ポリエチレンオキシド (PEO) は, 液-液及び固-液反応において, クラウンエーテル類に似た相間移動触媒 (PTC) 作用を示すことが知られている. 我々は, PEO, ポリスチレン (PSt), からなる多相系高分子を各種合成し, 1-プロモブタンとカリウムフェノキシドとのWilliamsonエーテル合成のPTCとして用い, 高分子の構造がPTCとしての機能に及ぼす効果について検討した. PEOホモポリマーをPTCとして用いた場合, 非常に重合度の高い (
Mn=170×10
4~480×10
4) ポリマーが, 数万以下の分子量のポリマーに較べて遙かに高い触媒活性を示すことがわかり, その活性は, クラウンエーテル ((18) Crown-6) にも匹敵した. それに対して, 多相系高分子としてPEO-PStプロックコポリマー (B) 及びPEO鎖を枝に持つゲラフトコポリマー (G) を用いると, PEO鎖が短い (
Mnが数千~数万) にもかかわらず同様の高活性を示した. 更にPEO-PStブロックを枝に持つブラックグラフトポリマー (BG), PEOとPStの2種の枝を持つダブルコームグラフトポリマー (DC) も非常に高いPTC活性を示すことが明らかとなった.
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