放射線によるシンジオ-1,2-ポリブタジエンの連鎖的環化橋かけ反応において, ゲル生成, ビニル基減少および融点低下に及ぼす空気, 特に酸素, ならびに一般的な酸化防止剤としての2,6-ジ
tert-ブチル-
p-クレゾール (BHT) の影響を検討した. 酸素はゲルの生成を抑制するとともに酸化をもたらした. ゲル生成の抑制と酸化の程度は, 試料が厚くなればまたγ線よりも電子線を用いれば小さいが, 逆の場合には大きかった. 一方, 酸化が著しい場合ビニル基の減少速度は真空中照射に比べて大きくなった. また, BHTによりゲル生成およびビニル基の減少はいずれも抑制され, 橋かけの
G値はBHT添加量とともに低下した. さらに, 酸化反応が顕著でなければ, 融点の低下はゲル分率のみによって決まることが分かった. これらの結果に基づいて, 酸素およびBHTの作用機構を考察した.
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