高分子論文集
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34 巻, 12 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 清造 剛, 三浦 康道, 河守 章一
    1977 年 34 巻 12 号 p. 821-827
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    9種の溶媒を用いて, 界面共重縮合法により, ナイロン610-6Tおよびナイロン66-6Tのそれぞれ60: 40mol%の共重合体を合成した. 得られた共重合体は, 溶媒の種類に依存して種々のオーダーのブロック構造を有していることが, 示差熱分析の結果から推定された. 四塩化炭素およびクロロホルムを用いて重合した共重合体, ならびに同じ組成のランダム共重合体およびボリマーブレンドについて, ジクロロ酢酸からキャストしてフィルム試料を調製した. フィルム試料の示差熟分析およびX線分析の結果, 共重合体のブロック連鎖長は四塩化炭素系では長く, クロロホルム系では短いこと, ならびにナイロン66-6T共重合体はisomorphismを起こしていることが推定された. フィルム試料の動的粘弾性を測定した結果, ナイロン66-6Tの四塩化炭素系共重合体は, E″MAX温度とE′が高く, ブロック連鎖長およびisomorphismの重要性が示唆された.
  • 馬場 義博, 影本 彰弘, 田中 弘富, 松村 勇一
    1977 年 34 巻 12 号 p. 829-832
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ラットの皮膚より抽出したα, βの成分比の異なるコラーゲン (α/β=3.6と0.45) のヘリックス-コイル転移熱 (ΔHd) を示差走査熱量計で測定した. α/β=0.45 (酸可溶性コラーゲン, C-C) でのΔHdはその比が3.6 (塩可溶性コラーゲン, S-C) のものより約2~2.5倍大きい. また, pH3~5の範囲で, S-CのΔHd (12J/g) はpHの増加ととに, 約3 J/gの増加を示すが, C-CのΔHdはpHに依存せず, 約30kJ/gを示す. 成分比の相違によるΔHdの違いはヘリックス含量の違いによると考えられる.
  • 加門 隆
    1977 年 34 巻 12 号 p. 833-841
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々のエポキシ樹脂プレポリマーを代表的な硬化剤であるジアミノジフェニルメタンと無水メチルヘキサヒドロフタル酸で硬化し, その硬化物の分子構造と動的粘弾性との関係を検討した. ゴム状領域の動的ヤング率 (E′) とゴム状態式のフロントファクターはDGEHQ>DGEBA>DGER>DGEPAの順が認められ, 硬化樹脂の橋かけ密度, フェニル基の量, 特に橋かけ点間の対称性が増加すると大きくなる. ガラス転移温度 (Tg) はDCHO>TGEAP>DGEBA>DGEHQ>DGEEGの順となり, 橋かけ密度, 極性が増すと高くなるが, 特にフェニル基の含量の増加により高くなる. ガラス領域でのE′とエポキシ樹脂の構造との関係は明らかではないが, 硬化樹脂のTgが高くなると小さくなる傾向であった, 機械的性質として曲げ強さと最大ひずみ量についても検討した.
  • 細野 正夫, 杉井 新治, 辻 和一郎
    1977 年 34 巻 12 号 p. 843-850
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々の方法でカルボキシメチル化PVA (I) とアミノアセタール化PVA (II) との高分子電解質複合体を作成し, それらの熱処理による構造変化を赤外吸収スペクトル法により調べた. IおよびIIのNaOHまたはHCl水溶液から作られた皮膜はそれら二つの成分の単なる混合物であるが, メタノール洗浄するとイオン的に結合した複合体皮膜となる. イオン結合している複合体を熱処理すると, そのイオン結合はアミド結合に転化する (〓NH3+: -OOC〓→〓NH-CO〓+H2O). なお, この反応は120℃以下では起こらない. NaOH水溶液から作成したメタノール未洗浄の皮膜では, 熱処理を行うとNH2による水素結合が生成するけれどもアミド結合は生成しない. これに対し, HCl水溶液から作成したメタノール未洗浄の皮膜は熱処理によりアミド結合を形成する. これは熱処理によりHClが除去され, 同時にイオン結合が形成されたことによるものである.
