施肥量を異にする桑葉で育てたカイコの,外部からの異物に対する感受性の差異を明らかにするために,カイコに腫瘍を起させるフロキシンを接種し,その影響を比較した。施肥桑葉で飼育したカイコのLC
50でみたフロキシン感受性は無施肥栽培クワで育てたそれより約10倍高かった。窒素施用量を異にする桑葉間では,95%信頼区間のLT
50でフロキシンに対する感受性に有意な差があることが認められ,LT
50は無施肥区>無N区>N0.5倍区≒標準区の順となった。窒素施用量の増加によって増加したアミノ酸成分は,Asp,Gln,Thr,His,Pro,Gly,Alaであった。フロキシン感受性と負の有意な相関が認められたアミノ酸成分はMetと必須アミノ酸の全アミノ酸に対する割合であり,これらは施肥量の減少とともに増加した。一方,フロキシン感受性と正の有意な相関を示したアミノ酸成分はAspとGABAであり,これらは施肥量の増大とともに増加した。以上よりクワへの窒素施用量の増加は,カイコの異物に対する感受性を増加させ,そしてそれにはアミノ酸組成の違いが関与している可能性が示唆された。
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