高分子論文集
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37 巻, 2 号
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  • 内藤 郁夫, 古賀 啓治, 木下 堯博
    1980 年 37 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    3-メチル-3-ブテン-2-オン (MIK) とスチレン (ST) およびメタクリル酸メチル (MMA) との共重合体 [P (MIK-co-ST), P (MIK-co-MMA)] の光分解反応を研究した. 前者の主鎖分解反応は, 励起一重項および三重項状態より主にTypeII反応で進行する. 主鎖分解反応量子収率 (φcs) はP (MIK-co-ST) ではポリマー中のMIKユニット量が約68mol%で最大値 (φcs=1.7×10-2) を取リ, MIKユニットの減少に伴い減少する. STとの交互共重合体ではランダム共重合体の約2倍のφcs (2.9×10-2) となった. 一方, P (MIK-co-MMA) のφcsはMIKユニット量の減少に伴い2.7×10-2まで増大した. TypeI反応の結果を明らかにするため, 共重合体存在下におけるMMAの光増感重合も行った.
  • 中村 儀郎, 斎藤 実, 森 邦夫
    1980 年 37 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    廃農業用軟質ポリ塩化ビニルの再加工に当たって約2phrの6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール (DB) をマグネシア (5phr) およびステアリン酸塩系安定剤 (2pht) と併用すればDBは劣化した低分子量PVC成分に対する分子鎖延長剤および橋かけ剤として反応して, 再加工材料の機械強度および熱変形開始温度の上昇に役立つ. 更にDBは廃農業用ポリ塩化ビニルの高温での再加工時に起こりやすい分子内脱塩酸および熱着色を抑制する強力な安定剤としても極めて有効なことがわかった.
  • 中村 儀郎, 斎藤 実, 森 邦夫
    1980 年 37 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    廃農業用軟質ポリ塩化ビニルを再加工した材料の熱変形開始温度 (TC) は可塑剤の残留のため25~44℃とかなり低い. しかし, カーボンブラッケ, ケイ酸アルミニウム, シリカのような吸油性の高い充てん剤を混練することによりTCは上昇し, 50phrの添加時それぞれ45, 50, 59℃となる. 一方, 炭酸カルシウムのような吸油性の低い充てん剤はほとんど効果がない. 充てん剤の吸油性と充てん廃農業用ポリ塩化ビニル材料の機械強度とTCには正の相関性が認められた, また, 吸油性充てん剤と橋かけ剤の併用によってTCは一層向上する.
  • 古川 薫, 塚本 千秋
    1980 年 37 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ボリメタキシリレンアジパミドの溶融時に起こるゲル化について, アジピン酸またはメタキシリレンジアミンの粘度安定剤の量, 水蒸気圧および温度などの反応条件を変えて検討した. 平衡状態の数平均重合度Pnはこれらの条件によって決まり, ゲル化時間tgはそのPnに依存して次式で表されることを確かめた. tg=1/kPn-t0ここでk, t0は温度で決まる定数である. この式はフローリーのゲル化の理論とゲル化の反応機構として, (1) アミノ末端基から生ずる二級アミンとカルボキシル基との反応による第三アミドの生成, (2) 二級アミノ基とアミノ末端基との反応による三級アミンの生成, およびこの両反応へのプロトンの触媒作用により説明された. (1) および (2) の反応速度定数を求め, (2) の反応がより優勢なことを確かめた.
  • 森 邦夫, 中村 儀郎
    1980 年 37 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    6-R-1, 3,5-トリアジン-2,4ジチオール (以下トリアジンジチオールと略記) とステアリン酸亜鉛-バリウム塩の共存下におけるPVCの熱安定性をPVCとトリアジンジチオールの反応, PVCの脱塩化水素反応, およびその耐着色性などから検討した. 熱老化中におけるPVCとトリアジンジチオールの反応はPVC分子中のアリル型塩素とチオール基の反応を主な内容とし, その構造が橋かけ構造で示さ義ることをこれらのモデル反応, そのモデル化合物と老化PVC (A-PVC) のUVスペクトルの測定, およびA-PVCの粘度測定などから明らかにした. 更に, トリアジンジチオールの反応の程度はA-PVCのUVスペクトルにおける260nmの吸収強度から検討した. PVC分子中のアリル型塩素がトリアジンジチオールと反応すると, PVCの脱塩化水素による分解は抑制されるが, これはジッバ-反応を阻止するためと考えた. したがって, トリアジンジチオールの存在下でPVCの耐熱着色性は改良されると思われる.
