高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
37 巻, 4 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 市村 国宏, 渡辺 庄司, 越智 英夫, 鈴木 隆夫
    1980 年 37 巻 4 号 p. 199-206
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    α-フェニルマレイミド (PMI) 類が容易に光二量化体を与えることを利用し, 以下のような方法でPMI基を持つ感光性樹脂を合成した. a) P-アミノスチレンの共重合体とフェニルマレイン酸無水物との反応, b) ポリスチレンあるいはポリ (ベンジルメタクリラート) とN-クロルメチルーα-フェニルマレイミドのフリーデルークラフツ反応, c) 無水マレイン酸の共重合体とN- (2-アミノエチル) -α-フェニルマレイミドとの反応, d) ポリビニルアルコールとN-ク-ルメチル-α-フェニルマレイミドとの反応. これらの樹脂は410nmまでの波長に感光し, 高感度を示した. また, 増感剤や樹脂の保存安定性についても調べた.
  • 東 千秋, 讃井 浩平, 緒方 直哉
    1980 年 37 巻 4 号 p. 207-211
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    既に, ポリマー側鎖に結合したケイ皮酸基の光二量化反応において, ポリマーのガラス転移温度より高い温度において光を照射した場合, 光照射温度とポリマーのガラス転移温度の差の逆数と見掛けの光二量化の速度定数のアレニウスプロットは直線となることを見いだし報告した. 今回, この光二量化反応のガラス転移温度依存性をポリマーセグメントの分子運動の立場から理論的に検討した結果, 光照射温度とポリマーのガラス転移温度との差よりも更に50℃高い温度を用いるべきことが結論づけられた。この結果をもとに全反応速度の感光基濃度依存性とポリマーのガラス転移温度依存性を定量的に考察した.
  • 三星 孝雄, 東 千秋, 讃井 浩平, 緒方 直哉
    1980 年 37 巻 4 号 p. 213-219
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    側鎖に感光基としてケイ皮酸基を有するゴムの感光性とその側鎖構造の影響について検討する目的で, トランスーポリペンテナマー, シス-1,4-ポリブタジエン, およびトランス-1,4-ポリプタジエンに, 空気存在下, メルカプトエタノールを付加させ, 2-ヒドロキシエチルチオ基含量の異なるポリマーを合成し, これと, ケイ皮酸クロリドと反応させ感光性ゴムの合成を試みた. メルカプトエタノールはシスおよびトランス-1,4-ポリブタジエンにはほとんど付加しなかった. 前報で報告したヒドロキシメチル基をもっポリペンテナマーのケイ皮酸エステル誘導体と2-ヒドロキシエチルチオ基をもつポリペンテナマーのケイ皮酸エステル誘導体の感光性を比較した. 2-ヒドロキシエチルチオ基のようなより長い側鎖基の導入は, ポリマー鎖の可塑化をもたらすとともに, 反応の頻度因子を増し感光性を高めることが明らかとなった. また, 感光基濃度の増大は, 感光基の反応性を低下させ, ある感光基濃度において感光性の極大が現れた. これらの現象をポリマーのガラス転移温度とめ関係から定量的に考察した.
  • 田中 誠, 加藤 明, 箸尾 幸之助, 白井 正充, 角岡 正弘
    1980 年 37 巻 4 号 p. 221-225
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    塩化第二鉄を含むポリビニルアルコールを塗布した紙を光照射した後, KI溶液に浸すと, 非露光部のみにヨウ素錯体が生成し, 画像が形成された. この感光紙の感度は小さかったが, 塗布液にシュウ酸を添加したときにはかなりの感度の増大がみられた. シュウ酸は塩化第二鉄と反応してシュウ酸第二鉄塩を生成する. したがって, シュウ酸の添加によって感度が増大したのは, シュウ酸第二鉄塩の効果によるものと推定される. この点を明らかにするために, シュウ酸第二鉄塩を含む塩化第二鉄水溶液の光反応について検討した. その結果, シュウ酸第二鉄塩は塩化第二鉄に先立って光還元を受け, 還元中間体として生成するシュウ酸イオンおよびシュウ酸ラジカルイオンによって塩化第二鉄の光還元が促進され, また, 還元生成物であるFe2+イオンによって塩化第二鉄のI-酸化能が抑制されることを見いだした.
