高分子論文集
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31 巻, 6 号
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  • 井手 文雄, 児玉 恒雄, 浅井 肇
    1974 年 31 巻 6 号 p. 349-355
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    フェノールホルムアルデヒド樹脂より成る繊維の紡糸性および繊維性能を向上させる目的でノボラック樹脂とナイロンを混合し, 新しい耐炎性繊維の合成を検討した。ノボラック樹脂とナイロンは相溶性が大きく均一に溶融混合することができた。この混合物はノボラック樹脂単独に比べて紡糸性が向上し, 紡糸時糸切れは少なく, 繊度むらが小さくなるとともに得られた未橋かけ繊維の強力はナイロン混合率とともに増大した。
    ナイロン混合率0~30%の未橋かけ繊維をホルムアルデヒドで橋かけすることにより, 耐炎性繊維が得られた。この橋かけ反応に要する時間はナイロン混合により大幅に短縮されたが, ナイロンの一部が反応中加水分解することが認められた。しかし, 得られた橋かけ繊維の繊維特性はナイロン混合率が増加するに従って伸度が向上するとともに, 白度が著しく増大し, 染色もある条件下で可能となった。さらにナイロン混合率が増大すると耐炎性は若干低下する傾向にあったが, ナイロンを20%混合した繊維はかなりの耐炎性を示した。
  • 香西 保明, 池田 能幸, 小南 実
    1974 年 31 巻 6 号 p. 356-360
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2,4-トリレンジイソシアナート (2,4-TDI) および2,6-ジイソシアナートカプロン酸メチル (LDI) とモノメチロールアセトンを無触媒下で反応させ, 反応に及ぼす [NCO] および [OH] の依存性, 反応温度および溶媒の影響について検討した。その結果, トルエン中での反応速度は [NCO] に依存しないが [OH] に大きく依存し, しかも反応温度が高いほど大きくなることが認められた。また, 反応の見かけの活性化エネルギーは2,4-TDIの場合6.47kcal/mol, LDIの場合14.45kcal/molであった。溶媒の影響では2,4-TDI, LDIとも極性の大きい溶媒中ほど反応速度も大きく, しかも反応性は2,4-TDI>LDIであった。
  • 山口 格, 長井 勝利, 小野 尭之
    1974 年 31 巻 6 号 p. 361-366
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    シクロオレフィン類, 特に5から8員環の1, 3-ジエン類の二酸化イオウ (SO2) および無水マレイン酸 (MAn) との共重合および付加反応についてのこれまで得られた結果をもとに, それらの反応性および反応機構をシクロオレフィン類の物理化学的な性質と関連させて考察した。これらのシクロ-1,3-ジエン類でのSO2およびMAnとの反応でみられる環状付加反応と交互共重合はそれぞれ両反応物間で形成する電荷移動錯体におけるno-bond構造の錯体およびイオンラジカル構造の錯体を中間体として経由するものと推定した。
    さらにシクロオレフィン類とSO2との共重合におけるアルコール, DMFおよび酸素存在下でのピリジンなどの弱塩基性物質の添加による開始ラジカルの生成および液体SO2中でのシクロオレフィン類存在下でのスチレンのカチオン重合の開始などについても, シクロオレフィン類のラジカルカチオン中間体を考察することによって説明した。
  • 佐枝 繁
    1974 年 31 巻 6 号 p. 367-372
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    直鎖ポリエチレンを対象とした大型カラム分別装置を試作した。カラム本体は直径10cm, 長さ2mのステンレススチール製で内部にチャンネリングを防ぐための邪魔板を持っている。分別は125℃で, キシレンおよびブチルセロソルブの溶媒系を用い, 溶媒はカラムの下から上へ流した。2.55cm/minの速い流速を用いることにより, この装置で250gの試料を分別効率良くしかも比較的短時間 (約15時間) に分別することが可能であった。得られた区分の分子量分布の指数Mv/Mnは1.3以下であった。ここでMvMnはそれぞれ粘度平均および数平均分子量を示す。これらの値は小型の分析的カラム分別の区分の値と同じ範囲にあった。大型カラム分別の良好な分別効率は溶媒の流速が速かったためと考えられる。
  • 中村 賢市郎, 本多 健一
    1974 年 31 巻 6 号 p. 373-376
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリスチレンにキノン系芳香族化合物を添加すると光分解性プラスチックが得られた。この光分解を促進する増感剤を主に赤外線スペクトルやポリスチレンフィルムの光照射による強度変化から研究した。キノン系増感剤としては種々の置換基を有するアントラキノン, ナフトキノンを使用した。これらキノン系化合物における置換基がメチル基やハロゲン基の場合, 光分解速度は無置換のときよりも増大し, アミノ基や水酸基の場合, 逆に減少することが明らかになった。光照射により増感剤も分解されるがそれとともに生成するケトン化合物がさらにポリスチレンを分解するため, 増感剤が光照射により消失しても分解反応は進行する。ポリスチレンにケトン化合物を増感剤として添加した場合, 光酸化分解によりポリスチレンが分解されていくことが分かった。
  • 大塚 保治, 川口 春馬
    1974 年 31 巻 6 号 p. 377-382
