高分子論文集
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41 巻, 5 号
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  • 上田 充, 河原崎 直己, 武田 匡弘
    1984 年 41 巻 5 号 p. 261-265
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    縮合試薬として塩化チオニル (I) を用い, 安息香酸 (II) とアニリン (III) との反応をN-メチルビロリドン (NMP), ヘキサメチルボスホルアミド (HMPA) またはNMPとピリジンとの混合物中で行ったところ, ベンズアニリド (IV) が短時間で高収率で得られることがわかった. この知見をもとにして, イソフタル酸 (Va) と芳香族ジアミン (VI) の直接重縮合反応について検討した結果, 上記と同じ溶媒中で対数密度0.77dl・g-1までの, さらにピリジンを溶媒として用い, 重合中に塩化リチウムのようなアルカリハライドを添加することにより, 対数粘度0.9dl・g-1までのポリアミド (VII) を得ることができた. また脂肪族ジカルボン酸 (V) と芳香族ジアミン (VI) の組合せからもHMPAを溶媒として用いることにより比較的高分子量のポリアミドを得た.
  • 黒瀬 彰男, 白井 江芳, 清水 滉, 北条 舒正
    1984 年 41 巻 5 号 p. 267-272
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    種々の二価金属イオンと高リン酸化ポリビニルアルコール (以下phos. PVAと略す) による高分子金属錯体を合成し, TGA (熱重量分析) と, DTA (示差熱分析) の測定を行った. これらの錯体フィルムの700℃における残存量は, Ni (II) >Zn (II) >Co (II) >Cu (II) >Mn (II) の順になった. 中でも, Ni (II) -phos. PVA錯体系は, 1000℃で, 73.8%という最も商い残存量を示した. この結果は, Lyonsが以前報告した, リン酸→メタリン酸→ポリメタリン酸と順次反応するメカニズムと同様の反応が, 進行していると考えられる. この過程でmetalが関与し, PVAの炭化を促進しているものと思われる. 更に, Metal-phos. PVA錯体で処理した綿布のミクロバーナーによる45度傾斜の燃焼試験を行い, Ni (II) -phos. PVAで処理した綿布が, 難燃性を示した.
  • 角谷 賢二, 平山 直人, 泰井 俊明, 中前 勝彦, 松本 恒隆
    1984 年 41 巻 5 号 p. 273-278
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    磁性塗料のモデルパインダーとして, 部分スルホン化ポリスチレン (PS-S) を合成し, このバインダーのγ-Fe2O3への吸着形態とγ-Fe2O3粒子の分散安定性との関係について研究し, 次の結果を得た. ポリスチレンγFe2O3とまったく相互作用を示さず, この溶液中ではγ-Fe2O3は分散しなかつた。PS-Sにアンカーグループとしてのスルホン酸基含有量が多くなると, γ-Fe2O3への飽和吸着量が増加し, γ-Fe2O3がよく分散するようになった. しかし, スルホン酸基含有量が1.0mol%以上になると, 飽和吸着量は一定値を示すようになり, γ-Fe2O3の分散性は逆に低下した. スルホン酸基含有量の変化によるPS-Sの吸着形態の違いを界面張力及び接触角のモデル実験より明らかにし, 上記の磁性粒子の分散挙動をPS-Sの吸着形態から説明した.
  • 中尾 幸道, 帰山 享二
    1984 年 41 巻 5 号 p. 279-283
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    保護コロイドとして添加するポリビニルピロリドン量を変化させ, 塩化ニッケル (II) のエタノール溶液に水素化ホウ素ナトリウムを作用させてホウ化ニッケヨゾルを調製した. これらを触媒として用いオレフィン類の水素化速度を測定した結果, ホウ化ニッケルゾルに添加するポリビニルピロリドン量とオレフィン水素化速度の間に, 直鎖末端オレフィン, フェニル共役オレフィン及びカルボニル共役オレフィンのそれぞれについて特有の相関が認められた. 更に, 塩化ニッケル (II) の希薄溶液からポリビニルピロリドンの不在下に得られるホウ化ニッケルゾルとの基質選択性, ゾルの色及び空気中での槌色挙動の比較から, ホウ化ニッケルゾルには2種の異なった形態が存在し, 第1のかっ色ゾルから第2の黒色ゾルへの変換がポリビニヨピロリドンにより阻止されるこのがわかった.
