日本蚕糸学雑誌
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64 巻, 3 号
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  • 鳴海 多恵子, 小林 正彦
    1995 年 64 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ヤママユガ科の繭糸のボイドについて, 形態特性を定量的に研究するために, 画像処理による形態計測の方法を検討した。計測対象としてサクサン, タサールサン, テンサンの繭糸断面の走査型電子顕微鏡写真を用いた。入力する画像の選択と画像入力の調整, 二値化像の修正, 測定項目の設定などの方法を検討した結果, ボイドの形状を的確に示す数値が得られ, それらにより種間差異が数値的に示された。また, 繭糸断面中の存在位置によりボイドの形状に差異があることが示された。画像処理を用いた形態計測は, 微小でかつ大量に存在するボイドの形状を精度高く, 瞬時に計測する上で有効であることを確認した。
  • 朱 良均, 荒井 三雄, 平林 潔
    1995 年 64 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    セリシンの接着性を研究するための基礎的知見を得る目的で, 絹糸腺セリシンと繭層セリシンを解析した。電気泳動, アミノ酸組成, 粘度, 熱分解温度などの分析から, 絹糸腺外側セリシンは内側セリシンより分子量の大きい分画が多いことが明らかとなった。繭層の外側セリシンと内側セリシンにも性質の差異が認められたが, その差は分子量の差というよりもカイコの吐糸によるセリシン層のずり応力の印加の程度の相違が配向, 結晶性の差として表れ, これがセリシンの層状構造を形成する要因であると考えられた。
  • 呂 群, 飯塚 英策
    1995 年 64 巻 3 号 p. 214-218
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    日本在来品種群繭の平均解静糸長と平均繊度とは雌雄間で評価さるべき差違を示さないが, その改良品種群においては両物理量とも雌の繭糸の方が大であった。在来および改良品種群繭糸は雌雄何れの試料集団についても, 弾性率および強度は繭層部位によらず繭糸繊度に関して充分有意な負の, また, 伸度は正の線型相関を示し, かつ精練絹糸の結晶化度と密度とは精練絹糸の繊度に関して, 負の線型相関関係を示した。これらの実験的事実は, 繊度が細くなるほど結晶性が高くなり, この傾向が物理的性質に反映していることを示唆している。
    繭糸フィブロインの繊維構造を最も忠実に反映する動的弾性率については, 在来品種群にみられた雌雄間の差異が改良品種群において強調され, 雌の繭糸の方が明らかに高い値を示した。これは, 力学的性質を左右する繊維構造の無定形領域における分子鎖の緊張度が, 雄の繭糸と比較して雌の繭糸の方が高いことを示唆するものである。
  • 伴野 豊, 河口 豊, 古賀 克己, 土井 良宏
    1995 年 64 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    実験飼育中の1交雑区において1齢期に発育が不全となり, 1眠に入ることなく致死する変異体を多数見出した。同区において正常な発育を遂げた個体間で相互交配を行い, 18蛾区を得, 次代を調査したところ, 5区で再び致死変異体が分離した。後代検定を行ったところ, 本変異体は常染色体上の1劣性遺伝子により発現することが明らかとなった。本変異体のもつ形質的特徴は既報の種々の遺伝的不眠蚕と類似していたので, まず, 既存の不眠蚕遺伝子が座乗する6連関群との関係を遺伝的に解析したが, いずれとも独立と判定された。そこで, 本変異体をk不眠蚕 (遺伝子記号nm-k) と命名, 広く連関検索を行った結果, nm-kは第4連関群に所属することが判明した。さらに, 第4連関群所属のL, sk両遺伝子を基準に3点実験を行い, その座位を26.8と決定した。
  • 早坂 昭二, 井上 元
    1995 年 64 巻 3 号 p. 224-229
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    培養細胞系における核多角体病ウイルス増殖の研究に資するために, 核多角体病ウイルスの好適な増殖部位とはいえないカイコ中腸皮膜組織における多角体形成状況を観察した。低温処理後に多角体浮遊液を経口接種し25℃または20℃で飼育した幼虫の中腸細胞では, 細胞核内に形成された多角体へのウイルス粒子の包埋は極めて少なかったが, 基底膜側の細胞部分からのウイルスの出芽が旺盛であった。また, ヌクレオキャプシッドはウイルスエンベロープに包まれることが少なく, そのたあ大きなウイルスエンベロープが多角体に親和し多角体を包み込んでいく像が観察された。
  • 野口 洋子
    1995 年 64 巻 3 号 p. 230-236
