ポリアクリル酸 (I), ポリメタクリル酸 (II), および, その単量体類似酸とみなされるプロビオン酸 (III) およびイソ酪酸 (IV) のNaOHとの中和点付近における中和熱 (Δ
Hn) を, 21℃, 双方の濃度0.1
Mで, 成分比を変えて直接測定した. その結果, (1) 酸性域でのIIのΔ
Hnの特徴的な挙動, (2) ポリカルボン酸のΔ
Hn最大値のアルカリ側での存在, および, (3) ポリカルボン酸とその単量体類似酸との間のかなり大きなΔ
Hn差, が認められ, 考察した. これら四つの酸の各Δ
Hnの最大値 (中和熱値) は, それぞれ, III: -13.7, I: -5.8, IV: -13.8, II: -10.1kcal・mol
-1であった. ポリカルボン酸の場合には, 見掛け上のイオン化熱とイオン化エントロビーは単量体類似酸の場合よりも著しく増大し, IはIIに比しその増加の大きい結果が得られた.
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