高分子論文集
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40 巻, 3 号
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  • 藤村 保夫, 酒井 五十治, 中前 勝彦, 松本 恒隆
    1983 年 40 巻 3 号 p. 127-134
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸あるいはアクリル酸モノマーのメタノール溶液に未水和セメント粉未を添加すると, 系全体が速やかにゲル化し, モノマー-セメント複合体が生成する. このモノマー-セメント複合体での高線量率電子線照射固相重合を試み, 以下の結果を得た. アクリル酸ーセメント複合体では, 電子線照射同時重合によって容易に重合が起こった. 一方, メタクリル酸ーセメント複合体では, 照射温度, 線量率, 線量などの条件を変化させても同時重合は困難であった. しかし, あらかじめ電子線を照射したメタクリル酸-セメント複合体では, 100℃で30日間放置することによって約50%の重合率が得られた. また, メタクリル酸-セメント複合体においては, 単結晶と異なり, 結晶構造の乱れあるいは結晶化度の低さなどにより, 重合性が低いことを明らかにした.
  • 聞 建勲, 高松 俊昭
    1983 年 40 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    フッ化ビニリデン (84mol%) と四フッ化エチレン (16mol%) よりなる共重合体フィルムを種々の温度, 電圧及び時間を変えて分極しながら冷却した後, 昇温速度 (β) 0.37~15℃/minの範囲で一定に保ち, -170℃から150℃の温度域で熱刺激脱分極電流 (TSDC) を測定した. また分極済みフィルムの焦電率を測定した. 60℃で分極し, βが2.8℃/minの下で昇温した時のTSDCは-110゜, -45゜, 60℃及び135℃付近でピークが現れた. -110℃のピークはポリマーのローカルモードに対応し, -45℃のピークはガラス転移温度における無定形域での配向双極子の緩和によって生ずる. 60℃のピークは分極温度で変位しトラップされた空間電荷の緩和で生じ, 135℃付近のピークは結晶の融点に一致し結晶内の配向双極子の乱れと結晶界面にトラップされた電荷の遊離によって生ずるものと考えられる. 分極済みフィルムを-150゜~+70℃の温度域で昇温, 降温を繰り返すと可逆的な焦電流が現れ, その起因が結晶内の配向双極子密度の変化で生ずるのであろう.
  • 芹田 元, 村井 幸一, 木村 誓
    1983 年 40 巻 3 号 p. 143-149
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    グラフト両性高分子電解質をポリ-4-ビニルピリジンとβ-プロピオラクトンから合成した. 5%カオリン懸濁液に対する凝集能を沈降速度, 沈降容積, そして濁度を測定することにより, ポリマーの構造との関連において研究した. 得られた結果は次のとおりである. 1) 5%カオリン懸濁液にっいての最適添加濃度は10~20μg/lであった. 2) 凝集作用についての最適グラフト率は0.7付近に存在した. 3) 凝集作用に関しての最適置換率 (イオン化率) は0.6であった. 4) グラフト鎖長の増加に伴って, 凝集作用も増加した. 5) 凝集作用についての最適のpH値は, 約5~9の領域であった. 6) 凝集効果は幹ポリマーの分子量が増加するにつれて増加した. 7) 最も良好な凝集効果は, カオリン粒子の等電点が示すpHの値のところで得られた.
  • 増原 英一, 小島 克則, 門磨 義則
    1983 年 40 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    口腔内において長期間にわたってフッ素イオンを徐々に放出させ, 歯のエナメル質をフッ素化し抗う蝕性を向上させる材料として, メタクリル酸フッ化物 (MF) -メタクリル酸メチル (MMA) コポリマーを検討した. モノマー仕込み組成の異なる5種類のMF-MMAコポリマーをベンゼン溶液中での共重合により合成した. MF-MMAコポリマー単独のフィルムあるいはポリメタクリル酸メチル (PMMA) とのブレンドポリマーからなるフィルムを用いて, これを0.2Mのリン酸緩衝液中 (pH7) に浸漬した場合のフィルムからのフッ素イオン放出速度及び引張強度の経時的変化を調べた. MF-MMAコポリマーフィルムに比して, ブレンドポリマーフィルムではポリマー中のフッ素含有率に対するフッ素イオン放出速度は大きく, 加水分解に伴って酸無水物が生成していることがIRスペクトルで認められた. 更に常温硬化時間に及ぼすMFの影響を検討したが, MF-MMAコポリマーが歯科材料として実用性のあることが認められた.
