高分子論文集
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36 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 内藤 郁夫, 古賀 啓治, 橋内 博史, 木下 堯博
    1979 年 36 巻 12 号 p. 777-782
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (3-メチル-3-ブテン-2-オン) (PMIK) 存在下におけるメタクリル酸メチル (MMA) の光増感重合を313nm光照射により行った. 重合はPMIKの励起三重項状態からα解裂反応で生成したラジカルにより開始される. PMIKのT1*はMMAにより消光され, その消光係数 (kqτ) は0.3dm3mol-1と求められた. PMIKのモデル化合物である3, 3-ジメチル-2-ブタノンやポリ (3-ブテン-2-オン) (PMVK) 存在下におけるMMAの光増感重合結果との比較から, PMIKのα解裂量子収率は (2.0±0.5) ×10-1と評価できた.
  • 三軒 斉, 岡田 俊明, 石井 孝利, 山本 吉威
    1979 年 36 巻 12 号 p. 783-789
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    熱可塑性エラストマーであるポリエーテルーポリエステルブロック共重合体について, ソフトブロック鎖の量比, 鎖長, およびハードブロック鎖の種類を変え, かつ共重合体を溶融状態から種々の速度で冷却し, 結晶状態の異なる試料を調製した. これら試料のDSCを行い, ハード・ソフト両鎖が互いに他のブロック鎖の結晶化挙動に及ぼし合う相互作用の影響を検討した. ハード量比が増加するほど, ハード鎖結晶の束縛力が増し, ソフト鎖Tgは高温側に移行した. 溶融時からの冷却速度の大きい場合には, (i) ハード・ソフト相混合の程度が高く, ソフト鎖Tgは高温側に移り, (ii) 相混合による相互作用でソフト鎖の結晶化は妨げられた. 一方, 冷却速度が小さい場合は, ハード・ソフト間の相凝離が進み, 相互作用の影響は弱まりソフト鎖Tgは低温側に移る. コポリエステル型ハード鎖の場合には, ソフト鎖との相互作用の影響が増大し, ソフト鎖Tgは高温側に移動した.
  • 海老沢 文博, 星野 光利, 佐藤 行彦
    1979 年 36 巻 12 号 p. 791-795
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    中圧法ポリエチレンを用いて, サンシャインウェザーメーターにより紫外線照射を行い, 紫外線吸収剤の有無による劣化機構の違いおよび機械的特性と平均分子量の関係について, 破断伸びおよび降伏点強度, またGPCを用いた分子量および分子量分布の測定を行って検討した. この結果, 紫外線吸収剤を含まないポリエチレンでは初めに橋かけ反応が生じ, その後, 分子鎖切断が支配的になることがわかった. 一方, 紫外線吸収剤を含有するポリエチレンでは分子鎖切断が優先することを確認した. また, Mwと破断伸びとの関係を調べたところ, 破断伸びではある一定のMw (2×105) を境として, これよりMwが小さくなると急激に低下することがわかった. これは分子鎖切断によるからみ合いの減少によるものと推定された.
  • 大津 隆行, 山田 文一郎, 草山 遷治, 長尾 悟
    1979 年 36 巻 12 号 p. 797-802
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アニオン重合禁止剤として酢酸を使用し, α-シアノアクリル酸メチルあるいはエチルのラジカル共重合を行った. メタクリル酸メチルやα-クロロアクリル酸エチルとの共重合にはラジカル開始剤が必要であるが, スチレンやビニルエーテルとは混合しただけで急速な共重合が起こる. 開始剤不在下の共重合もラジカル重合であることを確かめるため, α-シアノアクリル酸エステルとスチレンあるいはイソプチルピニルエーテルに第3のモノマーを加えた三元共重合を行った. 三元共重合体組成の実測値はラジカル共重合のモノマー反応性比の組合せからの計算値と一致し, 開始剤不在下の共重合もラジカル重合であることが明らかになった. 更に, いろいろなモノマーのポリ (α-シアノアクリル酸エステル) ラジカルに対する相対反応性を求め, モノマーの置換基の効果について考察した.
  • 近藤 仁, 佐藤 守之, 横山 正明
    1979 年 36 巻 12 号 p. 803-808
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビス (3-アミノフェニル) アルキルホスフィンオキシドと無水マレイン酸から合成したN, N′-ビスマレイミド-3,3′-ジフェニルアルキルホスフィンオキシドと芳香族ジアミンを用いて含リンポリコハク酸イミドアミンを合成した. その重合条件についても検討を加えた. ポリマーは, 芳香族ジアミンとして4,4′-ジアミノジフェニルスルホンを使用した場合以外は70%前後の収率で得られ, DMA中0.2g/dl, 30℃で測定した還元粘度は0.16~0.34であった. ポリマーの溶解性を定性的に調べたところ, 非プロトン性極性溶媒およびm-クレゾールには多くのポリマーが溶解し, また, 濃硫酸にも可溶であったが, 時間とともに粘度の低下が見られ分解が起こっているように思われる. 熱分析の結果, いずれのポリマーも芳香族系のイミド環を有する含リンポリイミド類に比べてかなり熱安定性が劣っており, 炎の外に出すと直ちに消火する程度の自己消炎性を示した.
  • 桜井 史朗, 大西 三郎, 稲垣 訓宏, 勝浦 嘉久次
    1979 年 36 巻 12 号 p. 809-813
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン (PS) に対するデカブロモジフェニルオキシド (DBDPO) の難燃作用をポリ塩化ビニル (PVC) やハロゲン化第二銅 (CuX2) のPSに対する作用と比較して検討した. DBDPOのPSに対する難燃効果は大きいが, PVCやCuX2のそれは小さ. DBDPOの場合, 熱分解時臭素成分がほとんど固相にとどまり, 燃焼表面付近でのPSの熱酸化分解を抑制することによって気相への可燃性物質の供給速度を低下させるが, PVCやCuX2ではこの作用がない. したがって, DBDPOの難燃作用は上記の固相における熱酸化分解抑制に基づくと結論した.
  • かせ村 知之, 近土 隆, 畑 敏雄
    1979 年 36 巻 12 号 p. 815-820
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    異なるメチレン連鎖長 (m) をもつポリアルキレンイソフタラート (PAP) の表面張力 (γ) を静泡法で温度を変えて測定した. パラコール (P) と分子容 (V) の加成性を仮定して導かれたγとmとの関係式はm≤10の範囲で成立した. m>10において, γの測定値は理論式の示す値線から外れて小さくなった. これは, mの増加に伴って低表面張力成分であるメチレン連鎖の屈曲性が増し, それが表面に選択的に吸着されるためである. 表面張力の非極性成分 (γd) はmによらず, ほぼポリエチレンの値に一致した. 一方, 極性成分 (γp) はmとともに減少し, m→∞でゼロになる. 比容についての (11) 式はmのすベての範囲で成立した.
  • 田中 正己, 増田 精造, 太田 忠甫
    1979 年 36 巻 12 号 p. 821-826
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    β-プロピオラクトン (β-PL) およびアクリル酸 (AA) の重合をプロピオンアルドキシム (POM) を用いて行った。重合はいずれの場合にも, アニオン機構で進行する. 等モル反応より, 重合の開始種は, β-PLの場合, CH3-CH2-CH=N-OΘ, AAの場合はCH2=CH-COOΘであり, β-PLよりは分子量1,000~2,000のポリエステルが, AAよりは分子量1,000前後のポリアクリル酸が得られる. POMによるAAの重合はアクリル酸オリゴマーを得る有効な方法である.
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