磁性塗料のモデルパインダーとして, 部分スルホン化ポリスチレン (PS-S) を合成し, このバインダーのγ-Fe
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3への吸着形態とγ-Fe
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3粒子の分散安定性との関係について研究し, 次の結果を得た. ポリスチレンγFe
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3とまったく相互作用を示さず, この溶液中ではγ-Fe
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3は分散しなかつた。PS-Sにアンカーグループとしてのスルホン酸基含有量が多くなると, γ-Fe
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3への飽和吸着量が増加し, γ-Fe
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3がよく分散するようになった. しかし, スルホン酸基含有量が1.0mol%以上になると, 飽和吸着量は一定値を示すようになり, γ-Fe
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3の分散性は逆に低下した. スルホン酸基含有量の変化によるPS-Sの吸着形態の違いを界面張力及び接触角のモデル実験より明らかにし, 上記の磁性粒子の分散挙動をPS-Sの吸着形態から説明した.
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