デキストランの超音波による分解について研究を行った. 分子量数千万の超高分子量物及び10.6×10
4の分別物の溶液に, 種々の条件で超音波を照射し, 溶液粘度の測定により分解挙動を検討した. 適当な条件下での分解生成物について極限粘度測定とゲル炉過を行い, 分子量及び分子量分布を求めた. 分子量分布を実測した範囲内では, 分解は見掛け上1次反応となり, 見掛けの分解速度定数は, 分子量4×10
4以上では分子量減少に伴い直線的に, 分子量3×10
4以下では曲線的に減少し, 分解速度定数が0となる分子量は約7×10
3となった. これらの結果より, デキストランの超音波による分解はnon-randomであり, 分解限界の分子量が7×10
3前後であると考えられる. 以上の結果はBasedowらの結果とほぼ一致している. また分子量10
6以上の高分子量デキストランは分解が非常に速く, 中間分子量物とは分解の機構に差があると思われる.
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