高分子論文集
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42 巻, 2 号
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  • 林 和子, 村田 健一, 山本 襄, 山下 岩男
    1985 年 42 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    空気中前照射法により, 低密度ポリエチレン (PE) に親水性モノマーをグラフト共重合し, それらの抗血栓性とグラフト体の性質及び構造との関係を調べた. アニオン性基をもったグラフト体は, その高いカルシウムイオン吸着能のために, ACD血を用いた動力学的方法による生体外評価は不適当であり, また, 犬末梢静脈内チューブそう入法による生体内評価においても, よい結果は得られなかった. しかし, 非イオン型の親水性モノマーをグラフト共重合したPEの生体内抗血栓性は, モノマーの種類により, メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル<N-ビニルピロリドン (NVP) <アクリル酸-2-ヒドロキシエチル≪アクリルアミド (AAm) の順序に抗血栓性が増大した. これは, グラフト体が網目状構造となるNVPを除けば, グラフト体の水のぬれの順序に一致した. AAmをグラフトしたPEの抗血栓性は, 医用シリコーンを凌ぐことがわかった.
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 野村 智彦, 渡辺 俊一
    1985 年 42 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    カルボキシル基をもつ新しいトリアジンモノマーとして, 2-アミノ-4- (P- [1] 及びm- [2] カルボキシアニリノ) -6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン及び2-アミノ-4- [N- (2-カルボキシエチル) アニリノ] -6-イソプロペニル-1,3, 5-トリアジン [3] を合成した. ジメチルスルホキシドを溶媒, アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてその単独重合ならびにスチレン, メタクリル酸メチル, アクリ, ル酸メチル (M1) との共重合を行い, 共重合バラメーターを決定した. これらのポリマーはトリアジン環が弱塩基性であるため, 両性電解質高分子であると考えられる. ポリマーの物性としてガラス転移温度, 粘度, 中和滴定, 密度などを調べた.
  • 高橋 栄治, 新倉 宏幸, 西久保 忠臣
    1985 年 42 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    増感剤モノマーであるメタクリル酸4-ニトロフェニル及びメタクリル酸4-ニトロ-1-ナフチルとメタクリル酸2-ヒドロキシエチルを非プロトン性極性溶媒中でラジカル共重合させ, 続いて同一反応容器内でケイ皮酸クロリドを反応させることにより自己増感型感光性樹脂をウンポット合成した. その結果, 得られたポリマーは高分子量, 高収率であり, さらに一部の芳香族系の溶媒を除き酢酸エチル, アセトン, クロロホルム, アセトニトリル等の汎用溶媒に溶解するなど優れた溶解性を示した. また, 100℃, 10時間の加熱後においても得られたポリマーの感度に変化は見られず良好な熱安定性を示した. 特に, 増感基として4-ニトロ-1-ナフチルオキシカルボニル基を有するポリマーは優れた光反応性と高い感度を示し, その解像度も1.5μmと優れていた.
  • 永田 章, 内田 欣吾, 伊与田 惇
    1985 年 42 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    りん酸触媒存在下グリシジルメタクリラートと2種の対称ジケトンとの反応により, [2-メチル-2- (2-オキソプロピル) -1, 3-ジオキソラン-4-イル] メチルメタクリラート (OPM) 及び [2-メチル-2- (3-オキソブチル) -1, 3-ジオキソラン-4-イル] メチルメタクリラート (OBM) を合成し, 構造解析を行った. OPM, OBM及び対照用の2, 2-ジァルキル-1,3-ジオキソラン誘導体 (PM) とメチルメタクリラートとの共重合体を合成し, これらを分光した紫外光で照射して橋かけ特性を調べた. PMを含む共重合体の感光域が276nm領域のみであるのに対して, OPM及びOBMを含む共重合体はより長波長の301及び327nm領域でも橋かけし, その速さも著しく促進される. OPM又はOBMの含率約10%の共重合体で不溶化率の飽和値は80%であった. 分子構造中へのオキソアルキル基の導入が分子内増感効果をもたらすものと推察される.
  • 佐々木 栄一, 山口 格, 郷家 晋一
    1985 年 42 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    末端に一級アミノ基を有するオリゴマーを, 液体アンモニア中におけるブタジエン, イソブレンのアニオン低重合により合成した. 生成したオリゴマーの末端官能基数, 分子量. 分子量分布, ミクロ構造について検討した. ブタジエンの低重合は容易に進行し, 分子量が約330のオリゴマーが得られた. Mw/Mnは1.03~1.06であった. 一分子当たりの官能基数は1.0で, 分子の片末端にアミノ基が付いていることを示している. ミクロ構造では, トランス1,4含量が60~70%, 1,2含量が20~30%であった. イソプレンの低重合の速度は遅く, ブタジエンの場合と同じく, 転化率は100%に達しなかった. オリゴイソプレンの分子量は約330で, MMw/Mnは1.04~1.15であった. 末端官能基数は1.0より小さく. 末端にアミノ基を持たないオリゴマーが生成している. ミクロ構造の含量は, トランス1,4>シス1,4>3,4の順序で減少した. 1,2構造は見られなかった.