  • 小柴 満信, 山岡 亜夫, 角田 隆弘
    1980 年 37 巻 4 号 p. 227-233
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリビニルシンナマートの光橋かけによる分子構造の変化に伴う力学的性質の変化を, 緩和弾性率を測定して検討した, 橋かけにより各ゲル分率をもった試料に関しTobolskyと村上のPrecedure Xを用いて最長緩和時間τm, その緩和強度Emを求めるとゲル分率が7.5%以下ではゲル分率の増加に伴い増大し, 終端領域が観察されなくなる7.5%以上でτmは無限大となる. ゴム弾性理論, 絡み合い網目理論から求めた絡み合い結合を含めた橋かけ数, (擬) 平衡弾性率はゲル化に伴い増大し, 橋かけ点間平均分子量の対数はゲル分率が0~7.5%の範囲ではゲル発率に比例して減少し7.5%以上ではこの関係は成立しなかった. 応力緩和により求めたレオロジー的橋かけ数と反応速度式から求めた光化学的に生成した橋かけ数をCharlesbyのゲル化理論から求められる理論的な橋かけ数を比較すると光化学的橋かけ数と理論的橋かけ数の間に比例関係が成立したためゲル生成は主に光化学的橋かけによるもので絡み合い結合の寄与は無視できると思われた.
  • 小関 健一, 小柴 満信, 中村 彰男, 山岡 亜夫, 角田 隆弘
    1980 年 37 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アジド基を感光基とするポリマーの分子構造と感光特性との関連性を明らかにすることを目的とする. 側鎖長の異なるアジド系モノマーをラジカル重合して感光性樹脂を合成した. ボリマーの分子量特性と感光特性との関係を側鎖長の違いについて検討した. 画像特性はゲル分率により評価した. ゲル分率およびねじれ振り子による動力学的性質を約-70℃から110℃にわたって測定した. 分子量の増加は, 感光度の上昇をもたらし, 同一分子量の場合には側鎖長の長いポリマーほど高感度であることがわかった. ゲル分率特性は, 三つの温度領域に分かれ, 動力学的測定と対応づけると, 側鎖の運動が凍結される副分散温度領域以下では一定のゲル分率を与え, 副分散温度とガラス転移温度との間では大きな温度依存性をもって増大した. このことは感光基を含む側鎖の運動が感光特性に重要な寄与をしていることを示し, 感光性樹脂の分子設計におけるガラス転移温度の重要性をも示している.
  • 加藤 政雄, 米重 康生
    1980 年 37 巻 4 号 p. 243-248
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    側鎖にプロパギル基またはアリル基をもつ線状ポリマーを, プロパギル4-ビニルフェニルエーテル (PVPE) のカチオン重合およびp-ビニルフェノールポリマーとプロパギルブロミドまたはアリルブロミドとの高分子反応によって合成した. PVPEのカチオン重合で得たポリ (PVPE) は, 空気中に放置しておくと不溶化した. これは, ポリマーが酸化されやすいためと思われる. 一方, 高分子反応で得たポリ (PVPE) は, ポリマー中に残留しているフェノール残基によって安定化された. 高分子反応で得たポリ (PVPE) およびポリ (AVPE) の光橋かけ反応を検討し, 得られた結果を比較した. ポリマーの光橋かけのいくらかの機構について考察を行った.
