アクリロニトリル/酢酸ビニル共重合体 (93/7重量比) をSO
2/過硫酸力リウム (KPS) 系レドックス開始剤を用い水系連続重合により製造する方法において, 水/モノマ-比, SO
2/KPS比と重合挙動, ポリマー特性の関係を調べた結果, 水/モノマー比の減少に従い生成スラリーの濾過性脱水性の向上とポリマーかさ密度の増加, 更にポリマー粒子構造の緻密化が認められた. また粒子が緻密な構造に変化する理由につき推論した. SO
2/KPS比の減少に従い, 生成スラリーの脱水性向上とポリマーかさ密度の増加が認められ, 同一水/モノマ-比ではスラリー脱水性とポリマーがさ密度は重合系のイオン強度と密接な関係にあることが認められた.
繊維形成用重合体としてAN/VA共重合体 (93/7重量比) をSO
2/KPS系開始剤を使用して水系連続重合する方法について重合条件として水比とSO
2/KPS比に着目し, 重合挙動と主にポリマーの物理特性の関係を実験的に検討結果, 以下のことが分かった. (1) 水比を4.0より1.5の範囲で減少するに従い (a) 重合率の増加 (b) 生成スラリーの濾過脱水性の向上及び (c) ポリマーかさ密度の増加が認められたが, スラリーの見掛けの粘性は1.8から2近辺で急激に低下し2~4の範囲ではほとんど一定であった. (2) 水比減少によるスラリー脱水性の向上とポリマーかさ密度の増加は主にポリマー粒子の緻密化によるものと考えられる. またポリマーかさ密度の増加はポリマー粒子の球形化もある程度寄与していると考えられる. (3) ポリマー粒子は粒径0.1~0.2μmの一次粒子の凝集してできた粒径1~4μm程度の二次粒子の凝集したものであり, 水比減少と共に二次粒子径減少と二次粒子の凝集が見られ, ポリマー粒子の緻密化はこの二次粒子径減少と二次粒子の凝集性増加が関与していると考えられる. (4) SO
2/KPSモル比を10より4.3まで減少するに従いスラリーの見掛けの粘性低下, スラリー脱水性向上, ポリマーかさ密度増加の傾向が認められたが, 主にポリマー粒子の緻密化によるものと考えられる. (5) 同一水比では脱水ポリマー水分率, ポリマーかさ密度は重合系イオン強度と密接に関係している.
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