高分子論文集
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39 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 池田 能幸, 村上 慎次, 香西 保明
    1982 年 39 巻 7 号 p. 435-440
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウム (APS), アゾビスイソブチロニトリル (AIBN), 及びメタ過ヨウ素酸ナトリウム (SMP) を開始剤として, ∈-アクリロイルリジン (A-Lys) 並びに∈一メタクリロイルリジン (M-Lys) の水溶液重合を行い, 主として重合速度 (Rp) のpH依存性について検討した。得られた主結果は次のとおりである. (1) RpのpH依存性は, モノマー種並びに開始剤種の影響が大きく, 全く異なる様相を示した. (2) APSを用いた場合, RpはA-Lysの濃度に関して, 酸性領域で1次, アルカリ領域では1.5次に比例した. M-Lysでは全pH域で1次に比例した. また, AIBNあるいはSMPを用いると, 両モノマーともpHに関係なく, 前者では1次, 後者では1.5次に比例した. (3) 開始剤濃度に関しては, pHに関係なくすべて0.5次に比例した. これらの結果より, A-Lys, M-Lysの重合反応について考察した.
  • 甲斐 丘, 梶山 千里, 高柳 素夫
    1982 年 39 巻 7 号 p. 441-448
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (p-ベンズアミド) (PBA) とナイロン6 (Ny6) ブレンド物を, 共通溶媒である濃硫酸から共沈により調製した. ブレンドのバルク試料につきディラトメトリーによる結晶化過程を測定し, Avrami式により解析した. Ny6のみの等温結晶化ではAwami指数は4であったが, ブレンド物ではAvrami指数は15~2.0でありNy6の結晶化はPBAの存在により促進された. Ny6成分のみでは偏光顕微鏡観察下で球晶が観察されたが, ブレンド物では球晶は観察されず局所的に配向した微細組織が観察された. 電子顕微鏡による破断面及びNy6の抽出残渣の観察より, PBAはNy6マトリックス中に直径10~30nmのミクロフィブリル状に分散していることが確認された. PBAがNy6の結晶化に対し造核剤となることは, 更にミクロフィブリル状のPBAの表面からNy6のフィブリル状結晶が成長している電子顕微鏡写真からも支持された. モルホルジーの影響は粘弾性緩和曲線の主分散の広幅化にも見られた.
  • 山口 豊
    1982 年 39 巻 7 号 p. 449-454
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    橋かけポリエチレン発泡体を難燃化する方法として, 発泡体表面に, 難燃剤混合ポリエチレンフィルムを積層する方法を考案し, この方法による難燃化の挙動について, 燃焼試験法ASTM D1692-59Tに基づいて検討を行った. 難燃化フィルムの積層により発泡体の難燃化は可能であるが, 片面のみの積層では, 燃焼状態に依存して効果に大きな差が現れる. 燃焼ガスと難燃剤分解ガスとの接触が十分に行われる状態では, 難燃化効果は大きい. 発泡体の難燃度 (燃焼距離) とフィルムに含まれる難燃剤ハロゲン量との関係は, ハロゲン量を発泡体重量を基準にして表現したとき, 発泡体の厚みや発泡倍率に関係なく, 単純な曲線で表すことができる. これらの関係から, フィルム積層法による発泡体の難燃化は, 練込法と同様の取扱いができる. ただし, 練込法に比べるとやや効果が劣る.
