高分子論文集
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43 巻, 2 号
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  • 中前 勝彦, 谷川 聡, 平山 直人, 角谷 賢二, 松本 恒隆
    1986 年 43 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アルキル鎖をもつシラン化合物によりγ-Fe2O3の表面処理を行い, その処理が粒子の分散性に及ぽす影響について検討し, 次の諸結果を得た. (1) シラン化合物のγ-Fe2O3表面への吸着挙動はLangmuir型を示した. (2) γ-Fe2O3表面をシラン化合物で処理することにより, 親水性官能基をもつポリマーあるいはもたないポリマーのいずれをバィンダーとして用いても, 粒子の高分散化が可能であった. また, その時のシラン化合物の処理量はγ-Fe2O3に対して約2wt%が適しており, シラン化合物のアルキル鎖の長さは炭素数8以上が適していた.
  • 坪川 紀夫, 曾根 康夫
    1986 年 43 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリアミドイミド (PAI) を合成し, これを分別沈殿法によって分別したフラクションの中から, 分子量の異なる6種類をサンプルとして, N-メチル-2-ピロリドン (NMP) 及びN, N-ジメチルホルムアミド (DMF) 中における希薄溶液粘度の諸特性を検討し, 以下の結果を得た. (1) ηsp/cは濃度cが0.3gdl-1以下になると急上昇し, 高分子電解質的挙動を示す. (2) 極限粘度 [η] と分子量Mとの関係はMark-Houwink-Sakuradaの粘度式 [η] =KMaで示されるが, 30.0℃, NMP中ではK=2.48×10-4dlg-1, a=0.60, また, 30.0℃, DMF中ではK=1.34×10-4dlg-1, a=0.45となった. (3) PAI分子は, 溶媒中では強く屈曲し, NMP中でも両末端間距離は真直ぐ引伸したときの数十分の1になっている. (4) DMFはPAIに対して貪溶媒で, 35.0℃でθ温度となる. (5) ある一点の濃度での粘度測定で精度よく [η] を求めるには, [η] =ηsp/C/1+0.30ηsp式が適用できる.
  • 吉井 敏男, 小中原 猛雄, 佐藤 謙二
    1986 年 43 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メラミン (MH) のホルムアルデヒド (F) によるヒドロキシメチル化反応の速度式において, 第三アミン (トリエチレンジアミン, 3-クロロキヌクリジン) -共役酸緩衝溶液存在の際は水酸化ナトリウム触媒の際と異なり, 塩基触媒について1次の反応 (kB-反応) の外に2次の反応を含むという結果に墓づき, kB-反応 (一般塩基触媒反応) の機構を提案した. この機構によると, 反応中間体としてMHとFと塩基触媒 (B) を含む錯体を生成し (MH+F+Bk1→←k-1錯体k2→生成物), 強塩基である水酸化ナトリウム触媒の際の律速段階は錯体生成の前のk1段階であるが, より弱塩基のアミン触媒の際のそれは錯体生成の後のk2段階である. さらにこの錯体はMHのアミノ基とFのカルボニル基の反応による双性イオンT±と塩基を含む錯体T±・B, またはこれからプロトン移動した錯体T-・HB+と考えられる.
  • 見矢 勝, 岩本 令吉, 吉川 邊, 美馬 精一
    1986 年 43 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    角片状キチンのアルカリ処理によって得たキトサンの分子量をGPC/LALLS法を用いて測定した. 用いた試料の脱アセチル化度 (D.D.) は78~99%の範囲にあった. これらキトサンの重量平均分子量 (Mw) は8.5×105~4.9×105g/molであり, 分子量分布 (MWD) は1.55~2.08であった. キトサン調製時の処理温度が高く, D.D. が高いほどMwは低下し, MWDは大きくなる. 次に, 酢酸水溶液としての保存がキトサンの分子量にどのように影響するかを調べた. その結果, 4℃では80日間の保存でも元のMwの80~95%であり, D.D. の高い試料ほどMwの低下は少なかった. また, 製膜によるMwの低下は認められなかった. 一方, 膜を水中に保存することにより, D.D. 99%の場合はMwが増大し, D.D. が87%の試料では不溶化が起こることが分かった.