  • 竹村 年男, 白根 弘美, 中塩 靖三
    1985 年 42 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2,6-キシレノールの酸化重合における生成重合体のメチル基の酸化及びエチレンープロピレンージエン三元共重合体 (EPT) の存在下での2,6-キシレノールの酸化重合を検討した. ベンゼン, トルエン, エチルベンゼン中での重合の酸素消費量は理論値より過剰で, 溶媒のアルキル基の酸化, 生成重合体のメチル基の酸化が示された. EPT存在下での2,6-キシレノールの酸化重合により調製した重合体組成物の衝撃強度, 耐折強度は, 溶液ブレンドで調製した重合体組成物より著しく高い値を与えた. 生成ポリフェニレンオキシドとEPTとのゲラフト結合の生成によると考えられた.
  • 安福 幸雄, 石岡 康昭
    1985 年 42 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ4-メチルペンテン-1の基礎物性と熱分解性を検討した. その結果を要約すると, 次のようである. (1) 本ポリマーは1, 2ポリマーを主体としたものであるが, 微細構造に多少の相違がある. (2) その分子重はフィルム化によって約20%以上低下する. その分子量分布は正規分布に近い. (3) コポリマーの結晶融点及び結晶化度は5℃及び6%それぞれ低い. (4) 本ポリマーの動的粘弾性と誘電分散はよく対応し, コポリマー及び油浸化によって低温側にシフトする. 誘電率は極めて小さいが, tanδ値は室温付近に非常に大きなピーク値を示す. (5) 本ポリマーは熱分解によってイソブテン, プロパン, 4-メチル1-ペンテンなどの初期熱分解生成物を発生し, その分解のメカニズムはポリオレフインに共通なランダム分解における分子内連鎖移動 (Back-biting) がより極端な形で起きたものであることが熱重量分析の結果からも解釈された.
  • 光石 一太, 児玉 総治, 川崎 仁士
    1985 年 42 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコール勝導体で表面改質した炭酸カルシウム (CaCO3) 充てんポリプロピレン (PP) を作成した. そして複合体の引張破断伸び, 粘弾性特性 (損失正接) 及びPP/CaCO3界面でのボイド体積とポリエチレングリコールの繰返単位との関係について検討した. その結果, 引張破断伸び, 主分散ピークの損失正接 (tanδ) maxは, 繰返単位の増加に伴い増加したが, ボイド体積は減少した. さらに (tanδ) maxに及ぼす粒径依存性においては, CaCO3の比表面積当たりの (tanδ) maxは, CaCO3 (平均粒径1.0μm) の方がCaCO3 (4.5μm) に比べて減少した. これはCaCO3粒子表面に付着している表面処理剤め差が原因と思われる.
  • 今井 淑夫, 鎌田 浩史, 柿本 雅明
    1985 年 42 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-トルエンスルホンアミドとビス (2-クロロエトキシ) エタンの重縮合を有機相-50wt%水酸化ナトリウム水溶液二相系, 相間移動条件下で行い, 対数粘度が0.22dl/gまでのN-トシル化ポリエーテルーアミンを得た. このものを塩酸で加水分解することによりポリエーテル-アミンを合成した. p-トルエンスルホンアミドとビス (2-クロロエチル) エーテルの相間移動触媒反応では, N-トシルモルホリンを生成した. 得やれたポリマーの性質についても検討を加えた.
  • 見矢 勝, 岩本 令吉, 美馬 精一, 山下 修蔵, 望月 明, 田中 善喜
    1985 年 42 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    脱アセチル化度99% (H3F) と93.5% (L3F) の2種のキトサン膜について, 水-エタノーを混合物のパーベーパレーションによる分離挙動を検討した. 実験は水含率5~50%の混合物を用いて, 35~70℃の温度範囲で行った. これらの膜は水を優先的に透過する. その透過速度Qは供給液中の水含率が増すにつれて増加するが, 分離係数αは水含率25%付近で最大となる. また, いずれの膜もQは供給液温度の上昇とともに大きくなるが, その増大率はL3Fが大きい. さらにH3F膜はαの温度依存性がなく, 一般の膜に比較して特異な優れた性質を持つ. これらの性質を既報の他の膜と比較検討したところ, キトサン膜は特に供給液の水含率25~50%の領域でαとQのバランスが良く, 分離膜として優れたものであることが明らかになった.
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