  • 佐熊 範和, 木村 隆夫, 浜島 求女
    1982 年 39 巻 7 号 p. 455-459
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    連鎖移動剤に1, 1, 1-トリクロロエタンを用いて合成したMMAオリゴマー (OMMA) のアルカリ加水分解を行い, 反応時間, 触媒 (KOH) 濃度, 及び溶媒の影響を調べた. 加水分解率はエステル価から求めた. 0.5N KOH-エタノール溶液中48時間の還流条件下で, 数平均分子量 (Mn) 240のOMMAは100%加水分解するのに反し, 同重合系で得たMn=1.14×105のMMAポリマーは約15%であった. 加水分解速度はKOH濃度の1次に比例し, 70℃における速度定数は重合度の低下に伴い増加した. THF-エタノール系では, THF濃度が60vol%を越えると加水分解は重合度に関係なく進行することがわかった. また加水分解物をメチルエステル化してGPCで分子量を測定した結果, 今回の反応条件では主鎖の切断などの副反応は起こらないことが確認できた。
  • 井上 和人, 片山 将道, 今井 淑夫
    1982 年 39 巻 7 号 p. 461-465
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (4, 4′-スチルベンテレフタルアミド) (PST) のメダンスルホン酸溶液の特性を調べ, これに基づいて湿式紡糸により, PST繊維を得る方法について検討を行った. PSTの0.5~3%メタンスルホン酸溶液は経時的に溶液粘度の著しい増加を示し, 次いでゲル化した. このゲルは, 最終的には光学異方性の濃厚相と等方性の希薄相とに相分離した. このPST溶液を20℃の水中に湿式紡糸して得られるゲル状繊維を空気中に引き出し, 更に凝固を進めると20~30dの繊度を有する繊維が得られる. 熱処理糸の破断強度は2.8g/d, 伸度は2%, 並びに初期弾性率は160g/dである. 紡糸の過程において, PSTの自発的な凝集と配向が起こるため, うすい紡糸原液濃度であるにもかかわらず, 容易に繊維が得られると考えられる.
  • 原 薫, 赤真 正人, 篠原 功, 高松 俊昭
    1982 年 39 巻 7 号 p. 467-471
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    コロナ荷電したスチレン-プロピレンオキシド (St-PO) 交互ブロック共重合体の表面電荷減衰及び熱刺激電流 (TSDC) を調べた. 共重合体の表面電荷は, PO組成が0.22以下の場合, 初期に急速に減衰し, その後安定化した. その電荷の緩和時間は, ポリスチレンの緩和時間より著しく大きかった. 初期の減衰は, スチレン相を経た電荷の移動と共重合体界面の不純物イオンの移動による界面分極の生起によるものと考えられる. 後期の過程は, 注入電荷の一部が共重合体界面にトラップされ, 安定化されたことによるものと推測される. TSDCのピークは, 共重合体のガラス転移温度 (Tg) と液相-液相転移温度 (Tρ) の温度域に現れた. PO組成の増加に伴いピークは低温にシフトし, かつTgとTρの差が小さくなった. Tgに現れるピークは, 共重合体連鎖のミクロブラウン運動により遊離した電荷の移動によると考えられる. Tρのピークは, 交互ブロック共重合体のミクロ相分離構造の境界領域にトラップされた電荷の脱分極によると考えられる.
  • 中村 吉伸, 大久保 政芳, 松本 恒隆
    1982 年 39 巻 7 号 p. 473-479
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アクリル酸-スチレン共重合体エマルションの作製において, エマルション粒子表面層にカルボキシル基をいかに効率良く分布させるかについて検討し, 次の結果を得た. メチルイソブチルケトン存在下でのアクリル酸-スチレン乳化共重合では, 一般に水相に多量生成されるポリアクリル酸 (水溶性のアクリル酸-スチレン共重合体も含む) 量は減少し, 粒子表面層中に存在するカルボキシル基も減少した. このエマルションのpHを上昇させて水蒸気蒸留を行い, メチルイソブチルケトンを除去することにより, 粒子内部のカルボキシル基を粒子表面層に多量移行させうることを明らかにした.
  • 藤原 秀樹, 後藤 邦夫
    1982 年 39 巻 7 号 p. 481-485
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    超音波照射によるアセチルアセトンアルミニウム共存下でのスチレン (M1) とメタクリル酸メチル (M2) の共重合反応について検討した. その結果, この系の反応が典型的なラジカル共重合で進行すること, また, 開始反応に寄与するのは, アセチルアセトンアルミニウムとスチレンのみから生成してきた一次ラジカルであることが見いだされた. そして, アセチルアセトンアルミニウム, スチレン, 及びメタクリル酸メチル初濃度がそれぞれ3.08×10-3mOll-1, 6.91moll-1, 及び1.83mol l-1の反応系におけるその開始速度R1は, 1.94×10-8mol l-1 s-1で示された. なお, モノマー反応性比r1とr2は, それぞれ0.366と0.394で, r1r2の値は, 0.144であった.
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