前報において, メチルセルロース (MC: CH
3O-基の置換度が約30%) 水溶液の低臨界溶解温度 (LCST) を決定し, 熱力学量であるエントロピーパラメータψ
1, エンタルピーパラメータκ
1はともに正の値を得た。
本報では, セルロースのHO-基が疎水基としてCH
30-基, 親水基としてHO (CH
2)
3O-基で置換されたセルロース誘導体 (HG) の水溶液について, それらの置換基の効果を改良した示差熱分析装置を用いて研究した。その結果, これらのセルロース誘導体水溶液においてもLCSTが存在し, 熱力学量のψ
1, κ
1はともに負の値が得られた。前報で求めたMC水溶液の正の熱力学量と本報での負の熱力学量の相違は, 親水基としてのHO (CH
2)
3O-基の置換の度合が増加することにより, CH
3O-基による疎水結合がくずれ, 水との親和性が増加するものと考えられる。
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