  • 角岡 正弘, 佐々木 啓之, 田中 誠
    1980 年 37 巻 4 号 p. 249-254
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (4-ブロモアセチルスチレン) の窒素下における固相光橋かけ反応について検討し このポリマーのフィルムは紫外線照射により橋かけ不溶化するが, フィルム中にビニルモノマーを共存させると橋かけ速度は著しく増大した. ビニルモノマーとしては, ジビニルペンゼン, エチレングリコールジアクリラートおよびトリメチロールプロパントリアクリラートを使用した. ビニルモノマ一共存下において, 酸素は橋かけ速度を低下ぎせたが, フィルムを石英板ではさんで酸素の拡散を抑制することにより, 橋かけ速度はかなり大きくなった. ビニルモノマー濃度の橋かけ速度に及ぼす影響について検討した結果, ビニルモノマー濃度の低い所では, ジビニルモノマー共存下の方がトリビニルモノマー共存下よりも橋かけ速度が大きいことがわかった. 低分子モデル化合物として臭化フェナシルの光分解反応を検討した結果, この光分解が励起三重項状態を経て起こることがわかった.
  • 羽山 茂, 池端 昌夫, 武石 誠, 新野 昭伍
    1980 年 37 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビフェニル-4,4′-ビスアゾチオフェニルエーテル (BTE) その他の芳香族ビスアゾチオエーテル臨溶液中で光照射すると室温以下で分解してビフェニレンラジカルとより活性の低いチイルラジカルを生成し, メタクリル酸メチルの重合開始作用を示した. n-アルカン溶液中のBTEの光分解の速度定数は, 溶媒粘度の増加とともに低下した. NMP溶液中のBTEの分解速度はベンゼン溶液の場合よりも小さいが, MMAの重合速度 (Rp) はベンゼン溶液中のそれよりも著しく大きい. また生成ポリマーの分子量も高かった. Rpと [BTE] 1/2のプロットは下向きの曲線になり, 一次ラジカルによる再結合停止を含む系に特徴的な変化を示した. ポリマーは少量の硫黄を含み, これはフェニルメルカプト末端基によると考えられる. これらの結果はチイルラジカルが生長鎖との再結合停止にあずかることを示唆する.
  • 鉛山 洋一, 鷹尾 英俊, 藤木 正, 中村 賢市郎
    1980 年 37 巻 4 号 p. 261-267
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メチルビニルケトン (MVK), メチルイソプロベニルケトン (MIK), tert-ブチルビニルケトン (t-BuVK) の脂肪族ケトンポリマー, およびこれらのコポリマーの光分解について溶液中, およびフィルム状態で研究した. MVK-メタクリル酸メチル (MMA) コポリマー, MIK, t-BuVKホモポリマー, およびこれらのコポリマーの分解性はテトラヒドロフラン溶媒中酸素により減少する. しかし, MVKホモポリマー, MVK-スチレン (St), MVK-アクリル酸メチルコポリマーの分解は酸素, 窒素により変わらない. フィルム状態, 30℃でコポリマーの主鎖切断数を測定し, MIK-MMA>MVK-MMA>t-BuVK-MMA》MVK-Stの順で減少した. MVK-MMA, MIK-MMA, t-BuVK-MMA, およびMVK-Stコポリマーの光分解をフィルム状態30~90℃の範囲で調べ, 活性化エネルギーはそれぞれ5.2, 4.0, 6.3, 0kcal/molであった. MVK-MMA, MIK-MMA, t-BuVK-MMAのケトン-MMAコポリマーはNorrish Type-I反応により命解することが示された.
  • 田中 秀明, 小林 力夫, 小水 秀男
    1980 年 37 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    チイランをCdSiとともに水中懸濁して重合を行い主鎖にスルフィド結合を有するポリチイランを得た. 得られたポリマーは紫外線, γ線, 電子線によって主鎖切断を起こすのでポジ型レジストへの応用が可能である. 紫外線による主鎖切断の量子収率はおおよそ0.1, 空気中でのγ線による切断のG値はおおよそ8である. 合成したポリマーの中でポリ (みエチル-2-メチルチイラン) が最も膜特性がよく電子線に対してポリメタクリル酸メチルよりも高感度であった.
