高分子論文集
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42 巻, 5 号
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  • 日比 貞雄, 前田 松夫, 林 拓己, 坂田 雄二
    1985 年 42 巻 5 号 p. 291-300
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    一軸及びロール延伸した高分子フィルムを, この一次延伸軸に対していろいろな方向に再延伸した試料の応力-ひずみ曲線から, ヤング率及び降伏応力を誘導した. 次にこれらの値の異方性を弾性論及び弾塑性論に基づいて有限要素法を適用して評価した. そして次の各結論が得られた. 1) ロール延伸ポリエチレン, 一軸延伸ポリプロピレン及びポリ塩化ビニルの各フィルムはヤング率の異方性と降伏応力の異方性の相関性が良いフィルムである. 2) ポリオレフィン系フィルムとポリ塩化ビニルフィルムの異方性パターンは明りょうに異なる. 中でもポリエチレンフィルムの塑性変形の原因は, ラメラ間及びラメラ内の滑りが支配的である. 3) 一軸延伸ポリブタジエンフィルムは, 微小変形から塑性変形へ変化するに伴って, 異方性パターンが変わる特筆すべき材料である.
  • 吉岡 直樹, 出石 忠彦, 西出 宏之, 篠原 功, 土田 英俊, 渡辺 強, 近 桂一郎
    1985 年 42 巻 5 号 p. 301-304
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸-メチルアクリラート共重合体 (モル組成比約1: 3) とガドリニウムの錯体は, 溶媒キャスト法によりGd3+含量が多く, かつ柔軟で透明な膜を与えた. 錯形成したGd3+は常磁性 (室温, 2.7×10-2emu mol-1) で, 膜中に均一に分散していることを確認した.
  • 星野 太, 川口 春馬, 大塚 保治
    1985 年 42 巻 5 号 p. 305-310
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    粒子径0.31, 0.71, 1.59μmの3種類のスチレン-N-ヒドロキシメチルアクリルアミド共重合体ラテックス粒子を作成し, 表面のアミド基を加水分解してカルボキシル基を導入し, α-アミラーゼをペブチド結合法により固定化した. 酵素固定化量及び固定化による至適pHの変化は, 担体粒子の表面電荷カルボキシル基密度に依存した. 固定化α-アミラーゼの比活性は, 粒子表面での固定化密度に依存し, 密度の小さなものほど, 活性発現に有利であることがわかった. 大きな粒子に固定化されたα-アミラーゼは, アミロペクチンに対する著しい活性低下を示した. また固定化により, 高温における熱安定性が向上した.
  • 長谷川 昭, 関野 修, 寺町 信哉
    1985 年 42 巻 5 号 p. 311-316
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリメタクリル酸-銅錯体は, H2S処理により, 著しく導電性が向上することを見いだした. ポリメタケリル酸と塩化第二銅水溶液の反応生成物及び, そのH2S処理物を, X線回折, 赤外線吸収スペクトル, 化学分析, 光学顕微鏡観察により分析し, そのH2S処理物の導電性を測定した. 反応時のpHによって, (PMA) -銅錯体が生成するとともに, CuCl2・3 [Cu (OH) 2] 及びCu4 (OH) 6. Cl2・3H2Oの銅の水酸化物が副生することが見いだされた. この生成物は, H2S処理により, CuSを生成した. H2S処理した生成物の直流による比抵抗は, その処理の程度により, log (ρ/Ω・cm) で示して, 2.5から5.8の間で変化し, この導電性は, 高導電性物質であるCuSの寄与によるものであることが明らかとなった.
  • 竹島 幹夫, 舩越 宣博
    1985 年 42 巻 5 号 p. 317-324
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリカーボネート (PC) 射出成形品の複屈折現象解明のため, レーザーラマン分光により試料厚さ方向における凍結配向分布の検出及び解析を行った. PC射出成形品厚さ方向における見かけの凍結配向分布は, ラマンスペクトルの解析から, 複屈折とともに変化する703cm-1線と複屈折の影響を受けない635cm-1線のピーク強度比をとることにより検出可能となり, 表面付近には厚さ100μm以内の無配向層がskin zoneとして, その内側には高度に配向したかなり厚い層がshear zoneとして, 中心部には凍結配向の度合いの小さな層がcore zoneとして存在することが明らかとなった. また, 厚さ方向における凍結配向分布の積分値は, 加熱収縮率と同様, 複屈折と相関関係にあり, 加熱処理による凍結配向の緩和で, このような配向分布は消失した.
