高分子論文集
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40 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山本 浩之, 羽野 千秋
    1983 年 40 巻 7 号 p. 405-409
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリアミノ酸の側鎖鎖長とコンホメーションの関連を調べる目的でポリ (L-リシン) のω-アミノ基にエチル基を導入した高分子量ポリ (Nε-エチル-L-リシン) (PELL) をN-カルボン酸無水物法で合成した。pH, 溶媒及び温度を変えた旋光分散と円偏光二色性 (CD) 測定の結果から, 炭化水素鎖の総数が増しているにもかかわらず, Nε-とアルキル基はα-ヘリックス構造を巻きにくくすることが認められた. PELLは50℃, 25分間加熱するとほぼ完全にβ-構造へ転移し, またアゾ色素との相互作用による誘起CDを可視部に示した. 得られた結果をポリ (L-リシン) の結果と比較検討した.
  • 紀藤 信哉, 三宅 幹雄, 林 聡, 栗田 恵輔
    1983 年 40 巻 7 号 p. 411-415
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    歯質に対する接着性とモノマー構造の関連を明らかにし, 優れた歯科用接着剤の開発をめざして, カルボキシル基とフェニル基を有する12種のメタクリルアミド類を合成しエナメル質に対する接着強度を測定した. これらモノマーの接着強度は経時変化もなく, 100kg/cm2以上の高い接着性を示し, 優れた接着剤であることが確認された. また, グリシジルメタクリラート系のモノマーと異って, 分子内におけるカルボキシル基やフェニル基の結合のしかたが, 接着性にあまり影響を与えないことが判明した.
  • 太田 和子, 加藤 晋一, 河原 一男
    1983 年 40 巻 7 号 p. 417-423
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    デキストランの超音波による分解について研究を行った. 分子量数千万の超高分子量物及び10.6×104の分別物の溶液に, 種々の条件で超音波を照射し, 溶液粘度の測定により分解挙動を検討した. 適当な条件下での分解生成物について極限粘度測定とゲル炉過を行い, 分子量及び分子量分布を求めた. 分子量分布を実測した範囲内では, 分解は見掛け上1次反応となり, 見掛けの分解速度定数は, 分子量4×104以上では分子量減少に伴い直線的に, 分子量3×104以下では曲線的に減少し, 分解速度定数が0となる分子量は約7×103となった. これらの結果より, デキストランの超音波による分解はnon-randomであり, 分解限界の分子量が7×103前後であると考えられる. 以上の結果はBasedowらの結果とほぼ一致している. また分子量106以上の高分子量デキストランは分解が非常に速く, 中間分子量物とは分解の機構に差があると思われる.
  • 飯沢 孝司, 西久保 忠臣, 植村 昇一, 角田 和生, 高橋 栄治, 長谷川 正木
    1983 年 40 巻 7 号 p. 425-432
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    クロロメチルスチレンと増感剤基を有するモノマー類とのラジカル共重合によリ側鎖に反応性のクロロメチル基と増感剤基を有する高分子増感剤類を合成した. 非プロトン性極性溶媒中, 相間移動触媒を用いて, 得られたポリマーと感光性のカルボン酸塩類及びナトリウムアジドとの置換反応により, それぞれ側鎖に感光性基と増感剤基を有する感光性樹脂を合成した. 得られたポリマー類の光反応より, 感光性基としてケイ皮酸エステル型側鎖と増感剤基としてp-ニトロアニリノカルボニル基, 4-ニトロ-1-ナフチルアミノカルボニル基, ベンゾイルフェニル基, 1-ベンゾイルベンジルオキシ基を有するポリマーは優れた自己増感型の感光性樹脂であることが判明した. 更に, 側鎖のアルキルアジド型側鎖の光分解反応やクロトン酸エステルの光反応も上述の増感剤基により促進されることが判明した.