  • こうじ谷 信三, 松崎 優, 岩谷 全啓, 山下 晋三
    1980 年 37 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    崩壊性高分子の合成を目的としてシクロペンタジエン (CPD) とブチルビニルエーテル (BVE) の共重合を検討した. 無極性溶媒中BF3エーテル錯体触媒によるカチオン共重合により共重合体が得られた. 共重合体の組成は1HNMRにより決定でき. モノマー反応性比は, rOPD=0.30, rBVE=12.0であった. 生成共重合体の極限粘度数はCPD含量の大きいものほど小さくなる傾向が認められた. 動的弾性の温度分散測定からほぼランダムな共重合体が生成したと考えられ, CPD含量50mol%の共重合体のガラス転移温度は-20℃であった. DSC測定より, CPD含量に応じて共重合体の空気ふん囲気下での熱分解温度は広範囲に変化することが明らかとなった. これらの結果から, この共重合体は崩壊性エラストマーになりうるものと考えられる.
  • こうじ谷 信三, 松崎 優, 山下 晋三
    1980 年 37 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    新しい崩壊性高分子を得る目的でシクロペンタジエン (CPD) とブチルビニルエーテルの共重合体を合成し, その酸化崩壊性を検討した. 室温で空気中に放置するだけで共重合体は急速に酸化され, 標準試料として用いたポリブタジエンに比べてその酸化崩壊性は極めて大きいものであった. 例えば作製時には柔軟であった共重合体フィルムも, その組成に応じて数日から数十日後にはぜい化して容易に粉末状とすることができた. 酸化反応は共重合体の組成, つまりCPD含量とともに酸化防止剤の配合量にも大さく依存した. 酸化防止剤としてはフェニル-β-ナフチルアミンなどラジカル受容型酸化防止剤が有効であり, これらの条件を適切に選択することにより100日以上にわたって初期の物性を保持させることも可能であった. 共重合体の自動酸化反応の機構はオレフィンの液相酸化の場合とほぼ同様な考え方で説明が可能であった.
  • 田中 伊都郎, 宮城 守雄, 依田 賢太郎, 渡辺 一雄
    1980 年 37 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    耐光性, 難燃性, 非溶融性の優れた芳香族ポリエステルーヒドラジドを, イソフタロイルジヒドラジド, テレフタル酸クロリドと2,2-ビス (3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル) プロパン (TBA) から合成し, この共重合体の成形性と糸およびフィルムの物理的, 化学的性質を検討した. その結果, 成形性に関しては, 水を凝固浴とし, ジメチルスルホキシドを溶媒として湿式紡糸が可能であった. また, 乾式法によっても, 無色透明の強じんなフィルムが生成した. 難燃性については, Brを9wt%含有させたとき. LOI値は31.5となり完全に自己消火性を示し, 耐光性もフェードオメーター40時間照射で変色せず, 非常に優れていた. 耐熱性フィルムとしては, 絶縁破壊電圧が139kV/mmと優れており, 155℃の連続使用に耐えうることがわかった. 逆浸透膜としても, 透過水量700l/m2/Dのとき, 塩の排除率95%と優れた性能を示した.
  • 嶋野 安雄, 佐々木 庄一
    1980 年 37 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    イソフタロイルジイソチオシアナートおよびその核置換体と芳香族および脂肪族ジヒドラジドとの溶液重付加により, ボリジアシルチオセミカルバジド (PDAT) を合成した. 反応溶媒としてはジメチルアセトアミド, N-メチル-2-ピロリドン, およびジメチルホルムアミドが優れており, 0~40℃において, 固有粘度が最高1.12dl/gまでのPDATがほとんど定量的に得られた. これらのポリマーからは, ジメチルアセトアミドを溶媒として透明で強いフィルムをキャストできた. PDATの, 減圧下180~220℃での熱脱水閉環反応により, 固有粘度が最高0.31dl/gまでのポリ (1,3,4-チアジアゾールアミド) (PTDA) を得た. この反応における分子量低下はかなり大きいが, これはモデル反応結果よりPDATの解重合によるためと推察される. PTDAの空気中における熱重量分析では, 300℃付近で5%の重量減少が認められた.
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