高固型分濃度のアルカリ増粘カルボキシル化高分子エマルションを得ることを目的とし, カルボキシル化高分子エマルションのアルカリ増粘性, 造膜性に及ぼす粒子中の橋かけ点の影響について検討した. 橋かけ点は, メタクリル酸 (A), メタクリル酸メチル (B), アクリル酸エチル (C) からなる系にジビニルベンゼン (D) を加えることにより導入された. A, B, C, Dを一括添加して乳化共重合した場合, アルカリ増粘性を抑制するに必要なD含有量のところで, 同時に造膜性も低下した. そこで, 二段階乳化重合法を用いてDを一括後添加し, 橋かけ点を粒子表面層に偏在させた. その結果, アルカリ増粘性が適度に抑制され, しかも造膜性良好なエマションが得られた. 更に, 重合初期からD濃度が徐々に増加するようなモノマー分割添加法を用いることはより効果的であり, アルカリ増粘エマルションの高固型分化の可能であることが明らかになった.
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