  • 森本 敏
    1977 年 34 巻 12 号 p. 851-855
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリアクリル酸 (I), ポリメタクリル酸 (II), および, その単量体類似酸とみなされるプロビオン酸 (III) およびイソ酪酸 (IV) のNaOHとの中和点付近における中和熱 (ΔHn) を, 21℃, 双方の濃度0.1Mで, 成分比を変えて直接測定した. その結果, (1) 酸性域でのIIのΔHnの特徴的な挙動, (2) ポリカルボン酸のΔHn最大値のアルカリ側での存在, および, (3) ポリカルボン酸とその単量体類似酸との間のかなり大きなΔHn差, が認められ, 考察した. これら四つの酸の各ΔHnの最大値 (中和熱値) は, それぞれ, III: -13.7, I: -5.8, IV: -13.8, II: -10.1kcal・mol-1であった. ポリカルボン酸の場合には, 見掛け上のイオン化熱とイオン化エントロビーは単量体類似酸の場合よりも著しく増大し, IはIIに比しその増加の大きい結果が得られた.
  • 高瀬 巌, 谷口 正, 相田 博
    1977 年 34 巻 12 号 p. 857-865
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    8種のN-置換イソマレイミド (RIMI) のラジカル開始剤による単独重合ならびにスチレン (St), アクリル酸メチル (MA) および酢酸ビニル (VAc) との共重合を行い, イソマレイミドの重合反応性を検討した. すべてのRIMIは単独重合性を示したが, 全般に低分子量物を比較的低収率で与えた. またN-置換基による重合率の相違が観察された. RIMIとSt, MAおよびVAcとの各共重合系における単量体反応性比をそれぞれ求め, またこれのSt系での値からRMIのQ, e-値を決定した. ポリStラジカルおよびポリMAラジヵルに対するRIMIの相対反応性 (1/r1) はTaft式に従い, log (1/r1) =ρ*σ*Es, ρ*値はそれぞれ0.9, 0.4であり, またδ値はいずれの場合とも0であった. RIMIのQ値およびe-値はN-置換基の電子吸引性が増大するに従って増大した. VAcとの共重合では低分子量の交互共重合体を低収率で与えた.
  • 佐藤 守之, 内田 高雄, 横山 正明
    1977 年 34 巻 12 号 p. 867-870
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビス (3-アミノフェニル) アルキルボスフィンオキシドと芳香族ジケトンから溶融重縮合によって, 一般式が で表わされる含リンポリシップ塩基を合成した. 得られたポリマーは汎用の有機溶媒に不溶で濃硫酸にわずかに溶解するのみである. 空気中および窒素ふんい気下で熟分析を行ったところ, 空気中では500℃以上で急激な熱分解がみられたが, 窒素中ではかなり安定であった. また, 熱分解の見掛けの活性化エネルギーは41~68kcal/mo1であった. 熱分解残留物のIRスベクトルは700℃でほとんどの吸収が消失した. さらに, ポリマーは炎の外に出すとただちに消火する程度の自己消炎性を示した.
  • 冨田 耕右
    1977 年 34 巻 12 号 p. 871-873
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタラートの熱分解反応に対する金属化合物の触媒作用につき知見を得るために, パラ位対称2置換エチレンジベンゾエートの熱分解反応を行った. 未反応物量から反応速度定数値を算出してHammett式に従ってプロットすると, 直線関係の成立することが認められ, ρ値は正の値であった. 触媒金属化合物として酢酸亜鉛を共存させると同様にHammett式が成立し, ρ値は正の値であるがその大きさ自体は低下することを認めた. この結果は金属種がLewis酸として働くためにパラ位の置換基の効果がめだたなくなること, 換言すれば, 金属種の触媒効果は電子吸引性の置換基効果と類似すること, などを示唆するものと思われる.
  • 半田 隆, 吉澤 秀二, 鈴木 昌明
    1977 年 34 巻 12 号 p. 875-876
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ブナ単板にPSt (Mn=1.8×103, 6.0×103, 1.1×104, 1.1×105) を注入したWPCの動的粘弾性係数ET′, ET″の挙動から木材のET″のピーク (230℃) の他に3種類のピークを分離した. 分子量の低下とともに100℃付近のピークと分子量依存性の少ない125℃付近のピークが分離し, 150~220℃のET″が誘起したが, 低分子量のPSt (Mn=1.8×108) ではこのET″の誘起は小さい. WPCのET″に対する分子量変化の特異性は, 木材実質部界面へのポリマーの吸着状態の違いによる.
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