  • 新保 正樹, 藤本 健次
    1983 年 40 巻 7 号 p. 433-440
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビスフェノール型エポキシ樹脂が, 促進剤サリチル酸の添加または無添加の下に, 脂肪族α, ω-ジアミンH2N (CH2) m′NH2 (m′=2, 4, 6, 12) によって硬化され, 更にアミン型触媒によっても硬化された. 系の力学的性質と網目構造を動力学的性質, ゲル量及び官能基の変化から追求した. 生成物は触媒硬化系がエーテル網日, ジアミンを用いた促進系はアミン網目, 非促進系は両者が混在すると考えられる網日を与えた. この硬化系の引張強さと破壊伸びは網目鎖濃度に依存し, ガラス転移温度は網目構造と網日鎖濃度に依存した, これら硬化物のモデル構造が官能基の反応率と橋かけ密度から推定された.
  • 平山 忠一, 山口 一記, 松本 和秋, 本里 義明
    1983 年 40 巻 7 号 p. 441-447
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N, N-ジメチルアクリルアミドとN, N′-メチレンビスアクリルアミドを安定剤を含む硫酸ナトリウム水溶液中で懸濁共重合して親水性でかつ親有機溶媒性のゲル粒子を得た. 排除限界分子量は重合時に加えられる橋かけ剤量の減少及び希釈剤量の増加とともに増加し, その最高値は88000であった. カラム中の水をメタノールで置換した後, 溶出溶媒としてメタノール, 試料としてポリエチレングリコールを用いてゲルクロマトグラフィーを行った結果, その較正曲線は水溶媒のそれと同じであった. 電導度滴定によれば, ゲル中に酸性基は含まれていない. これらのゲルは5wt%硫酸ナトリウム水溶液中で収縮しない. 以上の結果, これらのゲルは水, 塩水溶液, 有機溶媒を溶出溶媒としたゲルクロマトグラフィーに有用である.
  • 大久保 政芳, 亀井 茂, 森 健二郎, 松本 恒隆
    1983 年 40 巻 7 号 p. 449-456
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無乳化剤乳化重合法で作製されたクリーンな表面を有する4種のポリマーマイクロスフィア (ポリスチレン, ポリメタクリル酸メチル, ポリアクリル酸メチル, 及びスチレン-メタクリル酸2-ヒドロオキシエチル共重合体) をそれぞれトリプシン吸着担体とし, 担体の表面性質, 特に表面親水度が吸着性及び吸着トリプシンの酵素活性に及ぼす影響について検討した. 吸着等温線は2段階曲線となり, ポリマー表面が疎水性であるほどトリプシン分子の吸着性は増大した. 吸着トリプシンの比活性は吸着量によって異なったが, ポリマー表面が親水性であるほどトリプシン分子は高活性を保持したままで吸着し, しかも熱や変性剤に対する安定性も良好であった. また, 親水性成分と疎水性成分との共重合体では, 高吸着性と同時に低吸着量でも高活性を有するという興味深い結果を得た.
  • 日比 貞雄, 前田 松夫, 平田 慎治, 林 拓巳, 山名 崇弘
    1983 年 40 巻 7 号 p. 457-466
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    ロール延伸高密度ポリエチレンフィルムを, そのロール軸と異なった方向に再延伸する場合に現れる局所変形の発生原因を弾塑性構成方程式を仮定した有限要素法解析で調査した. 有限要素法解析から推察される結果と再延伸前に試料に描いた格子線の実際の変形を偏光下で写真撮影し比較した. 局所変形は試料の弾性及び塑性異方性と試料両端固定クランプに原因することが判明した. 試料の再延伸方向への変形の依存性は, 試料面で延伸軸x1′及び垂直な方向x2′としたときの弾性コンプライアンスS′16及び塑性係数F'16で決定されるShear coupling効果の変化により定められる. S′16及びF′16ともロール方向と延伸方向とのなす角βを0°から90°へ変化させると最大, 最小を持つ曲線を示す. 局所変形はその二つの点の方向で延伸するとき明確に現れ, X線回折写真によれは, キンクバンドが最大値でなく, 最小位置に現れることを示している.
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