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    オキシエチレン付加モル数 (n) の異なるポリオキシエチレンオクチルフェノール (E) と第二セリウムイオン (Ce4+) によるレドックス開始系スチレン乳化重合において, 重合初期の現象は均一系の場合と類似している。ただし均一系の場合と異なり本系の重合初速度は (n-7) に比例する。生成するラテックス粒子数は, 重合初速度とEの占有面積との積に比例する。定常状態において, 先に提案したτa, τbモデルが適用できることを確かめ, nの増加とともに, ラジカル生成速度が増加し, 停止能を有するCe4+のラテックス粒子中への進入が妨げられるとして, τa, τbをそれぞれ (n-10) -1, (n-10) の関数として表し, 実験結果を説明した。この重合挙動のn依存性は, ラジカル生成の場である粒子表面の乳化剤吸着層の状態がnとともに著しく変化するためと考えられる。
  • 奥居 徳昌, 河合 徹, 栗山 将
    1974 年 31 巻 6 号 p. 383-390
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    折り畳み型結晶化に及ぼす分子鎖の可とう性や運動性の影響を, γ線照射により分子量を変化させたポリクロロトリフルオロエチレン (PClTFE) とポリテトラフルオロエチレン (PTFE) について, 主にDSCと電子顕微鏡により研究した。試料は重合結晶化した原試料と, この原試料を種々の照射量で分解したものと, さらにこれを融液から結晶化したものを用いた。
    かなり可とう性の低いPClTFEは, 重合結晶化において結晶性の悪い束状晶が生成し, これを一度融解し, 再結晶化すると, extended chain crystal (ECC) を与える低分子量以外の試料では折り畳み型結晶が生成する。さらに可とう性の低いPTFEでは, 重合結晶化において, 結晶化度がかなり高いほとんどECCに近い結晶を与えるが, これを融解再結晶化すると, ECCを生成する低分子量以外の分子量範囲で, 分子鎖方向にかなり長く生長した束状晶が生成する。
    融液からの結晶化において, 分子量を低下させていくと, PClTFEでは折り畳み型結晶からECCへ転移する臨界分子量領域が, PTFEでは束状晶からECCへ転移する臨界分子量領域が存在すると思われる。
  • 野平 博之, 谷口 守正, 斎藤 洋一
    1974 年 31 巻 6 号 p. 391-394
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アルキレンビスジフェニルホスフィンとα, α′-ジブロムキシレン, あるいはα, α′-ジブロムアルカンの反応により標記化合物を合成した。これらのポリマーは比較的高い軟化点をもち, メタノール, エタノール, あるいはm-クレゾールに溶ける。ポリマー希薄溶液の粘度は典型的なイオン性ポリマーの挙動を示す。また, この中で, p-キシリレン骨格をもつポリマーはアルカリ水溶液中で加熱すると, アルキレンビスジフェニルポスフィンオキシドとp-キシレンに分解する。
  • 住友 宏, 小林 一清, 安井 清, 斎藤 直樹
    1974 年 31 巻 6 号 p. 395-400
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    β-メトキシプロピオンアルデヒド (MPA) および4,7-ジオキサオクタナール (DOA) の低温イオン重合によリエーテル基を側鎖に有するポリオキシメチレン誘導体を合成した。MPAから合成した高結晶性ポリマーは既報の極性置換ポリオキシメチレンの中では最も結晶性が高く, しかも重合条件によって2種類の異なるX線回折パターンを示した。繊維周期は4.48Åであった。MPAの環状3量体は置換基のコンフィギュレーションが異なる2種の異性体から成ることを明らかにした。一方, DOAから得られたポリマーは解重合しやすかった。またMPAおよびDOAとトリメチルアルミニウムとの1: 1および1: 2反応を行い極性置換基とAl原子との相互作用について検討した。
  • 瀬尾 利弘, 加倉井 敏夫, 野口 達弥
    1974 年 31 巻 6 号 p. 401-405
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    m-およびp-シアノフェニルジシアンジアミドの重付加反応によリポリグアナミンの合成を試みた。ジメチルスルホキシド中でm-シアノフェニルジシアンジアミドより還元粘度0.10dl/g, p-シアノフェニルジシアンジアミドより0.23dl/gのアセトン不溶重合物が得られた。モデル物質との比較よりこれらは重合度5~10の重合物と考えられ, 強酸および非プロトン性溶媒に可溶で, 融点は300℃以上, 600℃付近で分解した。
    また, ニトリルとジシアンジアミドの反応に対する置換基の影響について調べた。
  • 林田 建世, 加藤 順一
    1974 年 31 巻 6 号 p. 406-410
    発行日: 1974/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    円錐-円板型スクリュレス押出し装置において, 円錐周縁の融体圧を等方性に保持できるように構造を改め, この等方性圧およびワイセンベルク圧の半径方向分布をストレーンゲージ式圧力計で測定することによって, 低密度ポリエチレンおよびポリプロピレンに対して, ワイセンベルクの等価性を仮定せずに, 第1種および第2種法線応力差を求めた。低密度ポリエチレンに対する第1種法線応力差の値は同種の試料に対する文献値ともほぼ一致した。第2種法線応力差の値は両試料の場合とも負となり, その絶対値と第1種法線応力差の値との比は0.07~0.10の範囲の値となったが, この結果は流動複屈折法を用いた最近の文献値とも一致する。
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