高分子論文集
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39 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 福島 修, 斎藤 吉民
    1982 年 39 巻 9 号 p. 535-542
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    人工皮革に使われているポリウレタンを水及びアルコールで凝固する場合の凝固挙動を検討した. ポリウレタンの凝固性は化学構造で異なる. 水に対する凝固はソフトセグメント部分のポリマーグリコールの凝固性に対応し, ポリエチレンエーテルグリコールは水溶性で, そのポリウレタンの凝固価は大きい. またポリテトラメチレンエーテルグリコールの凝固価は小さく, そのポリウレタン (PTGとする) の凝固価も小さい. ポリエステル系ポリマーグリコールの凝固価は両ポリマーグリコールの間にあり, そのポリウレタンの凝固価も両ポリウレタンの間にあった. またPTGは凝固過程で粘度増大が見られた. アルコールに対する凝固は, ポリマーグリコールが可溶であることもあり, 水より大きい凝固価である. 一般に凝固価はメタノール>エタノール>プロパノール>ブタノール>t-ブチルアルコールの順で, 凝固価はハードセグメントの増加に伴って小さくなる.
  • 福島 修, 斎藤 吉民
    1982 年 39 巻 9 号 p. 543-548
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリウレタン (PU) のジメチルホルムアミド (DMF) 溶液を水中で凝固し, 凝固条件とスポンジ構造の関係を検討した. 形成したスポンジ構造は五つの型に分類される. すなわち, 微細スポンジ (A), 微細スポンジと巨大スポンジの混在した構造 (B), 細長いスポンジ (C), 緻密なスポンジ (D) 及び巨大スポンジ (E) である. 微細スポンジ構造はPU溶液をDMFを多量含む水溶液か, 高温で凝固して得られる. 緩慢凝固の場合に微細スポンジ構造が形成したのは表面にスキンがないためと考えられる. 細長いスポンジ及び巨大スポンジはPU溶液を水中または低濃度のDMF溶液中で凝固して得られる. 低凝固価のPUの場合, 急速凝固で表面に形成した緻密気孔のスキンによって凝固液中への溶剤の拡散が抑制されて巨大スポンジが層内に形成したと考えられる.
  • 八尋 信英, 浅川 一雄, 坪山 薫
    1982 年 39 巻 9 号 p. 549-555
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アミノ酸型両性電解質ポリマー, ポリ- (R) -2 (エチルアジリジノ酢酸 ((R) -PEAA), ポリ- (S) -2-エチルアジリジノ酢酸 ((S) -PEAA) を触媒とした光学活性基質 (ベンジルオキシカルボニル- (D or L) -フェニルアラニンp-ニトロフェニルエステル, ベンジルオキシカルボニル- (D or L) -バリンp-ニトロフェニルエステル) の加水分解反応を30℃, アセトニトリル-水系で行ったところ, この反応は基質飽和曲線をとり, Michaelis-Menten型の反応機構をとった. また (R) -PEAAの触媒活性はL-基質に対して選択的に作用した. このことから (S) -PEAAを触媒とするならば, D-基質に対して特異的に作用すると予測された. そこで, (R) -PEAAを用いたときと同一条件下で加水分解を行ったところ先に予測したように, (S) -PEAAはD-基質に選択性を示した.
  • 村上 惇, 吉識 忠継, 越智 光一, 新保 正樹
    1982 年 39 巻 9 号 p. 557-561
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビスフェノール型エポキシ樹脂をメチレン鎖長の異なる4種類の脂肪族α, ω-ジアミン硬化剤 (EDA, TMDA, HMDA, DDMDA) で硬化した硬化物のバルク平面曲げ疲労強度と硬化物の内部構造との関係について検討した. メチレン鎖長の短い硬化剤で硬化したものほど高い橋かけ密度を示した. 硬化物の橋かけ密度が高くなると静曲げ強度が高くなり, それに対応してバルク疲労強度も増大した. 一方各硬化物の耐久比 (疲労強度/静曲げ強度) は0.10~0.14の値を示し, 橋かけ密度の低い硬化物ほど耐久比が高くなる傾向が見られた. これは橋かけ密度の低い硬化物ほど高い破壊エネルギー, 破壊じん性を示すことと相関するものと考えられる. 橋かけ密度の増大はクラックの広がりにくさには負の効果として働く傾向があるが, 脂肪族α, ω-ジアミンで硬化したエポキシ樹脂では, 静曲げ強度を高める因子である橋かけ密度はバルク平面曲げ疲労強度を高める主要因子となることが明らかにされた.
  • 沼田 俊一, 金城 徳幸
    1982 年 39 巻 9 号 p. 563-569
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    芳香族イソシアナート, 芳香族エポキシ及び脂肪族エポキシの3成分系ワニスは, 硬化前には透明だが, 硬化触媒の存在下で硬化すると不透明な硬い樹脂になる. 走査型電子顕微鏡 (SEM) で観察した結果, この硬化物は, 微粒子がランダムに分散した, いわゆるミクロ相分離構造を有することが明らかになった. 粒子相の大きさは, エポキシ成分中の芳香族と脂肪族のものとの比によって変化し, ある配合比において相反転の現象がみられる. 熱膨張係数や粘弾性などの物性は, このような物理的な構造性によって大幅に変化する. 熱膨張係数は, 相反転領域で急激に変化した. 粘弾性挙動は, ゴム変性プラスチックにみられる典形的なパターンを示した. 軟質相は, 主にイソシアナートと脂肪族エポキシよりなり, 硬質相は, イソシアナートと芳香族エポキシよりなる硬化物であろうと推察した.
  • 及川 栄藏, 本田 由治
    1982 年 39 巻 9 号 p. 571-577
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    4-ビニルピリジン (4VP) と2, 4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン (DAVT) の共重合体にCoCl2を配位結合させた逆浸透膜の性質を共重合体組成, 製膜条件, 供給液温とpH及び印加圧を変化させて検討した. 排除率 (R), 透過パラメーター, 機械的強度および含水率の結果から, 4VPが約60~65mol%でCoCl2を4VPに対し3~4mol%添加して80℃, 2~3時間乾燥した膜が最も良好な性能を示すことが判明した. 逆浸透中DAVTの強い親水性に起因して膜厚の増加がみられ, NaClの排除ではRは徐々に減少したがCoCl2の排除ではRの変動は小さかった. 配位したCoCl2は酸性供給液により一部溶出したがpH 6の水及びNaCl水ではRに影響を与えなかった. 透過パラメーターから配位膜のCoCl2添加率依存性や膜のイオン的性格などが推論できた.
  • 池田 能幸, 山本 博正, 香西 保明
    1982 年 39 巻 9 号 p. 579-581
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ε-アクリロイルリジンとN, N′-メチレンビスアクリルアミドとを共重合させてキレート樹脂を合成し, その金属イオン吸着性について検討した. その結果, 吸着性は鋭敏なpH依存性を示した. また, Cu2+とNi2+およびCu2+とHg2+との分離を試みたところ, ほぼ完全に達成された.
  • 鹿島 俊弘, 江藤 国臣
    1982 年 39 巻 9 号 p. 583-586
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタラート (PET) を基調とし, これにセバシン酸, ドデカンジオン酸, イソフタル酸などの酸及びネオペンチルグリコールを共重合したポリエステルについて蒸気圧浸透圧法, 末端基数及び極限粘度 ([η]) を測定し, 分子量- [η] の関係式を求めた. 共重合成分が脂肪酸及びエチレングリコール以外のグリコール類のものでは, PETに関する粘度式より背異するが, イソフタル酸を共重合成分とする場合にはPETの粘度式に極めて類似することを見いだした.
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