日本蚕糸学雑誌
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63 巻, 4 号
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  • 加藤 弘, 武部 豊
    1994 年 63 巻 4 号 p. 269-277
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    グリオキザール系樹脂・熱反応型水溶性ウレタン・アルキルヒドラジンを複合使用して, 絹織物を樹脂加工したときにおける樹脂の付着率および防しわ性などの物理的性質の変化および加工布からのホルムアルデヒド溶出量について検討した。
    グリオキザール単独処理よりもグリオキザールに水溶性ウレタンをブレンドした樹脂加工液を用いた方が防しわ性は良好であった。キュアリング温度は高いほど樹脂付着率が高く, 樹脂定着率も向上することが認められた。
    ソーピング後の樹脂付着率は, グリオキザールの種類によって大略NS-18>NS-19>Z-5の順となり, メチロール側鎖とヒドロキシル側鎖のアルキル基 (R) がメチル残基CH3よりも水素イオンH+に置換されている割合が大きいグリオキザールの順序とよく符号していた。水溶性ヒドラジンHN-200をブレンドした加工布はソーピング前の樹脂付着率は高かったが, ソーピングの際の樹脂脱落量も大きかった。これは樹脂や絹繊維と反応しない水溶性ヒドラジンが脱落しやすい状態で樹脂中に存在することに起因していると考えられる。
    加工布からのホルムアルデヒド溶出量は程度の差こそあれ, 常にグリオキザールがNS-18>NS-19>Z-5の順序にホルムアルデヒドが検出された。ソーピング後の検出量は40-50μg/gと算出されたが, これは厚生省令で定められた2才以下のベビー用衣料にはホルムアルデヒドは検出されない, すなわち吸光度差 (A-A0) が0.05以下には不適格であったが, 一般下着類の75μg/g以下を達成した値であった。
  • 片桐 幸逸, NGUYEN TIEN THINH
    1994 年 63 巻 4 号 p. 278-283
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑品種一ノ瀬の冬芽から摘出した幼葉を用いて回転振盪培養を行ったところ, 次の結果を得た。(1) 2mg/lのベンジルアミノプリン (BAP) を含む Murashige & Skoog (MS) の培養液を用いた1分間150回転の回転振盪培養は, 同じ濃度のBAPを含むMS寒天培地を用いての培養に比較して葉単位で2倍程度多く不定芽が形成された。(2) 幼葉の不定芽形成能は, ホルモンを含まないMS液体培地で10日間回転振盪培養することによってほぼ失われた。(3) 不定芽は, 葉先部に比較して葉底部で多く形成された。(4) アミノ酸のアラニンは不定芽形成を促進し, 同じアミノ酸のトリプトプァンは不定芽形成を抑制した。
  • 上石 洋一, 青木 軍次
    1994 年 63 巻 4 号 p. 284-292
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ネッロウシルクを用いた織物や吸水性に優れるポリエステルを用いた織物, さらに染色堅ろう度試験添付白布の絹 (羽二重) について, KES-Fを用いて力学的特性を測定した。ネッロウシルク織物の引張り, 曲げ, 剪断の剛さは小さく, 表面粗さも小さかった。さらに, 各測定におけるレジリエンスも小さく, ネットロウシルク糸の持つ性質である嵩高さや, 構成している単繊維が一軸に揃っていないことに起因するものである。風合い値を計算すると, SHINAYAKASAに優れるとともに, 他の織物と比較すると婦人外衣用薄地の標準的な値を示しており, 風合いのバランスが良い織物である。ネットロウシルク織物の剛軟度は小さく, また防しわ性に優れる織物であることが分かり, 風合いの結果も考えると優れた衣料素材となることが期待できる。ピルを発生しやすい欠点もあるが, 撚り加工や併用する糸の選択などによってネッロウシルクの特徴
  • 片瀬 雅彦
    1994 年 63 巻 4 号 p. 293-298
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワ (品種みつしげり) の培養シュートを, ミスト処理による直接発根法で発根・順化させた。25個のセル (5cm×5cm×深さ6cm) から成るプラスチック・トレイにバーミキュライトを詰め, 0.5ml/lのハイポネックス®で湿らせた。このトレイに1~3cmの培養シュートを挿して温室に置き, 20%の自然光下で, 7時から19時まで30分ごとに15分間ミストを噴射した。ミスト処理を0~25日間行った後, 同じ温室内の自然光下で育成したところ, 15日間のミスト処理によってシュートは良好に発根し, 同時に順化された。プラスチック・トレイの代わりに異なる容量 (100, 200, 400ml) のプラスチック・ポットを用いたところ, 容量が大きいほどミスト処理後の生長量は大きくなった。クワ培養シュートの発根・順化において, ミスト処理による直接発根法はプラスチック・ボックスの保湿処理による直接発根法よりも効率的である。
  • 伴野 豊, 野田 和宏, 河口 豊, 古賀 克己, 土井 良宏
