高分子論文集
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32 巻, 9 号
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  • 藤村 敏一, 坪田 実
    1975 年 32 巻 9 号 p. 511-517
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    延伸ポリスチレンフィルムの超音波接着の難点を解決するため, 基材間に挾んだ波形材と作業条件の融解量とはく離強度への影響を検討し, 加工機構を考察した. 1) 融解量は波形材を入れると急増し, 接触点密度増に相応した. 厚い方が全融解量は多いが基材の融解部分は少なかった。融解量は予熱の影響が大で, ホーン加圧と作業時間を増すと, ある範囲内で増加する. 2) はく離強度は最初融解量に応じ増すが, 極大強度以後, 過度の基材融解による基材破壊が認められた. 3) 融解熱より算出したエネルギー消費は, 最大供給可能限界の小部分にすぎなかった. 初期では発生熱が界面摩擦仕事にほぼ相当するが, 末期では界面温度上昇が, 超音波の直接吸収を強めるらしい. 4) 薄い基材も波形フィルムを挾むと接着強度の高い溶接が行われ, 表面平滑が保たれた
  • 深沢 康俊, 和田 英一
    1975 年 32 巻 9 号 p. 518-521
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    フェニル核を持つジエポキサイド (Epon 828) とフェニル核を持たないジエポキサイド (DER 736) を各種の分率で混合し, トリエチレンテトラミンで硬化したエポキシ樹脂の動的弾性率 (E′) および動的損失 (E″) の温度分散を測定した. 温度範囲は約-170から+70℃付近まで, 測定周波数は1,3,10,30Hzである. これらのエポキシ硬化物の中でβ分散の現れる温度範囲 (約-50℃付近) で他の分散が現れない硬化物すなわちEpon 828のみから成るエポキシ硬化物では, そのβ分散は早川, 和田の局所モード緩和の理論で説明できることが判明した.
  • 松本 恒隆, 大久保 政芳, 尾上 勧
    1975 年 32 巻 9 号 p. 522-529
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    過硫酸カリウム (KPS) を開始剤として作製した無乳化剤ポリアクリル酸エチル (PEA) エマルジョンの機械的安定性 (MS) および凍結安定性 (FS) について検討し, 次の諸結果を得た. 1) KPSの分解切片で, ポリマー末端基である-SO4-表面電解基の増加により, MSは向上する傾向を示したが, 十分ではなかった. 2) 約2mol%のアクリル酸 (AA) を乳化共重合し, かつアンモニアでカルボキシル基を解離させることにより, MSは良好になった. しかし, 未共重合の場合に比較して耐水性は低下した. 3) KPSの分解副生成物である硫酸により重合中および室温放置中に加水分解反応が生起し, その結果生成したごく微量 (約0.13mol%) のカルボキシル基を解離させることによりMSは十分良好になった. しかも, その程度のカルボキシル基の生成により耐水性は低下しなかった. 4) FSについても, 共重合法でカルボキシル基を導入するよりも加水分解反応で導入した方が少量で十分良好になった.
  • 西崎 俊一郎, 江藤 昌平
    1975 年 32 巻 9 号 p. 530-536
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    キナゾロン環を主鎖にもつポリマーの合成を, 6,6′-メチレンビス (2-メチルー3Hキナゾリン-4-オン) IIの活性水素と芳香族イソシアナート, 芳香族ビス (クロルメチル) 化合物との反応により試みた. IIは, 6,6′-メチレンビス (2-メチルベンゾオキサジン-4-オン) とアンモニアの反応を100℃加圧下に行い収量よく得た. ポリマーの生成を, それぞれモデル化合物, IR, 元素分析より確認したが, いずれもηinhは0.1~0.3の範囲であった. IIとクロルメチル化物よりのポリマーは, 溶液からフィルムがキャストできた. TG, DTAの結果から, 空気中400℃以上で急激に分解し, 熱酸化を受けやすい. また, N-フェニル置換ポリキナゾロンにくらべて熱安定性のやや低いことを明らかにした.
  • 上出 健二, 今中 明子
    1975 年 32 巻 9 号 p. 537-544
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ナイロン6分別区分 (数平均分子量Mn=830~43200) の融液からの等温結晶化現象を示差走査熱量法によって解析した. Avrami式θ=exp (-ktn) (θ=未結晶化分率, k=速度定数, t=結晶化時間) のベキ係数nは結晶化の進行につれて6から1へ急激に減少する. これは分別結晶化によるのではなく, 結晶化機構の変化に原因する. nは結晶化温度Tcが高いほど, Mnが大きいほど大きくなる傾向がある. Mnが大きくなると結晶化速度は小さくなる. これは分子鎖の拡散の活性化エネルギーが過冷却度よりもより支配的であるとして説明される. 等温結晶化過程で生成した結晶の融解曲線は一次結晶化終了時には場合により3山ピーク (低温より, Tm2 (1) , Tm2 (2) , Tm2 (3) と名付ける) を示す. 高温側のTm2 (3) ピークはTm2 (2) ピークが昇温過程において再配置したものの融解に対応する. Tm2 (2) ピークは主ピークでラメラ結晶の融解に対応する. 低温側のTm2 (1) ピークは結晶化後期に発生し, Tcよりも常に数℃高い. Tm2 (2) ピーク→Tm2 (3) ピークへの転移は分子量が小さく, Tcが低いほど起こりやすい.
