ブナ単板にスチレン (St) モノマーを含浸し電子線照射した木材-ポリマー複合体 (WPC) と, PStを注入したWPCの低温領域における誘電特性から, 木材とポリマーの分子レベルにおける相互作用を検討した. 木材空隙部分のPStがWPCのε′に対する寄与は大きいが, メチロール基の回転配向の活性化エネルギー (Δ
E), Cole-Coleのパラメーターに対する寄与は認められず, 木材実質部分のメチロール基には影響を及ぼさない. 電子線照射により木材実質部分でPStが生成したWPCでは, ε′, ε″, Δ
E, Cole-Coleのパラメーターは減少したことから, PStは木材実質部分のメチロール基にグラフト重合しており, セルロース, ヘミセルロースおよびリグニン鎖閥を押し広げて分散して存在し, グラフト重合に関与しないメチロール基の回転配向を容易にしたが, PStとメチロール基の相互作用のために回転配向はより多様性を示している.
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