    1994 年 63 巻 4 号 p. 299-302
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコの1~3齢幼虫期の体液中に主要に存在する若齢型タンパク質は電気泳動分析によりA群, B群に大別される。これらのうち最も高濃度なPYL-A4について遺伝学的解析を行った。まず, 起源の異なる125系統につきPYL-A4の電気泳動による変異を探索したところ, 陽極への移動度の速い1型と遅い2型および痕跡量となるn型が見出された。交雑実験からこれらの変異は共優性的に発現されることを認め, PYL-A4を支配する遣伝子を若齢タンペク質遺伝子と命名, 遺伝子記号をPylとした。次いでPyl遺伝子の連関検索を行ったところ, 第20連関群に所属することが判明した。同連関群所属の霜降油蚕遺伝子 oh, リポタンパク質遺伝子加の両遺伝子を基準に用いて3点実験を行い, Pyl遺伝子座を第20連関群11.2と決定した。
  • 飯塚 敏彦, 石川 精一郎, 浅野 真一郎, 伴戸 久徳, ZHENWEI ZHENG, 村井 紀元
    1994 年 63 巻 4 号 p. 303-309
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Bacillus thuringiensis subsp. sottoは, 殺虫性タンパク質 (1,180アミノ酸残基) をコードしているcryIA (a) 遺伝子を有しており, この殺虫活性領域はアミノ酸残基29から618とされている。本実験では, cryIA (a) 遺伝子の活性領域を改変し大腸菌にて発現させ殺虫活性をカイコ幼虫に与えて検定した。その結果, LD50は4齢幼虫1個体当たり0.25~0.35μgであった。また, 同様に殺虫活性領域を有するcryIB遺伝子をB. thuringiensis subsp. thuringiensis HD-2からPCR法によって分離し遺伝子改変を行い大腸菌にて発現させた。発現タンパク質は大腸菌全タンパク質としてモンシロチョウ5齢幼虫に対して生物検定を行いLD50は1個当たり>0.1μgであった。この結果, 改変cryIA (a) ならびにcryIB遺伝子は, 遺伝子改変作物作出に使用可能であることが示された。
  • 孟 智啓, 廬 変愚, 伴野 豊, 古賀 克己, 河口 豊
    1994 年 63 巻 4 号 p. 310-314
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    5齢期カイコ中腸細胞中の遊離Ca2+濃度をfura-2/AMを添加した細胞培養系を用いて測定したところ, 592nMという値が得られた。同細胞培養系にNaFを負荷すると, この値は急速に低下し, 90秒で半分となった。NaFによる低下は培地中に予め細胞膜輸送の阻害剤 verapamil を加えておくことにより完全に阻止された。このことから, NaFによるCa2+濃度の低下は細胞外へのCa2+輸送の促進が原因であると結論した。この知見はフッ素化合物を含む排煙による養蚕被害の原因追求と保護の観点から重要であると思われる。
  • 古畑 研一, 岡田 暁夫, 陳 玉, 徐 瑩瑩, 坂本 宗仙
    1994 年 63 巻 4 号 p. 315-322
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕絹フィブロインがハロゲン化リチウムとジメチルアセトアミド (DMA), ジメチルホルムアミドあるいはメチルピロリドンとの混合溶媒へ溶解することを見出した。LiCl/DMA系が最も有効であり, 塩化リチウムは臭化リチウムより優れていた。種々の溶解条件の影響について詳細に検討した。50℃, 塩化リチウム濃度2.25mol/lでの絹の溶解量は140g/l以上であった。絹を溶解する際, 90℃でリチウム塩を加える場合には, 再生絹の分子量の低下が認められた。
  • 小林 亨
    1994 年 63 巻 4 号 p. 323-329
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    既に開発したマイクロコンピュータ制御による自律走行車に防除機, インタフェース等を搭載し無人で桑園の防除作業が行える自律桑園管理機を試作し, その作業性能について調査した。その結果, 本機は毎秒24cmで桑園内を自律走行しながら, 病害虫防除は1畦1工程, 除草剤散布は1畦2工程で自律作業が行えることが確認された。
  • 魯 興萌, 橋本 義文, 清水 進, 松本 継男, 前川 静枝
    1994 年 63 巻 4 号 p. 330-332
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 加古 武, 片山 明
    1994 年 63 巻 4 号 p. 333-335
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 屋良 昌樹, 小瀬川 英一, 杉元 康志, 古賀 克己
    1994 年 63 巻 4 号 p. 336-340
    発行日: 1994/08/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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