  • 小川 利彦, 井高 英一, 奥田 美喜男
    1975 年 32 巻 9 号 p. 545-550
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    かき混ぜ系における界面重縮合の速度は, その機構に基づくことなく. しばしば2次反応速度式で表される. そこで, n-ヘキサン相にテレフタル酸クロリド, 水相にC.I. Direct Violet 12を用いた反応系について, テレフタル酸クロリドの消費速度を測定し, また生成した重合体粒子の分布を解析することにより, 速度式を検討した. 反応は懸濁した水の球状粒子の界面に近接する有機相中で起こった. それらにより本反応は, C.I. Direct Violet 12の拡散が律速段階となり, また次の速度式の成立することが知られた.
    Kt=V1/Slna/a- (V2/V1) x
    k, 速度定数; t, 反応時間; V1, 水相容積; V2, 有機相容積; a, 水相におけるC.I. Direct Violet 12の初濃度 (mol/l); x, 有機相におけるC.I. Direct Violet 12の反応量 (mol/l).
  • 黒田 純子, 塩田 哲也, 真継 朝行, 岡村 誠三
    1975 年 32 巻 9 号 p. 551-556
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルを幹ポリマーとして, アクリル酸エチル (EA), 酢酸ビニル (VAc), スチレン (St) などをラジカルグラフト重合させたPVCグラフト重合物の空気中における比較的低温での熱安定性について, 熱重量測定, 紫外線 (UV) 吸収スペクトル法, および反射分光光度法を用いて検討した. グラフト重合物の熱安定性はグラフト率30~200%の範囲では, グラフト率よりもむしろ枝ポリマーの種類によって決まるようである. 熱重量測定による分解開始温度付近の比較的低温における脱HCl分解に対する安定性の順序は枝ポリマーがEA≈アクリル酸n-ブチル (n-BuA) >VAc≥Stのそれぞれのポリマーであり, この順列は可視部の反射分光光度法により測定された熱着色安定性の順とも一致している. またUV吸収スペクトル法によって調べたところ, ジエンまたはトリエン型の吸収に相当する260~270nm当たりに比較的大きな吸収がPVCでは認められるが, VAcのグラフト重合物 (PVC-g-VAc) では吸収が減少し, EAのグラフト重合物 (PVC-g-EA) では吸収はほとんど認められなかった. 枝ポリマーのガラス転移点の低いものほど, また, モノマーのラジカル反応性の高いものほど, 幹PVC分子に存在する二重結合を減少させ熱安定性を増大させることが分かった.
  • 荒木 綱男, 照沼 大陽, 野平 博之, 磯村 広光, 中村 隆夫, 岡安 公一
    1975 年 32 巻 9 号 p. 557-560
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    1,1,3-トリメチル-1-シラシクロペンテン-3をハイドロボレーション後, ヒドロキシルアミン-o-スルホン酸を用いてアミノ化して, 1,1,3-トリメチル-4-アミノ-1-シラシクロペンタン (I) を得た. Iに酒石酸を作用させて塩とし, 分別結晶して光学活性のアミンIを得た. 光学活性アミンのメタクリル誘導体を重合させたところ光学活性なポリマーが得られた. Iのラセミ体のメタクリル誘導体 (M1) とアクリル酸メチル (M2) の共重合を行い反応性比を求めたところr1=1.38, r2=0.28を得た. この値からAlfrey-PriceのQ, e値を求めるとQ=0.83, e=-0.38であった.
  • 荘司 菊雄, 弥吉 正数, 竹田 政民
    1975 年 32 巻 9 号 p. 561-565
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    比較的分子量の大きなポリエチレングリコール (PEG) を固定相としてガスクロマトグラフィー (GC) の測定を行うと, カラム温度約60℃で溶質分子の比保持容量が急に増加する現象が認められる. 差動熱量計およびディラトメトリーの結果, この変化はPEGの溶融に起因するものであることが確認された. GCの結果から結晶化度を求め, ディラトメトリーから求めた結晶化度と比較したところ両方法から求めた値はよく一致した. 次に溶融状態からカラム温度を徐冷しながらGCを測定すると, 過冷却状態を経て凝固が始まることが分かった. また凝固開始温度は分子量が増すにつれ低温側にずれることが分かった. この過冷却状態はポリマーと担体表面との相互作用に起因するものと思われる.
  • 西崎 俊一郎, 森脇 紀元
    1975 年 32 巻 9 号 p. 566-568
    発行日: 1975/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリイミドの新しい合成法として, N, N′-ジスルフィニルジアミンとピロメリット酸ジ無水物より合成することを試みた. 4, 4′-ジアミノジフェニルメタンと塩化チオニルとの反応により, N, N′-ジスルフィニル-4,4′-ジアミノジフェニルメタンを得て, PMDAとの溶液 (ニトロベンゼン) 重合を行った. 無触媒ではポリイミドの生成はみられないが, 第3級アミンの存在下ではポリイミドが生成することが分かった. モデル化合物N-フェニルフタルイミド, ポリイミドの生成をIR, 元素分析より確認した.
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