メタノール-水系で処理した絹フィブロインフィルムの熱的特性について動的粘弾性と示差熱分析とを行った. メタノールだけで処理した場合, 1分間以内では, 160~210℃に非晶領域のmicro-Brownian motionに基づくα
aが現れ, 210℃に絹フィブロィンの結晶化に由来する
E′の上昇が現れた. DTA曲線において190℃にガラス転移点 (
Tg) が, 215℃に結晶化温度が現れた. 30分間以上の処理では, α
aの分散とガラス転移点 (
Tg) および結晶化温度が現れなくなりβ化していることが分かった. 中濃度処理 (40~80%MeOH) の場合, 1分間以上の処理ではβ型の絹フィブロインと同じ動的粘弾性を示した. DTA曲線において, 絹フィブロインフィルムの分解温度は処理時間が長くなるとともに高温側に移行した. 低温度処理 (20%MeOH) の場合に, 1時間以上の処理では, ガラス転移点 (
Tg), 分散 (α
a) は観察されず, β型に転移していることが分かった. またDTA曲線において288と295℃に分解温度が現れた.
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