  • 南斎 征夫
    1984 年 41 巻 5 号 p. 285-291
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    既に線状無定形高分子の引張下降伏応力のデータについて良好な検証結果を得ている Robertson の構造温度理論を使って, ガラス状ポリメタクリル酸メチルの種々の温度及びひずみ速度における圧縮応力下での塑性流れを検討した. その結果, 応力の静水圧成分の影響を含めた Robertson の式は, 引張試験の場合と同様に圧縮下降伏点の挙動より得られる構造温度の実験値とよく一致した. 更に, 下降伏点の挙動に静水圧の影響を考慮した yring 式を適用して得られるせん断活性化体積及び静水圧活性化体積についても検討を行った. 両活性化体積はそれぞれが流れの活性化エンタルピー (あるいは構造温度) の関数であることが示され, せん断活性化体積に対する静水圧活性化体積の比がほぼ一定であることも明らかになった.
  • 加門 隆, 斎藤 勝義
    1984 年 41 巻 5 号 p. 293-299
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    脂肪族アミン, フェニルアルキルアミン, 脂環族アミン, 芳香族アミンによるエボキシ樹脂の硬化反応を定温示差走査熱量計 (DSC) により検討した. ジエチレントリアミンを用いて, 硬化反応がエポキシ基とアミンの反応により生成する水酸基により促進することを確かめた. そこで, 上記のアミン類による硬化反応を三次反応として速度定数を求めた. 得られた速度定数は脂肪族-≥フェニルアルキル->脂環族->芳香族-アミンの順に大きくなり, この順は脂環族アミンを除きアミンの塩基性の強さ (pKa) の順と同じであった. pKaが脂肪族アミンとほぼ同じ脂環族アミンの反応速度が小さく, これは脂環の立体障害によるものと推定した. 得られた活性化エネルギーは脂肪族-, フェニルアルキル-, 脂環族-, 芳香族-アミンでそれぞれ13.4, 12.4. 12.6~9.6, 114~10.3kcal/molであった. 定温 DSC による最大反応率は前報と同様にいずれの系も完全硬化には達しなかった.
  • 奈倉 正宣, 土屋 善裕, 山崎 昭徳, 石川 博
    1984 年 41 巻 5 号 p. 301-306
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ボリグルタミン酸 (PGA) とポリビニルアルュ-ル (PVA) とから成るブレンド固体膜中の微細構造を検討し以下の結果を得た. ブレンド物はミク糠に相分離構造を作り, その境界層ではPGAのα-helixが側鎖の単髭体カルボキシル基とPVAの水酸基との間で水素結合したポリマーコンプレックスを形成している. コンプレックスを形成Lたα-helixは熱処理にようでβ型へ転移することはない. このポリマーコンプレ, ックスはPGAモル分率0.3~0.4の領城で最も多く固体膜中に存在する.
  • 野沢 靖夫, 水本 隆雄, 東出 福司
    1984 年 41 巻 5 号 p. 307-310
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    難溶性薬物の溶解速度向上を目的として, 混合ロール法, 共沈法及び物理混合法により調製したポリビニルピロリドン (PVP) とフェナセチンの固体混合系での溶解性挙動を調べた. 混合ロ-ル法による100メッシュ以下の粉末状試料での薬物溶解速度は, PVPの重量比1: 5までに, PVPの含量とともに増大した. その挙動は共沈法及び物理混合法による試料の値よりも優位であった. 混合ロール法で前処理した重量比1: 2の試料で, わずかに存在するフェナセチンの微結晶は, 90℃, 1時間の熱処理で, X線回折図からは明らかに非晶状態に変化した. この熱処理試料には顕著な薬物溶解性が認められた.
  • 後 暁淮, 金子 正夫, 山田 瑛
    1984 年 41 巻 5 号 p. 311-314
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    4ビニルピリジンと4メチル-4′-ビニル-2, 2′-ビピリジンの共重合体及びこれを臭化エチルで四級化した共重合体型のトリス (2, 2′-ビピリジン) ルテニウム (II) 錯体を合成した. 前者の共重合体とcis-Ru (bpy) 2Cl2との反応ではまず4ビニルピリジン配位の錯体が生成した後にゆっくりとビピリジン配位のRu (bpy) 32+型錯体に移行した. 両高分子錯体とも励起状態は低分子錯体と同様な寿命成分 (500~600ns) のほかに, 短い寿命成分を示した. 特に四級化型高分子錯体では臭素の重原子効果によると考えられる10nsに近い短い寿命成分が観察された.
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