溶液中の高分子の拡散定数を簡単な光学系で粘度よく測定するために, モアレ (moire) 光学系を試作し, 既に作製した拡散セルによって実験的に本装置の有用性を検討した. その原理は1インチに100本の等間隔な平行線をもつ格子G
1を水平にセルの前方に置き, これと直角にレーザー光線を当てるとG
1上の各平行線はセル中の濃度こう (勾) 配に比例して屈折率の大きい方へ変位し, セルの背後では線のピッチがガウス分布を示す平行直線群の像が得られる. この像にG
1と全く同じ格子G
2を少し傾けて重ねると, 両直線群の交点の軌跡としてSchlieren法と同じ拡散曲線が得られる. 本装置によると極めて容易にシャープな界面が得られ, しかも光源に単色光を用いているので非常に鮮明な拡散曲線が撮影でき, 更にG
2上の等間隔な平行線が拡散曲線の座標を決めるスケールになっているので解析が容易で, 得られた拡散定数の絶対値に関しては従来の精度を1けた (桁) 上げることができたと思われる.
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