熱可塑性エラストマーであるポリエーテルーポリエステルブロック共重合体について, ソフトブロック鎖の量比, 鎖長, およびハードブロック鎖の種類を変え, かつ共重合体を溶融状態から種々の速度で冷却し, 結晶状態の異なる試料を調製した. これら試料のDSCを行い, ハード・ソフト両鎖が互いに他のブロック鎖の結晶化挙動に及ぼし合う相互作用の影響を検討した. ハード量比が増加するほど, ハード鎖結晶の束縛力が増し, ソフト鎖
Tgは高温側に移行した. 溶融時からの冷却速度の大きい場合には, (i) ハード・ソフト相混合の程度が高く, ソフト鎖
Tgは高温側に移り, (ii) 相混合による相互作用でソフト鎖の結晶化は妨げられた. 一方, 冷却速度が小さい場合は, ハード・ソフト間の相凝離が進み, 相互作用の影響は弱まりソフト鎖
Tgは低温側に移る. コポリエステル型ハード鎖の場合には, ソフト鎖との相互作用の影響が増大し, ソフト鎖
Tgは高温側に移動した.
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