スチレンスルホン酸 (SSA) の含有率が7.8, 9.8, 10.6, 14.4モル%であるメチルメタクリラート (MMA) との共重合体膜を合成した. これらの膜の含水率のうち, DSCにより凍結水を定量し, 総含水率より不凍結水の割合を求めた. SSAを7.8mol%含む膜の含水率は約30%であったが, このほとんどすべてが不凍結水であった. SSAの含有率の増加と共に凍結水の含有率が著しく増大した. クレアチニンの分配係数はSSAの低含有率の膜で最も大きく, 含水率の増加とともに減少したが, 拡散係数は増大し, この結果, 透過係数に対する含水率の影響は少なかった. これに対し, KCl, NaCl, KIなどの塩の場合, SSAを7.8モル%含む膜では, 低含水率, かつドナン排除が生じ, 分配係数が小さく, また透過係数も著しく小さかった. 膜電位の測定から有効固定電荷密度, 及び別に固定電荷密度を求めたが, これらは膜中のSSAの増加とともに減少を示した. この現象はSSAの増加に基づく高含水率のだめであると考察した. イオン輸送比
D+/
D-はKCl, KBr, KIの順に小さくなったが, この順位は水中のイオン輸送比の順位Cl
-<Br
-<I
-と一致した. 荷電基の含有率を制御することにより, 有機物の溶質と電解質である無機塩の選択透過性を示す共重合体膜が得られることを示した.
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