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    5-bromo-2′-deoxyuridine 処理により分離された温度感受性変異株 (No. 20株, No. 128株およびNo. 217株) の増殖様式を in vitro および in vivo で検討した。No. 20株, No. 128株を培養細胞に接種後33℃で培養すると, ウイルスの増殖を示す組織学的兆候は観察されなかった。No. 217株の場合は, 33℃ではウイルスの形態形成や多角体形成が抑制され, ウイルス粒子の膜形成も異常や多角体への包埋の減少が電子顕微鏡観察で認められた。No. 128株とNo. 20株の33℃での混合感染で, 多角体形成細胞率が向上し, 明瞭な相補性が認められた。No. 128株とNo. 20株の場合は, カイコ幼虫に接種後25℃で飼育する期間が短い程病蚕の発生が抑えられた。この場合33℃の飼育のみでは幼虫の発病はみられなかったが, 25℃に移すと発病した。No. 217株接種蚕は, 33℃飼育では25℃飼育に比べて発病率が低下し, 発病時期も遅れる傾向を示した。
  • 三浦 幹彦, 森川 英明, 杉浦 彰俊
    1995 年 64 巻 3 号 p. 237-245
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    営繭中の蚕体の動き特性を調べるため, 3品種の蚕を用いて蚕体上の15点の位置の変化を1秒ごとに測定した。このうち, 吐糸口から尾部までの13点の位置データを用いて, 蚕体を12個の部分に分割し, 異なった吐糸場所での蚕体の動きから, 各部の方向分散, 方向相関係数を求めた。その結果, 方向分散は, 吐糸口から体の後部に向けて小さくなる他には顕著な特性がみられなかった。しかし, 相関係数の値は, 営繭段階が進むと大きくなる傾向を有し, 連続する二つの体節の角度の変化は, 営繭段階が進むと小さくなることが示唆された。さらに, 営繭領域の中心からの吐糸位置の方向分散を計算した結果, 営繭領域の中央部分に吐糸する場合は広い範囲に, 両端部分では狭い範囲に吐糸する傾向にあった。また, 蚕体形を多変量データとして表し, 一般プロクラステス解析を用いて, 異なった吐糸場所での平均蚕体形を推定したところ, 営繭初期の段階では比較的自由な平均体形を示すが, 段階が進むにつれて狭い範囲で動き, 吐糸場所が異なってもほぼ同じような平均体形をとることが明らかとなった。さらに, 蚕体各部の長さの変化についても考察を加えた。
  • 安居 拓恵, 白田 昭
    1995 年 64 巻 3 号 p. 246-253
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    昆虫は常に種々の微生物に曝されているが, 防御機構を備えて対処している。本研究では, 植物葉と共に病原菌等を含む微生物が侵入する消化管における防御機構の解明を目的として, 昆虫 (カイコ, カミキリおよびバッタ) の消化管に存在する抗菌性物質を直接法および薄層クロマトグラフィー (TLC) 法により検索した。昆虫の腸内容物アセトン抽出液は, 供試した微生物44種中, B. subtilis, B. cereus および P. oryzae に顕著な抗菌作用を有し, 他の6種の菌およびカイコ腸内細菌BY-1にも抗菌作用を示した。明瞭で識別が容易な抗菌スポットを与える B. subtilis を検定菌としたTLC法による抗菌活性の検定の結果, 昆虫腸内で抗菌性物質の代謝が行われていることが明らかになった。得られた結果を昆虫の抵抗性との関係で考えると, 消化液のみの抗菌力は強いとはいえないため, 抵抗性に貢献しているのは, 主として食葉の抗菌性物質および腸内で変換された食葉成分であると推察された。
  • 森川 英明, 嶋崎 昭典
    1995 年 64 巻 3 号 p. 254-261
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    単純移動平均法を用いた逐次分解により, ハイブリッドシルクの生糸繊度に対して変動を与えている諸因子を検討し, 得られた変動成分を周波数解析することにより各変動成分の周期的特性および繊度変動への影響度について調べた。その結果,「生産環境因子」(長期変動成分),「原料繭因子」(中期変動成分),「繰糸技術因子」(短期変動成分) の3つの因子を抽出することができた。
  • 阿部 広明, 嶋田 透, 辻 豪一郎, 横山 岳, 黄色 俊一, 小林 正彦
    1995 年 64 巻 3 号 p. 262-264
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 河口 豊, 黒田 直子, 伴野 豊, 古賀 克己, 土井 良宏
    1995 年 64 巻 3 号 p. 265-269
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 井上 元, 今西 重雄
    1995 年 64 巻 3 号 p. 270-272
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 河原 豊, 朝倉 守, 池田 善光, 中島 茂
    1995 年 64 巻 3 号 p. 273-274
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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