  • 増原 宏, 大和田 哲, 又賀 〓, 板谷 明, 岡本 健一, 艸林 成和
    1980 年 37 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N, N-ジメチルホルムアミド溶液中ポリ (N-ビニルカルバゾール) の光イオン解離過程をナノ秒レーザーフォトリシス法により調べ, 二, 三の消光剤系いずれについても, 重合度の増大に伴いイオン解離収率が減少することを見いだした. ジメチルテレフタラート消光剤系について励起光強度効果を詳細に検討し, 高密度励起効果のない条件下で相対イオン解離収率と重合度の関係を求めた. この高分子系特有の挙動を単量体系の結果と比較検討し, 異なる解離状態, イオンへの溶媒和過程に及ぼすミクロな溶媒効果, geminate recombinationの関与が高分子効果の主要因であることを結論した.
  • 上野 昭彦, 安斉 順一, 高橋 圭子, 長 哲郎
    1980 年 37 巻 4 号 p. 281-286
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    側鎖にアゾベンゼン基を有するポリペプチド (共重合系列1~5) を合成し, 側鎖アゾベンゼン基のトランスーシス光異性化がポリベプチドのコンホメーションに及ぼす効果を検射した. 光照射前後の円偏光二色性 (CD) スベクトルの測定から, 左巻らせん→右巻らせん, 左巻らせん→ラングムコイル, ランダムコイル→右巻らせんなどの過程が起こっていることが判明した. 更に, 溶媒効果により右巻らせん→左巻らせん→ランダムコイル過程を示すポリマーが見いだされたが, この楊合の光応答性は溶媒組成に依存していた. これらポリペプチドのらせんの向きと側鎖の誘起CDの符号との間には一般的関係は見いだされなかった.
  • 根岸 直樹, 常光 克明, 石原 一彦, 篠原 功, 岡野 光夫, 片岡 一則, 赤池 敏宏, 桜井 靖久
    1980 年 37 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    光感応性の高分子吸着体を設計するための基礎的知見を得る日的で, アゾ色素 (PPAn) やスピロピラン (ASP) を側鎖に有する高分子を合成し, そのフィルム上での水に対するぬれ測定から光によるフォトクロミックポリマーの疎水性変化を検討した. アゾ色素系高分子では紫外光照射によりぬれが増大し, 可視光照射または熱異性化によりぬれが元の値に回復した. この可逆的なぬれ変化は, アゾ色素がトランス体からシス体へ異性化することにより大きな双極子モーメントの変化が生じるためと考えられる. またPAAnと2-ヒドロキシエチルメタクリラートとの共重合体では, 光照射に伴うぬれの変化域が組成により異なることがわかった. スピロピラン系高分子でも光照射に伴いぬれが可逆的に変化した. この可逆的なぬれ変化はスピロピランの光イオン開裂に起因するものと考えられる.
  • 根岸 直樹, 常光 克明, 鈴木 享, 篠原 功
    1980 年 37 巻 4 号 p. 293-298
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高分子カルボン酸とアゾ色素からなるコンプレックス溶液の光による可逆的なpH変化と高分子の化学構造との関係を検討する目的で, 高分子カルボン酸としてアクリル酸 (AA) -アクリルアニリド (AAn), メタクリル酸 (MA) -メタクリルアニリド (MAn) あるいはMA-メタクリルアミド (MAm) 共重合体を合成した. MA共重合体水溶液にアニオン性のアゾ色素を添加すると低中和度領域でコンプレックスが形成され, 結合した色素の負電荷により系のpHが上昇した. AA-AAn共重合体系の場合には, 色素の添加により逆にpHが低下し, 中性塩を添加したときと同様の静電しゃへい (遮蔽) 効果を示した. MA共重合体からなるコンプレックス水溶液に光照射と光しゃ (遮) 断を交互に行うと, 色素の光異性化と熱異性化に対応して系のpHが可逆的に変化することがわかった. また, このような光pH変化の領域が, 共重合体の組成あるいはコモノマーの種類を変えることで規制できると結論した.
