高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
36 巻, 6 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 古川 薫, 白崎 義一, 塚本 千秋
    1979 年 36 巻 6 号 p. 355-363
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリカプロラクタムの減圧下溶融加熱時顕著に起こるゲル化の反応について研究した. 劣化ポリマーは水浸せき処理により橋かけ点の切断が起こり, 劣化反応初期段階で生成したゲルが溶媒に可溶となることを発見し, この水浸せき処理前後でのポリマーの溶液粘度から, 橋かけ前後の分子量と橋かけ点数を推定し, ゲル化反応過程中の定量的な検討を行った. 劣化反応中増加する塩基性基を正規の末端アミノ基SAとそれ以外の塩基性基SBに分け, 先の橋かけ点切断後のベースポリマー当たりのSB量を橋かけ度βとすると, βが0.85~1.0に増加した時ゲルが発生することが分かったが, これはゲル化の理論にほぼ合致するものである. SASBおよび橋かけ点の増加速度とこれらの生成の見掛けの活性化エネルギーからゲル生成は主に (1) 脱炭酸によるカルボニルの生成, (2) 平衡反応からアミド基の加水分解による末端基の生成, (3) カルボニルとアミノ基のシッフ塩基生成, が主反応として含まれる反応機構によると推定した.
  • 坂見 宏, 飯田 昌造, 佐々木 寛治
    1979 年 36 巻 6 号 p. 365-370
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    融点以上において一軸, あるいは二軸の延伸状態で結晶化させた高分子量ポリエチレンはfibrilが形成した. それらのfibrilの熱処理効果は走査電子顕微鏡とDSCの熱的測定と小角X線測定によって研究した. 融点付近で熱処理したfibrilには表面に多くのクラックがfibrilと直角方向に発生した. fibrilの中芯にはmicro-fibrilが観測された. DSCの結果から三つの融解ピークが現われた熱処理試料では微結晶と高配向したfibrilそしてextended chain crystalが形成することが知られた. 135℃で2時間熱処理したfibril化試料では微結晶相, 中芯のfibril相およびextended chain crystal相はそれぞれ59, 35, 6%に評価することができた.
  • 村山 三樹男, 矢野 彰一郎
    1979 年 36 巻 6 号 p. 371-377
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ボリエチレンテレフタラートの光劣化における波長依存性について分光照射の方法を用いて調べた. 空気中分光照射により紫外吸収スペクトルの340nmにおける吸光度増加量ΔA840の波長依存性と赤外吸収スペクトルの3290cm-1における吸光度増加量ΔA3200の波長依存性とがよく一致したことからΔA340はΔA3200の反応, すなわち-COOH末端基生成に対応することが分かった. ΔA340, ΔA3200の波長依存性としては全体として薄い未照射フィルムの紫外吸収スペクトルに対応している. ΔA340の波長依存性について光照度, 照射温度および試料厚さの影響について調べた. ΔA340の光照度指数nの平均値は約0.6である. ΔA340の活性化エネルギーは315nm付近以上の光照射ではある値を示し, 以下の短波長照射では0に近い. 照射により初めにあったけい光スペクトルが消滅し同時に別のスペクトルが生ずる. 後者は315nm前後以上の光照射によりほぼΔA340に比例して生成する.
  • 井上 和夫, 星野 貞夫
    1979 年 36 巻 6 号 p. 379-384
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (m-キシリレンアジパミド) が吸湿によって結晶化したときの結晶の状態について調べ, その生成機構について検討した. 溶融状態から急冷したフィルム状非晶試料を50℃において58%RH以上の種々の湿度で吸湿させ, その断面を偏光顕微鏡によって観察した. 低湿度では, 表面付近の薄いトランスクリスタル層を除き, 断面全体にわたって球晶構造が生成した. 湿度の増加とともに, トランスクリスタル層の厚みが増し, 内部の球晶は大きさを増した. このような結晶生成の過程を, 結晶化に伴う吸水率の変化をもとに解析した. その結果, 高湿度におけるトランスクリスタル層の増大は, 結晶化速度が著しく増大することによって結晶化過程が水の拡散過程に左右され, いわゆる配向結晶化の現象が起こることによることが示された.
  • 結城 康夫, 六鹿 広文, 鬼頭 鏡貴
    1979 年 36 巻 6 号 p. 385-391
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    8種の2-アミノ-4-置換アニリノ-6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジン (M2) とMMAおよびMA (M1) との共重合を行った. その結果, MMAに対してはr1=0.37~0.50, r2=0.47~0.80, Q=0.92~1.29およびe=-0.70~-0.80の値が得られMAに対してはr1=0.11~0.17, r2=0.83~1.72, Q=1.07~1.76およびe=-0.63~-0.80の値が得られた. 1/r1についてHammett則を適用した結果ρ=+0.15 (MMA), ρ=+0.21 (MA) の関係となった. またDSCにより測定したコポリマーのTgはMMA, MAともにコポリマー中のトリアジンの組成が20mol%以上では組成と直線関係が成立し, イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジンホモボリマーのTgに近づくことが分かった.
