥の利用率が高く, 夏切では春肥の利用率が高かった。
    5) これには, 夏切では, 桑が最も夏肥を吸収する時期の全伐により, 根の活動が低下したことが影響したと考えられた。
  • 加古 武, 片山 明
    1994 年 63 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    富士絹にグリオキザール系樹脂 (1, 3-ジメトキシメチロール-4, 5-ジヒドロキシ-モノウレイン-グリオキザール) を加工し, その加工絹織物と無処理絹織物の水分特性について比較検討した。その結果, 樹脂加工によって織物の収縮率や糸密度はほとんど変化がなく, 厚さ, 帯電性, はっ水性, 乾燥性は増加したが, 吸湿性, 吸水性, 吸水率, 通気性は低下し, 透湿性は明瞭な傾向がみられなかった。酸性染料, 直接染料による表面染着濃度は樹脂付着率の増加とともに低下したが, 分散染料では染料によって異なる傾向を示した。また赤外吸収スペクトルの吸収バンドの3080cm-1 (NH伸縮振動) および2930cm-1 (CH伸縮振動) などにおける吸収強度が樹脂加工によって弱くなった。樹脂加工絹織物は無処理絹織物より熱分解温度が若干高くなる傾向がみられた。
  • 古沢 寿治, 西田 正治, 鳴瀧 昭彦
    1994 年 63 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    天蚕の休眠卵のホスファチジルエタノールアミン (PE) とホスファチジルコリン (PC) の構成脂肪酸割合におよぼす温度の影響を, 25℃, 5℃と0℃に保護した卵を用いて検討した。25℃保護卵では産卵直後から休眠開始期にかけてPCのC18:3が増加し, C18:2が減少し, PEではC18:2の減少に伴いC18:1が増加した。25℃保護卵を産卵70日後に5℃と0℃に冷蔵すると, いずれの保護卵のPCには顕著な変化はみられなかった。また, 0℃保護卵のPEでも変化なかったが, 5℃保護卵のPEでは覚醒後C18:3の減少に伴いC18:1が増加した。さらに, 覚醒後の卵を25℃に移し, 胚発育させたところ, PEではC16:0の減少とC18:3の増加, PCではC18:1の減少とC18:3の増加がみられた。これらの結果は, 天蚕卵の休眠進行に伴いPE構成脂肪酸の飽和化, 覚醒後の胚発育に伴ってPE, PCともに構成脂肪酸の不飽和化が起こっていることを示している。
  • 飯塚 英策, 植垣 健太郎, 高松 宏政, 岡地 康文, 河井 栄一
    1994 年 63 巻 1 号 p. 64-71
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    二品種のタイシルク, ノン・ナイ絹およびカンボウジュ絹の物理的性質を繊度との関連で評価した。両繭糸とも極限に近い結晶性を有し, 細繊度になるほど高い動的弾性率と強度を, また低い伸度を示した。これは結晶部の配向度と非晶部の緊張度の上昇によるものと考えられ, 絹フィブロインに独特な紡糸メカニズムに基づくものである。繊度に対するこのような相関は, 全長に亙って繊度の変化する一粒の単繊維についても見られた。タイシルクは一般の家蚕シルクと比較して解鎌糸長が著しく短いのみならず繊度も著しく低く, このため通常の家蚕絹に比してかなり高い動的弾性率を示し, この傾向はノン・ナイ絹により顕著であった。
  • 栗岡 聡, 平野 久, 小松 計一
    1994 年 63 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    繭層の非繊維性タンパク質の抽出を8M尿素を用いて行った。その結果, 分子量24,500以下に9種の低分子タンパク質が抽出されていることがSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により確認された。これらの非繊維性タンパク質の機能を追究するために, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離したタンパク質のアミノ酸配列分析とアミノ酸組成分析を行った。その結果, 11kDaタンパク質のN末端アミノ酸配列を決定することができた。このことから, 11kDaタンパク質はSDS-ポリアクリルアミド電気泳動のみで単一画分として分離されていることが明らかとなった。このアミノ酸配列をもとにホモロジー検索を行ったところ, セリンプロテアーゼインヒビターの一種であるオボムコイドの反応部位近傍のアミノ酸配列とよく似ていることがわかった。11kDaのアミノ酸組成はインヒビターに比べてグリシンが多かった。
  • 高林 千幸
    1994 年 63 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    多段式繭乾燥機内の温度を繭の進行とともに連続的に計測する温度計測システムを開発した。本システムは温度計測装置を繭乾燥機の入口から入れ, 繭の進行とともに繭乾燥機の左側, 中央, 右側の3箇所の温度データを温度計測装置内に連続的に記憶し, 繭乾燥終了後, 繭乾燥機から温度計測装置を取出し, 温度データをパソコンへ転送し温度解析を行う構成となっている。本装置を用いて計測実験を行った結果, 乾燥時に繭が実際に受ける温度を正確に計測することができるとともに, 繭乾燥機の進行方向における温度分布や左側・中央・右側の横方向の温度分布を捉えることができた。
  • 高橋 徹之, 磯野 友里, 金勝 廉介
    1994 年 63 巻 1 号 p. 84-86
    発行日: 1994/02/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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