  • 長谷川 喜一, 福田 明徳, 殿谷 三郎, 堀内 光
    1985 年 42 巻 5 号 p. 325-331
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N, N-ジメチルホルムアミド (DMF) を溶媒として用い, メチレン結合のo-/p-比がそれぞれ38/62, 75/25と異なる2種のノボラック (HPN及びHON) のポリスチレンゲル系排除クロマトグラフィー (SEC) を測定した. その結果, HONの場合には顕著な吸着現象が現れるなど, ノボラックはクロマトグラム上で特異挙動を示すことを見いだした. 一方, LiBrをDMFに添加した系では上述の特異現象が消失し, LiBr0.01mol/l以上の濃度にて再現性のある安定なクロマトグラムが得られた.
  • 石沢 真樹, 中村 孔三郎
    1985 年 42 巻 5 号 p. 333-337
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Ba-フェライト粉を用いた磁性媒体のバインダーとして, ウレタン樹脂-フェノキシ樹脂-ポリイソシアナート3成分系を用い, このバインダー組成の塗膜強度及びポリエチレンテレフタラート (PET) 基板への接着性と耐久性との関係について研究し, 次の結果を得た. ウレタン樹脂にフェノキシ樹脂-ポリイソシアナートを加えることによって塗膜強度及びPET基板への接着性は著しく向上する. フェノキシ樹脂-ポリイソシアナートを少量添加した塗膜強度, PET基板への接着強度の小さい媒体はきわめて耐久性が低いが, 塗膜強度, PET基板への接着強度が大きくなるに従い耐久性は向上し, 100%伸長時の引張強度200kg/cm2以上でPET基板への接着強度35kg/cm2以上の媒体は500万バス以上の耐久性確保が可能である.
  • 吉井 敏男, 小中原 猛雄, 佐藤 謙二
    1985 年 42 巻 5 号 p. 339-344
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メラミンのホルムアルデヒドによるヒドロキシメチル化反応について, 第三アミンとして, トリエチレンジアミン (pH8.8~10.0) 及び3-クロロキヌクリジン (pH9.1~10.0) 緩衝溶液を用い, 水溶液中, 反応温度40℃で速度論的検討を加えた. この結果, この反応は一般酸塩基触媒反応であり, 二次速度定数kは次式で与えられる.
    k-k′=kHB+ [HB+] +kB [B] +kp [HB+] [B] +kp [B] 2+kp [B] 2/ [HB+] (or kp [B] [OH-])
    ここで, k′は非緩衝溶液中における速度定数であり, Bは緩衝溶液の塩基成分, HB+は酸成分を示す. このような複雑な速度式はメラミンだけでなく, 他のホルムアルデヒド樹脂の原料 (尿素, フェノールなど) のヒドロキシメチル化反応でも, 従来全く報告されていない.
  • 姜 英宙, 饗庭 信介, 岩元 和敏, 妹尾 学
    1985 年 42 巻 5 号 p. 345-350
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高い気体透過性を示し, かつ親水性を有する高分子膜を得る目的で, トリス (トリメチルシロキシ) シリルプロピルグリセロールメタクリラート (TTSPGM) を合成し, メチルメタクリラート (MMA) との種々の組成の共重合体膜を調製し, 酸素, 窒素の気体透過係数 (PO2, PN2), 気体の分離係数 (PO2, PN2) 及び膜表面の水とのぬれ性について検討した. TTSPGM含量が増すことによってPO2, PN2は増大し, TTSPGM含量20.4wt%の膜では約2倍に達した. 一方, 分離係数PO2/PN2はこの共重合体組成領域では著しい変化はみられなかった. また, 共重合体膜中のTTSPGMの含量が20.4%の範囲では乾燥空気面ではわずかに接触角が上昇したが, 乾燥ガラス面の接触角はPMMAと変らず, 水中に浸漬した空気面とガラス面は接触角でPMMA表面より更に約6度及び16度低い値が得られぬれ性が向上した. 又, ガラス面及び空気面の差を, ATR法によるフーリエ変換赤外スペクトル (FT-IR) 測定によって検討した.
  • 光石 一太, 児玉 総治, 川崎 仁士
    1985 年 42 巻 5 号 p. 351-354
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    表面処理並びに未処理炭酸カルシウム (CaCO3) を充てんしたポリプロビレン (PP) の熱劣化特性について検討した. 未処理系CaCO3 (工業用) 充てんPPの熱劣化の程度は, 試薬用に比べて著しく大きかった. これらの熱劣化の原因は, 工業用CaCO3に含まれる微量の重金属Fe, Mnによると思われる. 一方, リン酸エステル処理した工業用CaCO3充てんPPは, 試薬用と同様な引張伸び及び流出量の特性を有していた. このことは, CaCO3の表面へのリン酸エステル化合物の付着に起因しているものと推察される.
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