高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
31 巻, 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 児玉 峯一
    1974 年 31 巻 7 号 p. 415-419
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無配向のガラスおよび炭素の短繊維で強化した複合体の力学分散に及ぼす繊維長, 繊維含有量, マトリックス樹脂の種類の違いの効果を調べた。ガラス繊維で強化した場合, 繊維長0.05mmのものではマトリックス樹脂の主分散に相当する分散 (α分散) だけが見られるが, 繊維長3,10mmのものではこの分散より高温域に新たな分散 (α′分散) が生じる。3mmの炭素繊維で強化した場合にはα′分散は生じない。繊維含有量が増すとα′分散は強度を増す。マトリックス樹脂の種類が変わってもα′分散は生じる。このα′分散の直接的な機構としては, 繊維間の摩擦やすべりが考えられる。その場合にもα′分散は繊維-マトリックス樹脂間相互作用が強い場合により顕著に現れる。
  • 荘司 菊雄, 竹田 政民
    1974 年 31 巻 7 号 p. 420-426
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ラフィーを測定し, カラム効率のよい操作条件を検索した。さらに活量係数を求めポリマーと溶質間における相互作用を検討した。比保持容量の温度変化の実験から, カラム温度約60℃で分子量の大きなポリエチレングリコール (PEG) の一次転移点が観測された。モル分率活量係数はPEGの分子量に大きく依存するが, 重量分率活量係数は分子量1,160以上で一定の値を示す傾向が認められた。容積分率活量係数からFloryの自由エネルギーパラメータχ1を求めた。またχ1の温度変化からχH1SH) を算出し, 一方, Hildebrandeの方法を用いてXHをポリマーと溶媒の溶解度パラメータから計算し実測値と比較検討した。
  • 十時 稔, 川口 達郎
    1974 年 31 巻 7 号 p. 427-433
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    さきに報告した, ナイロン6のreorganizationを防いだ融解挙動の測定法の妥当性を検討し, これがきわめて有効な方法であることを確認した。さらに, 今までは推測の域を脱しなかった既存の結晶の熱処理挙動と熱処理に伴う諸物性の変化との関係を明らかにした。 (1) 5倍延伸糸を, その結晶の真の融点より低い温度に急激にさらしたときは既存の結晶の完全化が起き, 高い温度に急激にさらしたときは (部分) 融解-再結晶化が起きる。 (2) 既存の結晶の完全化によって糸は緩慢に収縮し, 糸の強力の低下は小さい。 (部分) 融解によって急激に収縮し, 強力の大幅な低下が見られる。
  • 向井 淳二
    1974 年 31 巻 7 号 p. 434-439
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無水マレイン酸, アジピン酸, プロピレングリコール, エチレングリコール・スチレン系の不飽和ポリエステル樹脂で, 不飽和酸量とスチレン量を変化させた多種類の組成物を合成した。このものを165℃の空気中で劣化させ, その重量減少率を測定した。また一部の組成について電気的性質の変化を追跡した。そして各組成の重量減少率は, 橋かけ点1個当たりに直鎖状に結合している炭素, 酸素原子の和 (Ef) とスチレンの数 (Ff) の関数として示せること, また重量減少率の小さい組成は電気的性質の劣化も少ないことなどを明らかにした。
  • 向井 淳二
    1974 年 31 巻 7 号 p. 440-445
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    芳香族環, シクロヘキサン環, トリメチロールプロパンなどを導入した不飽和ポリエステルをスチレンで橋かけ硬化させた樹脂を165℃の空気中で劣化させ, その重量減少率を, また一部のものについて電気特性の変化を測定した。そして, 芳香族環, シクロヘキサン環, トリメチロールプロパンの導入は重量減少率を小さくする効果があること, また芳香族環, シクロヘキサン環について補正係数を設定すれば, 重量減少率を橋かけ点1個当たりに結合している炭素, 酸素原子の数の関数として表すことができる, などを明らかにした。
  • 馬場 義博, 影本 彰弘
    1974 年 31 巻 7 号 p. 446-449
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    前報において, メチルセルロース (MC: CH3O-基の置換度が約30%) 水溶液の低臨界溶解温度 (LCST) を決定し, 熱力学量であるエントロピーパラメータψ1, エンタルピーパラメータκ1はともに正の値を得た。
    本報では, セルロースのHO-基が疎水基としてCH30-基, 親水基としてHO (CH2) 3O-基で置換されたセルロース誘導体 (HG) の水溶液について, それらの置換基の効果を改良した示差熱分析装置を用いて研究した。その結果, これらのセルロース誘導体水溶液においてもLCSTが存在し, 熱力学量のψ1, κ1はともに負の値が得られた。前報で求めたMC水溶液の正の熱力学量と本報での負の熱力学量の相違は, 親水基としてのHO (CH2) 3O-基の置換の度合が増加することにより, CH3O-基による疎水結合がくずれ, 水との親和性が増加するものと考えられる。
  • 田中 誉郎, 藤本 隆光, 柴山 恭一
    1974 年 31 巻 7 号 p. 450-455
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    赤外分析, 熱機械分析, 力学的性質, および溶解性の研究により化学構造の類似した3種類の可溶性耐熱性高分子の高温熱処理過程における化学的構造および物理的性質の非可逆的変化およびそれに及ぼす鎖構成単位の影響について調べた。300℃窒素中および空気中で熱処理すると, Tgが上昇し溶剤に不溶化する。窒素中処理において耐溶剤性およびTgが増加する以外, 構造および物理的性質はほとんど変わらず, 熱橋かけの形成が考えられる。したがって窒素中処理は実用上有益である。空気中処理により大規模な構造変化が見られ, 酸化橋かけが起こっていると結論される。鎖構成単位は熱安定性に大きい影響を及ぼすことが分かった。空気中熱処理試料の構造変化による衝撃強度の低下は, 試料中の不均一性の増加によって説明される。
  • 馬越 淳
    1974 年 31 巻 7 号 p. 456-462
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    二つの分子形態の異なった絹フィブロインフィルム (random coil型とβ型) の誘電的な性質を-100~250℃の温度範囲で測定した。空気中測定で, 0.3kHzの場合, -40℃付近にβ吸収があり, 水とのcoupled local modeと考えられ, その活性化ユネルギーは, β型絹フィブロインにおいて16.3kcal/molであった。真空中測定で試料を100℃で熱処理した場合, β吸収は高温側に移行し, random coil型フィブロインの吸収が10℃付近であり, β型は15℃付近にあった。このβ吸収の活性化エネルギーはrandom coil型で17.6kcal/mol, β型で18.3kcal/molであった。真空中で絹フィブロインフィルムを100℃で熱処理した試料において, 新しく-80℃付近にγ吸収が観察され, その活性化エネルギーは9.7kcal/molであった。
  • 馬越 淳
    1974 年 31 巻 7 号 p. 463-464
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Random coil絹フィブロインフィルムを乾熱および湿熱処理を行って, 絹フィブロインの分子形態の変化を赤外吸収スペクトルで観察した。乾熱処理1分間の場合には40~180℃まではrandom coilであったが, 190℃以上の処理ではβ型に転移した。30分処理の場合には, 150~170℃にrandom coil-β型転移が現れた。湿熱処理の場合, 100~130℃までの処理では, すべてrandom coil-α型とrandom coil-β型転移が生じた。
feedback
Top