  • 井上 和人, 今井 淑夫
    1983 年 40 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    3, 4, -ジアミノビベンジル, 3, 4′-ジアミノスチルベン, 並びに3, 4′-ジアミノトランとイソフタル酸, テレフタル酸クロリドとからジメチルアセトアミド (DMAc) 中, 低温溶液重縮合反応により, 対数粘度0.5~1.0の芳香族ポリアミドを合成した. 一方, これらのジアミンとピロメリト酸ジ無水物とから, DMAc中での開環重付加反応と引続く加熱脱水閉環反応により, ポリイミドを合成した. 得られたすべてのポリマーは非晶性であった. ポリイソフタルアミドはDMAcなどのアミド系溶媒, ジメチルスルポキシド, ピリジン, 並びにm-クレゾールに易溶であり, ポリテレフタルアミドは5%の塩化リチウムを含むDMAcに可溶であった. 示差熱分析, 熱重量測定, 及び熱機械分析によると, これらの芳香族ポリマーは350℃またはそれ以上まで熱的に安定であり, その熱安定性は窒素中, 空気中とも次の構造の順に増大することが明らかになった. 3, 4′-ビベンジル構造を含むポリマー<3, 4′-スチルベン構造を含むポリマー<3, 4′-トラン構造を含むポリマー.
  • 今井 淑夫, 鎌田 浩史
    1983 年 40 巻 3 号 p. 165-168
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ベンゼンスルホンアミドとα, α′-ジクロロ-p-キシレンの重縮合を相間移動触媒の存在下に有機溶媒-50wt%水酸化ナトリウム水溶液二相系で行い, 固有粘度が0.23dl/gまでのポリ [(フェニルスルポニルイミノ) メチレン-1, 4-フェニレンメチレン] を得た. このポリマーはDMF, ピリジン, ニトロベンゼン, クロロホルムなどの広範囲の溶媒に容易に溶解し, その分解温度はおよそ290℃である. この重縮合における触媒, 溶媒, 触媒量, 温度, 時間の影響についても検討を加えた.
  • 山田 純男, 仲川 勤, 浜谷 健生
    1983 年 40 巻 3 号 p. 169-172
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン皮膜の気体透過性に及ぼす紫外線照射における照射雰囲気 (真空中と酸素中) と照射光源の分光エネルギー分布の影響について検討した. ポリスチレン皮膜は紫外線照射によって, H2, He, CO2, O2, ArとN2の透過係数が減少したが, その減少の割合は真空中照射では小さく, 酸素中照射では顕著であった. 紫外線光源の相違による透過係数への照射効果は光源の光強度よりも分光エネルギー分布により多く依存することが明らかになった. 気体透過係数への紫外線の低減効果は, 253.7nmの分光エネルギーをもつ低圧水銀灯方が, 310と365nmにエネルギーピークをもつ高圧水銀灯より大きいことがわかった. 照射によるゲル含有率はいずれの場合もほぼ10%で飽和値に達した. 酸素中でポリスチレン皮膜を紫外線照射すると, 水素とヘリウムの透過係数の大きさの順位が逆転することが明らかにされた.
  • 芦田 孝雄, 藤井 健史, 縄田 清, 栗原 修
    1983 年 40 巻 3 号 p. 173-176
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2-メチルテレフタル酸 (MTA) とアルキレンジアミンからのポリアミドについて検討した. ナイロン66と同様の2段階法で重合を行うと, 後期重合段階でゲル化が起こる. 安定剤として還元性リンオキシ酸及びその誘導体を添加するとゲル化が抑制できた. 還元性リンオキシ酸化合物と未端封鎖剤として脂肪酸ジカルボン酸を添加して重合すると, 溶融安定性の良い, 所定重合度のポリマーが再現性良く得られる. MTAとヘキサメチレンジアミンからのポリマーは融点: 295.5℃, 溶融紡糸性は良好であり, 延伸して得られた糸は, 中程度のヤング率 (820kg/mm2) を持ち, 寸法安定性が良く, 衣料用繊維として適している.
  • 今井 淑夫, 上田 充, 中津川 雅彦, 小松 正暢
    1983 年 40 巻 3 号 p. 177-179
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    活性芳香族ジハライドとジチオールの重縮合を, KFの存在下に非プロトン性極性溶媒中で加熱することにより行い, 固有粘度が0.37dl/gまでのポリスルフィドを得た. この反応におけるKFの役割, 溶媒効果, 芳香族ジハライドの構造の影響について議論した.
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