本研究は, キトサンを限外炉過膜として利用するための基礎的知見を得る目的で, その製膜法を検討した. 製膜時に加える添加剤の種類, 量が膜の限外炉過速度, 溶質透過定数, 吸水率及び湿潤時の引張り強さ, 破断時の伸び率に及ぼす影響について検討した. その結果, 添加剤は平均分子量2,000のポリエチレングリコールをキトサン100部に対して75~100部加えるのが最適であった. これらの膜は, 引張り強さが240~190kg/cm
2で再生セルロース膜の約2倍, 限外炉過速度及びビタミンB
12の透過定数は各々7~14倍, 1.9~2.5倍であり, また, プルランP20 (M
w 20, 800) を97%阻止することから限外炉過膜として優れていることがわかった.
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