クワ品種287種を用いて, 不定芽形成能力の高い品種のスクリーニングを行った。すなわち, 冬芽内の未熟葉を外植片とし, BA4.4μMを含むMS培地に40日間培養して不定芽及びシュート形成率を調べるとともに, シュートをIAA1.1μMを含むMS培地に移植し, 30日後に発根率を調査した。その結果, 供試した287品種のうち, 121品種 (42%) で不定芽が形成された。そのうち, 83品種 (29%) がシュートを展開し, 発根に至ったものは55品種で, 全体の19%であった。このように, 不定芽形成率や個体再生率は品種による差異が大きかったが, 葉片からの不定芽形成能力や個体再生能力の高い2, 3の品種を選抜することができた。特に, カナダ産桑Aは高い不定芽形成率 (72%) を示し, おおゆたかは葉片当たり不定芽形成数が最も多く, シュート形成率も高かった。また, 発生したシュートを切除し, 再度その外植片を再培養する refreshing culture を2週間毎に行っても, 連続的にシュートが再生したことから, この不定芽誘導系はクワの
in vitro 大量増殖法としても適していることが分かった。
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