  • 伊津野 真一, 山崎 一浩, 荒川 文隆, 北野 利明, 伊藤 浩一, 山田 栄一, 松本 竹男
    1986 年 43 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキシド (PEO) は, 液-液及び固-液反応において, クラウンエーテル類に似た相間移動触媒 (PTC) 作用を示すことが知られている. 我々は, PEO, ポリスチレン (PSt), からなる多相系高分子を各種合成し, 1-プロモブタンとカリウムフェノキシドとのWilliamsonエーテル合成のPTCとして用い, 高分子の構造がPTCとしての機能に及ぼす効果について検討した. PEOホモポリマーをPTCとして用いた場合, 非常に重合度の高い (Mn=170×104~480×104) ポリマーが, 数万以下の分子量のポリマーに較べて遙かに高い触媒活性を示すことがわかり, その活性は, クラウンエーテル ((18) Crown-6) にも匹敵した. それに対して, 多相系高分子としてPEO-PStプロックコポリマー (B) 及びPEO鎖を枝に持つゲラフトコポリマー (G) を用いると, PEO鎖が短い (Mnが数千~数万) にもかかわらず同様の高活性を示した. 更にPEO-PStブロックを枝に持つブラックグラフトポリマー (BG), PEOとPStの2種の枝を持つダブルコームグラフトポリマー (DC) も非常に高いPTC活性を示すことが明らかとなった.
  • 上田 明, 永井 進
    1986 年 43 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アゾビスシアノペンタン酸クロリドと分子両末端に水酸基を有する液状ポリブタジエンを室温で重縮合させ, ポリ (ポリブタジエンアゾビスシアノペンタン酸エステル) を合成した. また酸成分としてセバシン酸クロリドを種々の割合で併用し, アゾ結合率有率の異なる共重縮合物をも得た. これらポリエステルはポリブタジエンセグメントが易分解性アゾ基によって連結された構造であるため, スチレン, メタクリル酸メチル, アクリロニトリル, 酢酸ビニルなどのモノマーの共存下で加熱分解することによりビニル重合を開始し, ポリプタジエンと各ビニルポリマーとのブロック共重合体を誘導することができた. 特にスチレンの重合系につき詳細な検討を行い, 反応条件と生成ブロック共重合体の組成や分子量分布との関係を求めた.
  • 山崎 昇, 今井 淑夫
    1986 年 43 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    α, α′-ジクロロ-P-キシレン (DCPX) とビスフェノールAとの重縮合反応において, 第三アミンを添加し, DCPXからテトラヒドロフラン (THF) -ジメチルスルホキシド (DMSO) (3: 1) 混合溶媒中で第四アンモニウム塩を生成させ, この塩を単離することなしに50%NaOH水溶液を作用させると粘度0.32dl/g (30℃, NMP中) のポリエーテルが生成した. DCPXと第三アミンとから生成した第四アンモニウム塩は, 生成ポリエーテルの末端に取りこまれてしまうため, 重縮合反応の初期においてはベンジルトリエチルアンモニウムクロリドと同程度の触媒活性を示すが, 重合時間及び生成ポリエーテルの粘度の増大に伴って失活した.
  • 平井 英史, 山本 博志, 小宮 山真
    1986 年 43 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    β-シクロデキストリン (β-CyD) を結晶状態でヘキサメチレンジイソシアナート (HMDI) と反応させることにより合成した縮合高分子を用いてβ-CyD膜を調製した. この膜を, 更に, HMDIで橋かけ処理することにより, 水中で長期間安定な膜を調製した, この橋かけ処理β-CyD膜は, 溶質の化学構造を反映した特異的透析能を示した. また, 橋かけ処理β-CyD膜を用いて, pH差を駆動力とする能動輸送を行うことに成功した.
  • 佐藤 義夫, 新井 邦夫, 斉藤 正三郎
    1986 年 43 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーにより, 1,2-ポリブタジエン (Mn=7.1×104) に対する気体溶解度の測定をn-ヘプタン~n-デカン, シクロヘキサン, ベンゼン, トルエン, P-キシレンそしてアセトンについて大気圧下, 温度範囲35~180℃で行った. 液相担持率0~8%のカラム6本について測定し, 担体への吸着を補正して質量分率基準ヘンリー定数及び分配係数を求めた. またBonnerの式を融点以上で適用したところ1,2-ポリブタジエンに対する本研究で得られた各溶質の測定値を良好に相関できた. 得られた二成分相互作用パラメーターは温度に依存しなかった.
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