富士絹にグリオキザール系樹脂 (1, 3-ジメトキシメチロール-4, 5-ジヒドロキシ-モノウレイン-グリオキザール) を加工し, その加工絹織物と無処理絹織物の水分特性について比較検討した。その結果, 樹脂加工によって織物の収縮率や糸密度はほとんど変化がなく, 厚さ, 帯電性, はっ水性, 乾燥性は増加したが, 吸湿性, 吸水性, 吸水率, 通気性は低下し, 透湿性は明瞭な傾向がみられなかった。酸性染料, 直接染料による表面染着濃度は樹脂付着率の増加とともに低下したが, 分散染料では染料によって異なる傾向を示した。また赤外吸収スペクトルの吸収バンドの3080cm
-1 (NH伸縮振動) および2930cm
-1 (CH伸縮振動) などにおける吸収強度が樹脂加工によって弱くなった。樹脂加工絹織物は無処理絹織物より熱分解温度が若干高くなる傾向がみられた。
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