  • 中村 賢市郎, 鉛山 洋一, 木下 尭博
    1980 年 37 巻 4 号 p. 299-302
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリメタクリル酸クロリドを合成し, その電子ビーム照射特性を調べた. ポリマー鎖にハロゲン原子を導入した場合, 電子ビームの照射エネルギーの吸収率が電子密度の増大により上昇することが予想される. そのためポリメタクリル酸ハライドについて, ハロゲン原子の電子透過距離に及ぼす影響を考察した. また, Betheの式を使ってポリメタクリル酸クロリドの加速電圧と電子透過距離を算出し適性塗布膜厚を求めた. ポリメタクリル酸クロリドについて分子量分布, 現像特性, 画像特性から電子ビームに対するポリマーの適性を調べた.
  • 河合 和三郎
    1980 年 37 巻 4 号 p. 303-309
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    トリス (ビピリジン) ルテニウムジクロリド (I) およびトリス (ビピリジン) ルテニウムジシンナマート (II) が, 80%のエステル化度をもつポリビニルアルコールのケイ皮酸エステル膜に, キセノン照射による光橋かけまたは熱描かけにより固定化された. 錯体 (II) は錯体 (I) とケイ皮酸カリウムより合成し, NMRにより同定した. 熱橋かけで固定されたルテニウム錯体の高分子膜では, 600nmのリン光に対する励起スペクトルは, 水溶液中でのそれと, 極大励起波長が長波長側にシフトするが, よく似ていた. しかし, これらの膜を可視光で照射すると, 470または485nmの一重項-一重項励起による吸収が減じ, 新たに550nm付近に一重項-三重項によるとみられる励起吸収が現れ, リン光強度を著しく増大させた. これらの挙動は, いくつかの異なったルテニウム錯体固定化膜につき, はっきりと確認された.
  • 長村 利彦, 弓立 浩三, 有田 俊幸, 松尾 拓
    1980 年 37 巻 4 号 p. 311-318
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    光吸収および発光能をもつフェノキシ基をアルキル鎖のミつの異なる位置に有するモノアルキル四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を合成し, 水溶液中での集合特性および光化学反応への適用を検討した. これらの界面活性剤は水溶液中でミセルを形成する. フェノキシ基の位置は次のような効果を示した. フェノキシ基がミセル表面近くにあるほど, 1) CMCが減少, 2) ミセル中である程度配列しているフェノキシ基間の相互作用が減少, 3) ミセル内部に可溶化されたべリレンのN, N-ジメチルアニリンによる消光定数が増加した. N, N-ジメチルアニリン存在下でべリレンを光励起するとミセル界面の存在により有効な電荷分離が起こるが, その分離効率は通常のカチオン性ミセルよりフェノキシ基を有するミセルの方が優れている.
  • 山本 雅英, 矢野 誠, 西島 安則
    1980 年 37 巻 4 号 p. 319-326
    発行日: 1980/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル (PVC) と比較して, ポリ臭化ビニル (PVBr), ポリリョウ化ビニル (PVI), 臭化ビニル-塩化ビニル共重合体 [P (VBr-co-VC)], 塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体 [P (VDC-co-VC)], 臭化ビニリデン-塩化ビニル共重合体 [P (VDBr-co-VC)] の皮膜について光化学的ポリエン生成反応を研究した. PVBr, PVIは200nm, 260nmに吸収極大をもつ. PVBrおよびP (VBr-co-VC) は254nm励起により0.14の量子収率で短いポリエンを生成する. これは加熟により長いポリエンに成長する. この挙動はPVCと同様であるが, PVCに比べて容易に長いポリエンを生成する. 一軸延伸皮膜では強い二色性を示す皮膜が得られる. PVIの光励起ではI2とHIの生成を伴って短いポリエンを生成するが加熱によって長いポリエンには成長しない. P (VDC-co-VC), P (VDBr-co-VC) では短いポリエンは生成するが, -CX2- 単位がポリエンの成長を抑制するので長いポリエンは形成されない.
feedback
Top