  • 諏訪 武, 武久 正昭, 町 末男
    1979 年 36 巻 6 号 p. 393-399
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) の融解および結晶化挙動の分子量依存性を明らかにする目的で, DSCを用いて熱処理を行い, 次の結果を得た. 重合したままの (重合結晶化) PTFEを融点 (327℃) 以下で等温熱処理すると, 結晶領域の分子鎖は部分融解を起こし, 再配列による結晶化が認められた. この場合, 分子量によって著しく異なる挙動を示した. (a) Mn<5×104では全体の結晶化度はほとんど変化しなかった. (b) Mn=1×105~1×106では, 部分融解しても一部は再配列して結晶化するが, 全体の結晶化度は低下した. (c) Mn>1×107では, 部分融解して非晶領域が増加するのみで, 再配列による結晶化はほとんど認められなかった. また, 熱処理の結果から再配列による結晶化で, 重合結晶化したPTFEの結晶化度に回復可能な分子鎖長は1000Åぐらいまでであると推測した.
  • 松本 喜代一, 三浦 一郎, 林田 建世
    1979 年 36 巻 6 号 p. 401-406
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アイソタクチックポリブロピレンの射出成形した試料を成形条件を関数として, 内部組織および球晶層について偏光顕微鏡写真によって調査した. 成形品の表面領域に等方性のコアを含む少なくとも六つのめいりょうな層の互いに異なる内部組織パターンを碓認した. スキンとコアとの間の若干の中間層は, 射出成形時の流れの間にせん断の影響を受ける. 射出成形した高分子物質の内部組織に及ぼす成形条件の影響は, 主として樹脂温度と金型温度による.
  • 下川 洋市, 三山 創
    1979 年 36 巻 6 号 p. 407-413
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々の無水マレイン酸共重合体のモノおよびジアリルエステル化物を合成し, これらの橋かけ型感電子線性材料としての性能を調べた. 感度は幹ポリマーの重量平均分子量および側鎖アリル基濃度に大きく依存するが, 固有粘度およびアリル基濃度をそろえて比較した場合, スチレンとの共重合体が最も高感度であった. また, 芳香族ケトン類などの光増感剤を添加すると, 橋かけ型感光性材料にもなりうることが分かった. 同様にスチレンとの共重合体が最も高感度である. 感度は幹ポリマの重量平均分子量, および側鎖アリル基濃度の2乗に比例する.
  • 下川 洋市, 三山 創
    1979 年 36 巻 6 号 p. 415-418
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アクリル酸メチル共重体とアリルアルコールのエステル交換反応により, ポリマー側鎖にアリルエステル基を導入した. これらのポリマーは電子線に対して良好な感度を示すとともに, 光増感剤の添加によって, 光に対しても良好な感度を示す. 幹ポリマーの重量平均分子量, および側鎖アリル基濃度の2乗に比例して感度が増大するが, スチレンとの共重合体の場合が一段と高感度になる.
  • 浜谷 健生, 山田 純男
    1979 年 36 巻 6 号 p. 419-425
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Pervaporation透過装置を用い, セロハンによるn-ブチルアミン-水混合液体の透過速度と分離係数が測定され, 全透過速度は水の組成40wt%のところで極小値を, また分離度αは水の組成60~70wt%のところで極大値を示す結果が得られた. この原因は, 混合液体における各成分の透過速度が他の成分の存在によって抑制効果を受けるためである. Pervaporationによる透過が水力学的透過の延長線上にあると考え, Paulらの溶解拡散メカニズムを用いた場合, n-ブチルアミン-水混合液体における透過速度の急激な変化は膜中への液体の溶解度の変化によってもたらされたものでないことが明らかとなった. また, Pervaporationの透過においても, Paulらの水力学的透過の膨潤膜に対する取扱いと同じように, 透過に対して流体力学的因子の寄与が非常に大きいという結果が得られた. ηD/Tの値が温度依存性を示すことから, 輸送過程のエネルギーに高分子-液体間の相互作用が寄与していることがわかるが, これは膜-透過液体が非常に水素結合しやすいためである.
  • 1979 年 36 巻 6 号 p. 427a
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 36 巻 6 号 p. 427b
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 36 巻 6 号 p. 427c
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top