カイコガの雄性生殖器官の粗抽出液では, グリコーゲンホスホリラーゼは, 低分子物質の除去によって, 初めてAMPで活性化された。ホスホリラーゼ活性は, 精巣, 精管, 精管膨大部で検出された。精液の構成成分を分泌する雄性生殖輸管では, 乳白腺と貯精嚢に見出された。乳白腺, および貯精嚢のホスホリラーゼ活性, 並びに比活性は, いずれも射精後低下した。
a型酵素は, これら2つの腺の分泌液の全ホスホリラーゼ活性の約80%を占めるが, 腺の細胞では極めて低い。精包のホスホリラーゼ活性は, 時間的経過に際しても, 常に一定のレベルを維持した。このことは, グリコーゲン分解の最初の酵素が, 精子を除く無細胞系で作用することを示し, 精包における, 細胞外解糖の存在を示唆する。
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